この本はすごいです。なぜなら、絵画のことが全然わからない僕ですら、絵画に隠されたメッセージや、作品に対する作者の思いに魅了されてしまいました。作るモノは違えど、プロダクトを作りこむ姿勢には感動を覚えます。
アルノルフィーニ夫妻の肖像

ひとつだけここで紹介させていただくと、ヤン・ファン・アイクの「アルノルフィーニ夫妻の肖像」という名画があるのですが、作りこんだ内容を抜粋すると以下のようになります。
- 凸面鏡には入り口に立つふたりの人物が描かれていて、部屋の前半分の空間がうつりこみ、部屋全体が再現されている。招き入れられたような気分になる。
- 絵の中のふたりは何かをしようとしていて、そのヒントがたくさん隠されている
- 男は妻の手をとり、片手をあげている。これは結婚の宣誓の儀式
- ふたりは指輪をしている
- 入り口に立つふたりは立会い
- ヤン・ファン・アイクここにありき、というサインが凸面鏡の上にある。当時、珍しい作者のサインだが、立会人としての署名を意味している
- シャンデリアにともされた一本のロウソクも婚礼の燭台
- 右手寝台の奥に置かれたイスの背の木彫りの飾りは、女性の守護聖者
- その下には、聖刷毛
- 足下の犬は忠誠の象徴
- 凸面鏡にはロザリオの珠数
- 左手の窓の前のテーブルには禁断の実を表した果物
- 凸面鏡の周囲に刻まれた十字架
徹底的な写実性によって、見る者を絵画へと引き込んでいく
この本で紹介されている絵画を、実際に見に行きたくなりました。