2〜3年やってきた1on1について、ある人にポイントなどを聞かれたんだけど、自分の考えが整理できていないことがわかって、うまく答えられなかった。「すぐにやる」はとてもいいプラクティスだと思うが、やりながら考えてしまうと、人に教えられなかったり、伝えきれなかったりするので、ここいらでちょっとまとめてみる。
基本となるコーチング
まずは、1on1トレーニング(研修)を受けてみた。調べてみると、1on1で有名なヤフーさんと共同開発されたリクルートマネジメントソリューションズさんの研修がよさそう。会社のメンバーにも行ってもらったところ、なかなか好評だった。受けたトレーニングは2つでそれぞれ3時間コース。
基礎として位置づけられているのがコーチングの研修。たしかに、1on1は特殊なコーチングの場とも言える。でも、コーチングは別に1on1だけにとどまらないだろう。
コーチングのエッセンス
- コーチングは短期的な問題解決に使うのではなく、長期的な人材育成に使えるツールである
- もし目の前の課題を解決したいなら、関係者を集めて課題解決のためのMTGなりをしたほうがいい
- もし、目の前の課題が起きても、各人で解決できるような人材を育成したいなら、1on1は効果的に使える
- 基本的にコーチされる人が、自分で考えを整理して、その答えを引き出していく流れになる
- だから、コーチングするときは、その答えがコーチされる人の中になければならない
- もし、コーチされる人が答えを知らないなら、教えたり(ティーチング)、答えを求められる人とコミュニケーションをとったりするしかない
- つまり、コーチングですべての答えがでるわけではない
- 相手によりコーチのアクションは変わっていく
- コーチングできる人は ≒ 答えを自分で見つけられる人
- もしくはそういうスキルがある人
- コーチングできない人 ≒ 知識やスキルがない人
- コーチングよりティーチングや自己学習に力を入れたほうがいいケース
- コーチングが必要ない人 ≒ まかせられる人
- コーチングできる人は ≒ 答えを自分で見つけられる人
傾聴
- 言いたいことがあっても、とりあえず聞く
- とくに1on1は相手の時間であるので、言いたいことがあればそれはフィードバックになったりするので、別の場であったり、コーチングが終わった後にやったり区切りをつけたほうがいい
- 相手が話しやすい場を作る
- 足を組むとか、Laptopを間に挟むとか、ちょっとしたことが邪魔になりがち
- 自分が話を聞いてほしいときに、相手にどういう態度でいてほしいか考えれば簡単なこと
- 聞き方の種類
- 1. 自分が主観で聞く: 普段の聞き方
- 2. 相手の目線で聞く: 価値観や判断基準を相手に合わせて考えながら聞く
- 3. 第三者として聞く: 「一般的に」「普通に考えたら」というように、話し合っている二人以外の視点でやりとりを聞いてみる
- コーチングだと2か3になるはず
- 「どう思いますか?」ってなったときは1の姿勢で聞いたり話したりもしている
- 聞くときの方向性
- たとえば、ある課題について相手が話した場合
- その課題に向かって話をすすめるのはコーチングにならない
- 課題解決への道のりとなってしまう
- なぜ?どうして?状況は? というように課題が具体的になっていく
- その課題に直面したその人に向かって話を進める
- その人の考えや価値観にむかう道のりとなる
- どう思ったか? なぜそう思ったか? というようにその人がより具体的になっていく
- その課題に向かって話をすすめるのはコーチングにならない
- たとえば、ある課題について相手が話した場合
- 聞いたときの伝え方
- 感じたことを素直に伝える
- 「え! そう思ったの!」 であったり、「ああ、わかってくれた」であったり、自分以外の考え方を知ったり気がついたりできる
- 感じたことを素直に伝える
質問
- 質問の種類
- 自分のための質問 = 1on1に不向き
- 自分と相手のための質問 = はじめの関係性づくりに必要
- 相手のための質問 = 1on1では最終的にこれが多くなるはず
- オープンクエスチョン = 余白のある回答がでてくる質問を選ぶと話が広がる
- 面接でも同じく使い分けますよね
- Yes/Noで知りたいときはクローズ
- どう考えたのか背景まで知りたい場合はオープン
- 質問の目的
- 僕の場合、相手によるアクションにつなげるための質問を多く使う
- 「じゃ、それを実現するために何をしたらいいんだろう?」
- 「今を評価した場合100点満点で何点ですか? それを100点にするにはどうすればいいですか?」
- 自己採点を多用するのは、自分で自分の背丈をはかれる人かどうかを見たり、知ってもらったりするため
- 自己採点がうまくできない人に限って、周囲ともうまくやれなかったり
- それ以外だと気づいてもらう、モチベーションを持ってもらう、視野を広げる・・・といった「こうなってほしいなー」という方向に合わせた質問をしていく
- 理想の状態や、願っている未来、大切にしたい価値観などについて問いかけると、よりその人の中心に場が進んでいく
- 手助けが必要な場合は「あなたがやれること」と「私にできること」を一緒に考える
- 「CCさんだったらどうするだろう?」と異なる視点で話すのも気づきにつながる
- 自分は困ったときは「スーパーエンジニアならどうするか? スーパーマネージャならどうするか?」を考えるタイプ
- 僕の場合、相手によるアクションにつなげるための質問を多く使う
認知
- 肯定的に認める
- ぜんぶ「そうだよね(自分の考えと同じ!受け入れる)」だと気持ち悪い
- 「へーそうなんだ」や「たしかにそうかもね(自分の考えとは違うけど受け止める)」でもOK
- おだてるのとは違うから、本当にそうおもったときに伝えないと、うさんくさくなる
- 肯定的に否定する
- これは個人的に思ったことだけど、同じように相手にとって否定的なことも伝える必要がある
- そのためには、対等であり、本当に相手のことを思っていることが理解されていなければならない
- 結局、関係性が超重要ね
- そのためには、対等であり、本当に相手のことを思っていることが理解されていなければならない
- これは個人的に思ったことだけど、同じように相手にとって否定的なことも伝える必要がある
さぁ、1on1
コーチングのトレーニングを受けてからしばらくして、1on1のトレーニングも受けてきた。これもリクルートマネジメントソリューションズさんの研修である。2つの研修はつながっているので、かぶっている部分がある。ただ、どちらもやるとたしかに新しい視点が手にはいった気分。
1on1の目的
- 自分たちで決めること。目的に対しての手段をわすれないようにする
- 流行っているからやる。はたいてい失敗する
- 1on1は、目標設定MTG、評価MTG、進捗MTGなどとは違う立ち位置がよい
- MTGには目的がある。目的にあうなら1on1で進捗確認してもいい。大切なのは、はじめに相手と目的がわかりあえていること
1on1への期待
- 人としての成長(人間性)やスキルの成長がある
- 1on1だと前者にフォーカスしがち
- 考え方を学ぶ場
- ロジカルに考える場
- 自己反芻して身につける場などなど
- 信頼関係を築く場
- これがないとなにもはじまらない
- 相手が時間を使う場
- 相手の時間であり、相手に時間を投資する場
- 投資にみあった成果を考える必要がある
- 成果の測定は難しいけど、社内アンケートなどに謙虚にあらわられたり、場合によっては業績に反映されたりするケースもある
- はなして、きがついて、やってみて、ふりかえる。そのきっかけとなる場が1on1
- これらはすべて相手の行動である。
- このサイクルをまわす手伝いをやっていく
- あなたは何をするのか
- 場合によっては、私には何ができるのか
1on1のやり方
- 意味の共有
- あなたの時間であること
- 1on1によって「目的」を成し遂げたいこと
- やりかたの共有
- 頻度や時間
- やってほしいこと、やってほしくないことの確認
- いざ1on1
- 傾聴しながら、コーチング、ティーチング、フィードバックを伝えていく
- 自分でコントロールできない結果目標(売上達成、ノルマなど)と、自分でコントロールできる行動目標(〜のためにXXXをしていくなど)を意識して話す
- 1on1では行動目標をうながしやすい
- 技術的な問題なのか、適応課題なのか
- 技術的な問題は、策がすでにあったり、過去に経験していたり、技術的に解決する問題
- 適応課題は、考え方を変えなければ乗り越えられない。1on1ではこれをうながしやすい
- たとえば、「XXさんが嫌い」とか。嫌いという事実より、「なぜそうなのか」を考えていって、事実と向き合えるようにしていく
- 最後は行動に落とし込むとベスト
- 次までにあなたは何をやるか
- 私には何ができるか(できないのか)
- その結果何を期待するか
- 逆に何をしないか
- 次までにあなたは何をやるか
- クロージングでは相手を勇気づける
- 1on1の視点
- 相手の行動を促す。つまり、促す側は時間的なコスト(1on1する時間)があるだけ
- つまり、相手が課題に取り組む、行動する流れを作るので、難しいけどできると楽
- ときにはサポートもするが、相手ができる環境を整えるといった活動になっていく
- コーチングと同じく、課題よりもその人そのものに向かっていくとよさそう
- 解を探すのもいいが、自分の考えや経験を当てはめていないか?
- それは相手にとってうれしい解なのか?
- つまり何が言いたいのかを一緒に探す旅
- 相手の価値観、自分の価値観、第三者的な価値観を使い分けていく
- 相手の行動を促す。つまり、促す側は時間的なコスト(1on1する時間)があるだけ
まとめ
1on1の書籍はいろいろ出ているので、それを読むだけでも学びはある。
ただし、わかるとできるは違うので、やってみるのも重要。
ただし、とりあえずやってみて関係性が壊れることもあるので、こういうトレーニングに参加するのもおすすめ。6時間のトレーニングはまぁ、普通かもしれないが、参加者と議論しながら学ぶのはとても刺激的で、ひとりではできない価値がある。