杭州の世界遺産「西湖」を歩いてザリガニを食べてきた

杭州に行く機会があったので、世界遺産「西湖」を歩いてきた。古き中国の水風景がたくさん残っており、のんびり歩きながら、穏やかな時間を楽しめた気がする。

いざ杭州へ

杭州国際空港は、とてもこじんまりした空港だが、新しくきれいで、あまり混み合っていなかった。そもそも、杭州への直通便が少なく、あっても成田からだったりするので何かと不便。

友人は、成田まで一時間かけるなら、上海で新幹線に乗り換えて一時間で杭州に来る方が便利と言う。たしかに、関空のほうが便数が多いので、羽田から関空経由でも一時間。経由したほうが近いかもしれない。

空港から都心までは、タクシーで30分くらい。DiDiが使えるので、日本でSMS認証しておくのを忘れずに。

河坊街。観光地化しているので、見るのは楽しいけどそれ以外はいまいち。

時間があったので古い街並みを再現した商店街「河坊街」を歩き、西湖でコーヒーをのんでから、友人が働く会社に向かい、社員食堂で軽く夕ご飯をつまんだ

お店の前にはテーブルが並び、だれもが食事とお酒を楽しんでいた。

その後、宿泊先である彼の家の近くにあるザリガニレストランで飲むことにした。

 ザリガニ釣りしていた身としては複雑な・・・。

ザリガニはスーパーでも売っていて、レストランで食べると少し高くなる。でも、家でやるには下ごしらえが大変だそうで、とくに洗ってゴミを落とすのはたしかにつらそうだなと思った。

味はエビとカニの中間みたいなもの。食べられる箇所が少ないので、結構な数食べた。

一緒に行った友人が「ザリガニって、子供の頃にペットとして飼ってましたよねぇ。でも、美味しい」と切ない日本語をつぶやく。

翌日は朝ごはんを近くのお店で食べた。このお店の小籠包が実に絶品で、とくに蟹の入ったものは、これまで食べたどの小籠包よりも美味しかった。なんだこの味の濃さは! ぜんざいのような少し甘いおかゆも美味しかった。

中川家の方かな?

世界遺産「西湖」

西湖周辺にはたくさんのベンチがあって、市民や観光客の憩いの場になっている。

西湖は杭州の中心地近くにある世界遺産の湖。一周10キロ以上あり、周囲は遊歩道が広がっているので、散歩したり、サイクリングしたりして巡れる。

市民用のシェアサイクル。カードをタッチして解除するタイプ。

周囲にはMobikeのようなシェアサイクルサービスや、省が提供するシェアサイクルの自転車が並んでおり、心なしか北京と比べるとマナーよく乗り捨てられていた。車も香港とは違い歩行者がいると止まってくれるので、とても民度の高いエリアに感じた。

世界遺産ともなる湖にはとても風情があり、西湖10景などよばれる名勝は、たくさんの観光客で賑わっていた。

西湖周辺は緑が多くてとても気持ちいい。

地元の方が言うには、学生時代は、授業のあとに時間を過ごした場所だそうで、周囲に住む人たちからも愛されている場所なのだろう。

西湖には観光船もあり、離小島を訪れたり、周囲をぐるっと回ったり、あちらの地点からこちらまで移動したりできる。

静かな湖面をすべるように進む船に乗ると、沖縄の牛車に乗ったときのように、風の音までもが風景の一部のように聞こえてくる。

昼食は、地元の方が子供のときから通っているお店「白鹿餐厅(龙游路店)」に連れて行ってもらった。オススメされた料理はどれも美味しく、何よりも安い。

普段旅先でお腹がゆるくなる僕なのに、今回の旅ではまったくそういうことがなかった。本当にどれも美味しい。

こちらは中国の紙幣にも使われている風景。

食事を終えてぶらぶら歩いていると、地元の英雄岳飛や、水滸伝の武松が祀られていて、中国の歴史を感じる。

でも、西湖自体は、数百年前に整備されたものらしいので、道や建物は古くてもとてもきれいだ。ところどころにキオスクや、カフェもあり、何件かあるスターバックスは、中国風の仕上がりで、風景を愛でながらコーヒーを飲める。なんて贅沢なんだ。

途中、雨が少し降ってきたが、湖や蓮の葉を打つ雨音がまた風情があっていいのだ。中国4千年の歴史ってやつだろうか。

夕ご飯は貝料理のお店へ。スマホの充電がなくなってきた友人は、レストランの人にモバイルバッテリーを借りていた。

この店は、テーブルごとにあるQRコードを読み込み、自分のスマホで注文するスタイルだから、スマホの電池がないのは致命的なのだ。おんなお客のためにお店もバッテリーや、チャージャーを用意してくれている。

翌日は近くのショッピングモールでお土産を物色。なによりも中国のスーパーの生鮮食品エリアがすごすぎる。

まるで水族館。カエル! ザリガニ! どちらもペットとして飼っていて感慨深い。肉コーナーは、カットされていない肉たちがあちこちにどーん!

ビールコーナーは、ドラフトビールで充実している。中国のビールは薄くてアルコール度数が低いので、何杯でも飲める。香港の人が「お酒はあんまり飲まない」と言っていたが、杭州はビール派に優しい。

この旅行で食べたものすべてが美味しかったが、やっぱり醤油ベースの料理が多かったからだろうか。醤油コーナーには大量の醤油が・・・。中華鍋を背負って旅をする少年マンガを思い出した。食文化すごい。

小さい商店のレジもアリババのPOSシステム。

杭州(というか中国)ではスマホが使えないと本当に不便で、アプリの中にあるアプリ(ミニアプリ)で配車以外も何でもできてしまう。

空港のケンタッキーも、注文はスマホからしかできない。注文時に電話番号が必要で困っていたら、やさしい店員さんが「12345・・っていれたら動くよ」と教えてくれた!

友人が話題のラッキンコーヒーを頼んでくれたが(味はまぁまぁ。スタバもここもラテを頼んでみたけど、牛乳が薄い感じがした)、杭州ではデリバリーがとても一般的。

店の前に山積みされたデリバリー商品。注文者や配達員が勝手に持っていくスタイル。

お粥のお店で朝食を食べていると、デリバリーの人や、取りに来た人が、自分のものを見つけて持っていってしまう。配達員を街中で見かける。

びっくりしたのは、店員さんに声かけたりしないこと。盗まれる心配がないということは、治安やマナーがとてもいいということだろう。

ショッピングモールでは、ボブ・ディランの曲が流れていて、女性が中国語で歌う「風に吹かれて」は、まったく違う曲のようだった。海外や日本で見かけるブランドが並び、多くの人が休日を幸せそうに過ごしている。疲れたお父さんはベンチで眠りこけていた。

西湖の古風な風景と、発展する都市の対比は、今の中国をよく表しているように思うが、僕なんかが思うより、もっと早い時間が流れていて、また次に来たときは、もとの姿を思い出せない街となっているのだろう。

「まるで、国土の広い広いシンガポールみたいだ」と友人が言っていた。そう、すごく古くてすごく新しい国。そしてスケールがでかい。