あとがきで泣いた!『嫌われる勇気』は人生を変えるスゴ本だった

なぜ、あなたはいつまでも変われないのか?世界はシンプルであり、人生もまたシンプルである。自己啓発の源流「アドラー」が濃縮された一冊がこの『嫌われる勇気』だ。最後のあとがきを読んだ時に「なんていい本なんだ」とウルウルしたのは久しぶりのすごい本。

興味深いのは、大好きな作家である伊坂幸太郎さんが帯にコメントをしているところだ。確かに。アドラーという名前は彼の小説で知ったんだった。

この本には、僕が今まで小説を書きながら考えていたこと、知りたかったことがたくさん、書かれていました。

伊坂幸太郎さんも最後にはなぜか泣いていたそうだ。たしかに、この本にはこれまで考えたりしたことがたくさん書かれている。

哲学との出会いは『ソフィーの世界』

僕が哲学を「読んだ」のは『ソフィーの世界』が最初だと思う。物語調の語り口で哲学の時代を歩いて行くストーリーがステキだった。よく覚えているのは「哲学者とは何か?」に関する問いだ。

この本では世界を「うさぎの背中」と表現し、そのあたたかい毛の中で眠りにつくのが人間と言っていた。哲学者は眠らず、「ここはどこなのか?」を知るために、毛をよじ登ろうと努力する。そんなことが書かれていたと思う。

うさぎの毛を登る哲学者というメタファーは、僕自信に大きく影響を与えた。と、今思う。なぜなら、誰もがあたりまえだと思うことを真剣に考えようとする哲学者の姿勢は、僕の人生にとって大きな意味があると思ったからだ。

周りを気にする自分、自分を気にする自分

どういう理由かは忘れたが、あるときに「周りを気にして生きるのをやめよう」と考えるようになった。周りから見た自分も、自分から見た周りも、どうでもよくなってきたからだ。だから「こうすべき」とか「こうあるべき」みたいな話をする人が苦手だ。なぜなら、きっと僕はどんな意見であっても賛成しないからだ。

嫌われる勇気』にはこんな言葉がある。

もしも自慢する人がいるとすれば、それは劣等感を感じているからにすぎない

多分、Facebookリア充現象も同じなんじゃないだろうか。それが悪いというつもりはないし、いいところもあるのは十分わかるけど、世の中には自慢があふれている。特にキライなのは先輩の後輩に向けての自慢。古臭いポンコツほどうるさい。

アドラーの言葉は、身に覚えがあることばかりで突き刺さってくるが、誰かに絡まれた時に対策といった自分だけでなく、よくある人の振る舞いに関してもとてもいい考察を持っている。なによりも、彼の言葉には嫌味がない。なんだかとても愛があるのだ。

勇気づける

今の自分よりも前に進もうとすることにこそ、価値がある

アドラーは本書で「勇気をもつこと」を強く伝えてくる。特にこの言葉にはぐっときた。

過去にどんなことがあったかなど、あなたの「いま、ここ」にはなんの関係もないし、未来がどうであるかなど「いま、ここ」で考える問題ではない。「いまここ」を真剣に生きていたら、そんな言葉など出てこない。

これは、まだ10代だった頃にみた『いまを生きる』が影響している。大きな力に屈してしまう中、机の上に立つことで反抗した青年たちの姿に涙が止まらなかった。原題である「Seize the day(その日をぐっとつかむという意味)」はずっと大切な言葉だった。

嫌われる勇気』では、人生における最大の嘘とは、「いま、ここ」を生きないことだと論じている。

さて、僕は「いま、ここ」をちゃんと生きているだろうか?