


スーパーアジャイルコーチとして働いている手前、その質を高めるために国際的なコーチング団体であるICF(国際コーチ連盟)の認定資格「アソシエート認定コーチ(ACC)」を取得しました。最短で半年から1年ぐらいかかる、なかなかヘビーな資格でした。今回は合格までの道のりや申請手順をまとめてみます。
国際コーチング連盟 アソシエート認定コーチ (ICF ACC)とは?
認定資格はACC(アソシエート認定コーチ)、PCC(プロフェッショナル認定コーチ)、MCC(マスター認定コーチ)があり、ACCは一番とっかかりの認定資格です。
ICF Japanのページによると以下のような条件が書かれています。
ACC | PCC | MCC | |
満たすべきトレーニング時間 | 60時間以上 | 125時間以上 | 200時間以上 |
最低限必要となる有償コーチング経験 | 100時間以上 | 500時間以上 | 2,500時間以上 |
有料コーチングを100時間というのは結構難易度が高いもので、みなさん苦労されているようです。マネージャとして部下と1on1する場合もカウントできるみたいですが、1on1はすべてがコーチングじゃないはずなので(場合によってはコンサルティングであったり、ティーチングになるはず)、1on1のノリでコーチングを語ると、「それはコーチングじゃないですよ」と突っ込まれると思います。
ACCになるためにはいくつかの方法があります。
- ACC ACTP Path: ICFが認定するトレーニングを受ける方法。トレーニング + コーチングログ + コーチ・ナレッジ・アセスメント(CKAというテスト)、100時間以上のコーチング経験が条件
- ACC ACSTH Path: ICFが認定するトレーニングを受ける方法。ACTPパスに加え、10時間のメンタートレーニング + 実技審査(コーチングセッションを録音して音声 + 英語書き起こしを行い提出)が加わったもの
- ACC Portfolio Path: ICFが認定するトレーニングを使わないパターン。内容はACSTHパスに似ているかんじ
受講したコーチング教室であるヘルスコーチジャパンではACSTH Pathを提供していたので、僕はACSTHパスを利用しました。
ACCへの道のり
まず、ACSTH認定のコースを1年ぐらいかけて受講します。ちょうど、コロナが大流行はじめた時期だったので、集合トレーニングは実施されず、全部オンラインでの開催です。
ヘルスコーチジャパンは、もともとZoom研修に対応しており、柔軟な運営なのでおすすめです。ただ、
授業を1年1サイクルで回しているので、はじめに参加できなかった場合、翌年まで待つ必要があります。僕の場合、学び初め頃にコロナの影響で参加できないコースがあったため、1.5年ぐらいかかりました。
トレーニングが終わると、単位がもらえます。あとは、以下の準備が必要です。
- メンターコーチング
- 実技審査
- 100時間以上のコーチング経験
メンターコーチングは、3ヶ月以上書けて、全10時間のセッションを行います。せっかくなので、他の教室のコーチと話したいなーと思い、銀座コーチングスクールの國井さんにお願いしました。この方は、もう20年以上プロコーチ経験があるので、どんな珠を打ち込んでも打ち返してくれるすごいコーチでした。
メンターコーチングではプロコーチの能力水準(コンピテンシー)、倫理規定、コアバリューといった基本部分の議論に時間を使いました。読めばわかることばかりですが、気になる点を現役コーチのいろんな視点をいただいて話すことで理解が進みました。これらの理解は、認定申請の最後に実施されるコーチ・ナレッジ・アセスメント(CKA)というテストで試されます。
実技審査(パフォーマンス評価)は、普段1on1セッションを行っている方にお願いして、音声を録音して書き起こし、DeepLなどを使って英語化しました。お金を出してやってもらうこともできましたが、自分の音声を聞きながら文字に書き起こしていくと、自分の癖や得意不得意がよくわかって勉強になりました。たまに録音して聞き直すのはいいプラクティスかもしれません。
実技審査の詳細についてはこちらのページにまとまっています。これを書いている段階ですと以下のような感じです。
- 音声は、20分〜60分のセッションを編集無しで録音する(60分超えると採点されない)。MP3、WMA、MP4フォーマットを利用。95MB以下であること
- 翻訳したテキストは.DOC、.DOCX形式。日本語セッションであれば、日本語と英語が必要。サンプルはこちら
コーチング経験は、トレーニングを受講開始した日時からカウントできるようになります。以下の条件のものをカウントします。
8人以上のクライアントとの最低100時間(内、有料75時間)のコーチングを記録したもの
これは、コーチング専門トレーニングを受け始めて以降のもので、更にそのうち25時間は、申請前18か月以内に行われたものでなければならない
ICF Japan 資格の保持者になることより
詳細は経験の要件ページが詳しく、ログを記録するエクセルファイルのサンプルもダウンロードできます。
準備ができたらいよいよ申請です。
ACCを申請する

ICF認定資格のページから「オンライン出願を申し込む」をクリック。英語のサイトに飛ばされ、申請を継続します。以下のアンケート部分以外は、Google翻訳が使えるので英語が苦手でも特に迷わないと思います。
アンケート
認定試験の申請前のアンケートです。ご自身の情報を登録してあげると、ICFの人が喜ぶと思います。




アンケートが終わると以下のような画面になります。単位が溜まっているなら、CLICK HEREをクリックして申請に入ります。

ICFアカウントの作成
上記のCLICK HEREをクリックすると、アカウント作成画面になります。申請にはICF会員アカウントが必要です。アカウントは無料ですが、有料版にすると申請料金が安くなります。
- 通常: $500
- ICF会員: $300
ICF有料会員は1年$245なので、会員になれば得するというわけでもないです。ただ、会員は毎年4月から3月までの1年が有効期限になるため、9月に会員登録したときは月割計算なのか、請求額が$142.92でした。よって、秋口以降にICF有料会員登録すると、ちょっとお得なのかも。ICF有料会員登録については後述します。


おまけ: ICF有料会員の登録方法
有料会員は、会員登録後にオンライン登録申請の画面から可能です。以下の画面を参考にどうぞ。














申請画面の日本語化
会員登録がすむと申請画面に進みます。ACCの条件となっている項目をひとつずつ埋めていきます。

画面下の言語設定で日本語にもできます。多少不自然な表現もありますが、読むには困らないレベルに翻訳してくれます。Google翻訳すごい!

ACSTHトレーニングについて
ひとつめはトレーニング情報です。僕の場合は教室に通ったので、教室を運営する組織名と、その受講結果を記述します。



メンターコーチングについて
メンターコーチの情報を入力します。メンターコーチにはメールで確認が届くらしいです。



クライアントコーチングの経験について
有償で行ったコーチング時間の入力です。自分は規定のExcelファイルにコーチングログをつけるようにしています。このログは提出を求められるわけではありませんが、経験時間や顧客とのやり取りのメモにもなるので、残すようにしています。

パフォーマンス評価
コーチングログの内容をアップロードします。



この結果は、合否の案内と同時に、細かくチェックした結果をフィードバックしてもらえます。基本的にコアコンピテンシーの内容をチェックしているようです。
CKA試験の前に申請と支払い
最後はコーチ知識を確認するCKA試験です。まずは申請を行い、テスト代金を支払います。











申請後、パフォーマンス評価を通過すると、受験案内のメールが送られてきます。受験はピアソンのプラットフォームで行われます。
CKAの結果を受け取る

CKAは、150問、3時間のテストです。かなりの量になるので、さくさく回答しても1.5時間ぐらいかかりました。結果はテスト後すぐに表示されます。
合格した場合、数日で認定メールが届きます。 認定期間は3年で更新だそうです。
おわりに
コーチングの勉強を初めて数年経ちましたが、ひとまずはじめのゴールであるACCは達成できました。個人的には、100時間の実践を積んだACCでも十分に思いますが、あと数年でコーチング時間が500時間は超えそうなので、PCCぐらいは目指せるかなーと思っています。
「アジャイルコーチ」と名乗るからには、コーチングのなんぞやは理解しておきたいと思ってはじめたコーチングの勉強ですが、やってよかったと思います。
すくなくとも、コーチングを考えてできるようになり、コーチングじゃない活動も切り分けて考えられるようになりました。この切り分けは、コーチングをする上でかなり重要なスキルだと感じています。
マネージャとしてメンバーと話す機会がある方、僕のように人やグループの活動を支える仕事をする方などにおすすめです。
[…] エンジニアリングマネージャをしていたときは、年に500回近くメンバーと1on1をしていたけど、最近はアジャイルコーチの仕事がメインなので、スクラムマスターやアジャイルチームの育成として1on1するケースが増えています。コーチングの知識もついてきたので、1on1の質も高まってきたかも。ちょっと調子に乗って、1on1のコツをまとめてみようと思います。 […]
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