書評『DMM.comを支えるデータ駆動戦略』

ご縁があって『DMM.comを支えるデータ駆動戦略』をいただいて読み終わりました。とてもいい本だったので感想を残しておこう思います。

DMM.comを支えるデータ駆動戦略

本書は著者が所属するDMM.comという企業の事例をベースに、どのようにプロダクト開発(サービス開発)を行ってきたか? どのような組織づくりを行ってきたか? がまとめられた本だ。タイトルにあるように「データ」を様々な活動の中心に置き、事例とともに実践的な情報の詰まった内容になっている。

おそらく、読者の職業や役割、経験によって、この本の読み方は変わってくるだろう。

たとえば、「何を」作るかに関心があるなら「Part1: 事業を科学的アプローチで捉え、定義する」を読めば、プロダクト開発における企画やその結果検証、データ活用、意思決定などがよく理解できる。

「どうやって」作るかに興味があるなら「Part2 : 強固な組織体制がデータ駆動な戦略基盤を支える」が役に立つ。方法論だけでなく、それをどのように組織に適用していくか、組織を作り上げていくかの詳細をここまで説明する書籍は珍しいだろう。

もしかしたら、ソフトウェアプロダクトの事業開発や企画の経験があったり、アジャイル開発・スクラムといったプロセス改善やエンジニアリング組織に関わったことのある人であれば、物足りなさを感じるかもしれない。僕自身も、本書で扱うテーマについて多少の経験があったため、新しい発見は少なかった。

しかし、まだ経験の浅いプロダクトオーナやエンジニアであれば、本書によってプロダクト開発の全体像を理解でき、データや方法論を活用するアイデアを得られ、自分の現場でチャレンジできる土台を手に入れることができるだろう。

プロダクト開発の現場で長年苦労して学んできた内容が、このように簡潔に、わかりやすくまとめられているなんて、本当にうらやましいかぎりだ。

最後に、本を読む機会をくださったマイナビ出版社の担当者様には感謝いたします。

作られたレビューやお友達レビューが散乱している言いたいことも言えないこんな世の中でありながら「書評についても遠慮は無用です!」と言ってくださるところがとてもス・テ・キ。

それにしても、新卒入社6年目でここまで書ききれる著者って・・・頼もしくも末恐ろしい限りです。