スクラムギャザリング東京の傾向と対策 #sgt2011

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スクラムギャザリング東京2011というイベントが10月に開催されます。

カンファレンスは、10月19日。ワークショップは10月22日とわかれており、17〜18日は、キーノート発表者による認定スクラムマスター研修、20〜21日は、特別講演者の認定プロダクトオーナー研修が開催される予定です。

私は、今回、認定プロダクトオーナー研修に参加する予定でして、初日のカンファレンスやワークショップは、後輩2名に託す予定です。そんな二人のために、このカンファレンスの見所などを、現段階で公開されているプログラムを元に、僕視点でまとめてみたいと思います。この記事は、Agile2011でとてつもなく参考にさせていただいたAgile2011の傾向と対策 via @fkinoのパクリです。

10/19 カンファレンス

キーノートは、InfoQに掲載されている「塹壕より Scrum と XP」「かんばんとスクラム 両者のよさを最大限ひきだす」の著者でもあるヘンリックさんです。僕はこれら資料を最近になって読んだのですが、実際のプロジェクトで直面した問題と、その解決方法について、とてもよくまとめられた資料でした。PDF版は無料でダウンロードできます。キーノートのタイトルは、現在のところ「Change ~ 組織の特性に合わせた、アジャイル導入の勘所 (仮)」です。日本でもアジャイル開発がムーブメントとなっており、導入を考えているという話をよく聞きますが、組織はそれぞれ特徴があるものですので、彼の発表をとても期待しています。

次に、特別講演のジェフパットンさんは「プロダクトマネジメント情熱教室 ~ アジャイルな要件定義で顧客の心を捉える(仮)」を発表予定としています。Agile2011で、彼の「User Story Mapping@kkdさんが日本で共有している資料もあるみたいですね)」というセッションを聞きたかったのですが、聞くことが出来ず、参加した@kawagutiさんに聞いたところ、彼のセッションは大盛況で、立ち見もはいらないぐらいだったそうです。Agile Usabilityのイメージが強いため、デザイン中心の方かと思っていたのですが、製品を生み出すプロセスや、ユーザーストーリーを使った地図づくりなど、見えないものを形にするためのマネジメントを、楽しめるセッションになりそうです。

「Yahoo! JAPANにおけるアジャイル開発、スクラムへの取組み ー 組織と現場から」は、日本のWebサービスを牽引するYahoo! Japanさんのセションです。日本のWebサービス会社の大規模事例が発表されることが期待されます。海外だと「一気にスクラムしたった!」とかよく聞きますが、日本の場合だと、スクラムで人事制度を一新した東京海上日動システムズさんのような、大掛かりな取り組みはまだ少ないと思います。Yahooさんの大規模発表は、Webサービス業界だけでなく、ソフトウェア業界全体の、アジャイル採用を加速する可能性があります。

最新事例集では、今年のXP祭りで講演をされた、ECナビの小芝さんの事例を聞いてみたいです。私は参加できなかったのですが「事業創造に貢献する”最速最高”プロジェクト推進活動」の資料がとても面白かったので見逃せません。

10/22 ワークショップ

「Agile Transformation Strategy」はSubversionで有名なCollabNetのスクラムビジネスマネージャのラズローさんのセッションです。別の機会で、彼と話すことができたのですが、CollabNetが開発しているScrumWorksは、韓国モトローラで数千人規模で導入されており、スクラムをつかった開発が実践されているそうです。企業をアジャイル化するビジネスによって成功を収めているCollabNet。ラズローさんの発表が楽しみです。

「アジャイルとクラウドでビジネスが加速する」は、SonucGarden倉貫さん。Amazon玉川さんのセッションです。倉貫さんはアジャイルマニフェストの日本語版翻訳にも関わった方で、ARC(Agile、Rails、Cloud)を活用したビジネスを展開されています。最近、聞くようになったリーンスタートアップの実践者でもあります。一方、玉川さんはAWSというインフラを提供する側のエバンジェリスト。インフラの常識を覆したAmazonと、インフラ活用を活用しビジネスを実践するSonicGardenの対話は、これからのビジネスの形を感じるものになりそうです。

個人的には、「ユーザーストーリー作成 ワークショップ」が気になっています。このセッションを担当する角さんは、すくすくスクラムの「ユーザーストーリービギンズナイト」で初めてお会いすることが出来ました。私にとっては初めての勉強会で、同じテーブルに角谷さんがいたことも印象に残っています(当時は名前も知らなかった)。勉強会はとても面白いもので、日本で文献が少ない「ユーザーストーリー」を扱ったものです。恐らく、ユーザーストーリーを使っている人は多いと思うのですが、その内容を「とっても知っている」人は少ないのではないでしょうか。そういった意味を込めて、角さんのセッションははずせないと思います。

「スクラムコーチによる実践Q&A」の原田さんは、Agile2010でお世話になってから、いろいろと実践的な考えを教えていただいており、とても尊敬している方です。そして、「DevLOVE Agile Development in Action」や、E-Agilityなどでも発表されている、懇親会でビールを飲んでいるときに出会うケースが高い永瀬さんも、アジャイルコーチとして活躍されています。この二人のQ&Aがどういう風になるのか想像がつきませんが、彼らの豊かな経験を元に、いろいろディスカッションができるのではないかと思います。

Scrum Boot Campは、横浜開催で参加させていただいたのですが、「スクラム全体の流れや作業を体験し、学びにつなげる」形のものでした。実践者には物足りないかもしれませんが、あらためて講師の話を聞くことで発見もあります。今回も1日を通してのワークショップのようなので、ぜひぜひ、たくさんの人と交流し、議論し、学習することを体験してください。

まとめ

はじめにも書きましたが、キーノートのヘンリックさんや、特別講演のジェフさんによる認定コースも見逃せません。日本の場合は、認定コースは限られており、まだまだ、コーチを選んだりできない状況ですが、海外のアジャイル実践者二人のコースが開催されるということは、またとないチャンスでもあります。

最後に、スクラムギャザリング東京2011は、スクラムを中心とした珍しいカンファレンスです。もしかすると日本では初めてのスクラムカンファレンスかもしれません。海外スピーカーや国内事例を始め、ワークショップまで、現場改善に熱意を燃やすマネージャ、エンジニア、リーダーだけでなく、ビジネスサイドからでも楽しめる内容になっていると思います。

この機会をお見逃しなく!