息子が熱性けいれんで入院した話

落下防止の鉄格子ベッドに収監されて動画を鑑賞する息子。

子供というものは「え、このタイミングで?」というときに熱を出し、うんこをする生き物である。うちの息子は、一時期、9日スプリントで熱を出すツワモノだった。そんなあるとき、熱が下がらず、熱性けいれんになってしまった。

熱性けいれんとは、熱が急激に高くなると、脳がびっくりしてけいれんを起こしてしまうもの。はじめて近くでけいれんを見たけど、「息してんのか?」と思うぐらいがくがく動く。嫁と僕が「絶対死んでまう」と思うぐらいすごい動きだった。あとで聞いたところによると、息はちゃんとできて窒息とかにはならないらしい。

また、救急車でも聞かれたが、どんな痙攣だったかが重要になるので、けいれん時は冷静に動画に撮っておくと、その後の治療などの役に立つそうだ(そんな余裕なかったけど)。

息子はそのまま入院となり、救急車に同乗した僕も病院で一晩過ごした。

熱性けいれんは、けいれんが長く続く(つまり高熱が続く)と、脳にダメージが残ってしまうケースもあるらしい。そんな説明を聞きながら、嫁と覚悟をする必要があった。

幸いなことに、息子はすぐに目を覚ました。看護師さんに呼び出され、ICUに行ってみると、息子はぐったりしながらも目をキョロキョロさせていた。

息子が僕を見つけて「ぱっぱー」と言った。

これまで自分を支配していた緊張感がどっとなくなり、涙がぼろぼろと出てきた。看護師さんはそれを見て、「パパ、よかったですね。お子さん元気ですよ。パパって言ってますよ」と励ましてくれた。

涙はしばらく止まらなかった。それと同時に、看護師さんに対してこんなことを思った。

看護師さん、息子は「ぱっぱー」」と言いましたが、これは「パパ」という意味ではなく、「アンパンマン」という意味なんです。

ちなみに、「お父さん」は「ぼーぼ」らしい。それにしても、なぜ僕を見てアンパンマンと言ったのだろうか。