子供向けプログラミング教室のバイトを辞めました

子供向けプログラミング教室のアルバイトを辞めました。1年の契約でしたが、非常事態宣言で10ヶ月ぐらいの勤務でした。なによりも、18年ぶりぐらいのバイトでしたが、何かと新鮮で楽しかったです。子どもたちには未来しかありません。

なぜバイト?

学校でもプログラミングの授業が行われるようになり、プログラミングに関わる仕事をしている身として、どういった内容を教えているのかが気になり、色々調べたりしていました。

また、子どもがキーボードを叩けるようになってきたので、面白そうならやらせてみたいなぁと思っていた次第です。

そして、育休中にScratchの無料コンテンツを作ったり、プログラミング教室のバイトが決まってからは、休日にArduinoの回路コードを作り、酒を飲みながら勉強するようになりましたなりました。

学んだこと: プログラミング教室なんて通わせるもんじゃない

僕が通っていた教室だけなのかはわかりませんが、プログラミング教室のコンテンツはひどかったです。動作確認すらしていないクソコードなんて当たり前で、その影響で授業が止まることもしばしば。そのたびに報告書(毎回手書きで書かされる)に「せめて動作確認しろやゴラ!」「それでもプロか!」とマサカリを投げ続けていました。

さらに、教科書には無駄な講釈が多く、生徒は誰も読んでくれません。おそらく、教科書を作っている人は教育のプロでもなく、プログラミングのプロでもありません。Arduinoなどを使った日曜電子工作されている方のブログを読んだほうが、わかりやすくてためになります。

教育としての「プログラミング」が有名になってきて、学校でも導入されるようになり、親御さんの財布を狙ったビジネスとして、品質の悪いものが出回っているのかもしれないなぁと感じました。

もし、自分の子供のためにプログラミング教室を探すなら、

  • 問題を小さくわけて
  • それぞれの問題を解決し
  • 順番に組み立てながら
  • 少しづつ完成させていく

というプロセスをたどっている教室を選ぶといいと思います。「これからはPythonです!」とか言ってる人を見かけましたが、子どもたちが大きくなったときにPythonが残っているとはかぎりません。そもそも、プログラミング的思考と職業訓練は別です。本質的な部分をきちんと教えてくれる教室を選ぶべきでしょう。

そして「失敗していいからどんどんチャレンジしてみよう」と言ってくれる先生がいればいいとおもいます。

バイトがはじまったときに「みんな、どんどん失敗していいからねー」と言うと、ある子供が「失敗はだめだ」と言いました。なんでだめなの?と聞いてみると「失敗したら怒られるから」と答えました。

「じゃー、先生の授業は怒らないし、むしろ失敗をほめたいから、どんどん失敗してねー」というと、はじめはおそるおそるだった子どもたちも、徐々にチャレンジするようになってきました。

「いいからやってみよう!」「あー失敗した!」「もう1回やってみよう!」「やったー!」と、チャレンジすればするほど、失敗すればするほど、「やったー!」の数が増えた気がします。

子どもはどんどん伸びます。失敗してもやり直せばいいし、ソフトウェアはすぐに治せるから安心してね(ミッションクリティカルなシステムだと辛いけどね)。

学んだこと: 教え方がわかってきた

読んでもわからない教科書のせいで、子どもたちは教科書のコピーばかりしてしまい、自分で考える力が身につきません。話を聞いてもわからず、授業についてこれず、いわゆる「落ちこぼれ」が生まれる仕組みがきれいにできあがっていました。

なんかこれ社会人でもいるよな・・・。でも、落ちこぼれを作る仕組みのほうが絶対変です。

なんとかならないものかと、ペップトークの本アクティブラーニングの本を読み漁り、最初は教科書を修正してスライドを用意したりもしましたが、結局はホワイトボードを使って対話をしながら学んでいくスタイルが一番評判よかったです。

授業に関係ないことでも、質問をみんなで考え、話しながら答えを探していく・・・。もうプログラミングとか関係ない話ですが、ファシリテーションやコーチング、プレゼンテーションと、仕事でやるようなことを子どもたちにすると、誰もが真剣に話を聞きながら、「うーん」と頭をひねってアイデアを話してくれました。

子どもに教えるのはとてもいい経験になります。

たとえば、幼稚園や小学校低学年だと、使える言葉や文字が限られます。さらに、より理解できる内容に噛み砕いて説明しなければ、理解してもらえません。

しかし、その歯車がカチン!とはまると「わかった!」になります。そこからの勢いはすごい。1時間半の授業でも、スイッチが入ると休憩せずにずっとプログラミングと回路づくりをします。

彼らのモチベーションや好奇心、アイデアには脱帽です。短い期間でありながらも別れはとても寂しいものです。ずっとマスクだったから、彼らの真剣な顔や笑顔をちゃんと見たかったなー。輝く未来が彼らに訪れることを信じたいと思います。

みんな、興味があったらIT業界に来ておじさんたちを救ってね。みんな良い人生をな。