ふと百名山に登る。第20座は大自然を歩く屋久島・宮之浦岳(鹿児島)

今年最後の遠征は、屋久島の宮之浦岳(みやのうらだけ)に決めたのは、出発する数日前だった。仕事の予定を計算して鹿児島に移動し、土日で屋久島の百名山を登る。飛行機の時間を調べてみると、なんとかなりそうに感じた。チケットをすぐにおさえ、鹿児島へと向かった。

屋久島へ

平日に仕事を済ませ、ついでに韓国岳と開聞岳を登った。飛行場からは、登った韓国岳がきれいに見えた。登山中に飲み干せなかったカルピスウォーターを飲みながら、フライトまでの時間を待った。

屋久島へは高速フェリーと飛行機が選べる。飛行機は便数が少ないが、鹿児島空港から鹿児島市内にあるフェリー乗り場まではなかなか距離があるため、お金はかかるが飛行機のほうが圧倒的に速い。

滑走路を飛び立つと、すぐ左に桜島がきれいに見えた。フェリーからみた桜島も迫力があったが、飛行機から見るとまた違った力強さを感じる。

屋久島についたら晩御飯を買ってホテルへ。今回は空港前のホテルを予約し、空港前にあるカーシェアを利用した。当日は開聞岳に登って適度に疲れていたので、21時ぐらいにすぐ寝た。

淀川登山口駐車場。右側にはトイレと小屋がある。写真は登山後に撮影したもの。
こちらも登山後の写真。登る前はまっくらだったもので。

朝3時に起きて準備を済ませる。ホテルだと車を降りたらすぐ出発できる準備ができ、ベッドの上でストレッチも済ませられる。

ホテルから登山口となる淀川登山口までは1時間少し。道は2車線が続き、山道もバスが通れる適度な広さがあるので快適。ただ、狭いので動物と車とのすれ違いには注意しなければならない。

登山口の駐車スペースはわずか4台。奥側に4〜5台停めるスペースがあり、駐車場近くの側道にも何台か停めるスペースはある。オフシーズンの12月だが(地元の人が言うのはもうすぐ雪になる時期らしい)、車はかなり停まっていた。

こちらも登山後の写真。

登山口前で準備運動を行い、ヘッドライトをつけて、まだ暗い道のりをゆっくり歩いていく。ソロで登山する場合は、はやめに山を降りたいので、陽が昇る前に歩きはじめ、昼には戻ってこられるようにしている。そうすると心の余裕が生まれる。

真っ暗な登山道はとても怖い。でも、何回か繰り返すことで恐怖心はなくなってきた。登山の場合、動きはじめの30分は、体を慣らすためにゆっくり歩く。せっかちな僕は普段歩くのが速いので、暗い道がちょうどいい制約となり、登山に備えるための重要な時間になりつつある。

ゆっくりゆっくり息を整えながら歩く。宮之浦岳までの道のりは、起伏があるためペースを上げにくい。最後にアプリでペースを見てみたが、下りとなる帰り道は普段さくさく進めるのに、今回はあまり時間を稼げなかった。

でも、その緩急ある道のりを歩いていると、長い年月をかけて独特な風景を創り上げてきた屋久島の森をじっくり堪能できる。ときおり目の前に現れる巨木に驚き、しんしんと静かな森の中で孤独を十分に堪能できる。

だんだん明るくなってきた。あとどれぐらいで日の出になるのだろうと時計を何回も見直す。日の出とともにオレンジ色の朝日が森に差し込む。山を照らす。温度の変化をわずかにかんじながら、雲ひとつない空を見上げる。

ライトを消して歩くペースを上げる。今回は2時間の闇夜を歩いた。これまで最長となったが、屋久島の森はそれでも楽しめる。時間には余裕があり、体にも余裕があった。油断はできないが、きっと今日はうまく登れるだろう。

頂上からの風景。この風景のどこかに縄文杉がある。

山を巻きながら歩き、徐々に頂上が見えてくる。似たような風景が並ぶので、頂上だとおもったらまだ先が・・・が続く。やっとのぼりきったとき、思わず「やっと着いた・・・」と声が出た。頂上に到着するのはうれしいものだが、宮之浦岳は遠い。屋久島も遠く、登山口からも遠く、雨の島なので登れるチャンスも遠いのだ。だから、今回は感慨深いものがあった。本当にやっとたどり着いた。

深い深い森の先から見下ろしてみる。どこをみても海が遠い。本当に遠くまで来たものだ。12月なので人も少なく、静かにじっくり歩くことができた。

この森にはまた来てみたい。またじっくりと孤独を感じながら、森の息吹を感じてみたい。

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第20座 日帰りソロピストンで宮之浦岳 / daipresentsさんの宮之浦岳栗生岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ