昔、とあるQAエンジニアが「マニュアルテストなんて誰でもできる」と言っていた。それを聞いて「だったら、それって自動化できちゃうね。あなたの仕事なくなっちゃうね」と話した。「そうなると、あなたが今やってることって価値あるの?」
誰でもできること
仕事の中には誰でもできることがある。
わかりやすいのがバイトの仕事。誰でも同じ品質となるように洗練されたマニュアルや仕事内容だから、そのぶん単価が安い(最近は人手不足で高くなってきたそうだが)。
でも、マニュアルテストは「誰にでもできる」ものなのだろうか?
誤解を恐れずに言うと、マニュアルテストにもそういった「誰にでもできる部分」はあると思う。
ただ、手を動かす当事者が、「誰でもできる」と思っている場合と、「私にしかできないこと」を考えながら仕事をしている場合では、その成果に大きな違いが生まれるような気がしている。
おそらく「誰でもできる」と思っている人は、誰でもできるところもできないところもわからずに(考えもしないで)、時間で課題を解決しようとする。一方、そうじゃない人は、きちんと仕事の内容を切り分け、アウトプットの質で勝負しようとする。
何度も書くが、この両者の違いはとても大きい。経験上、その差はとても大きいのだ。
いくつかの品質保証会社の採用をみると「経験不要!」と書いてあったりして、「エンジニアリング」というより、ただのリソースとしてカウントしている感が強い企業もある。こういう企業があるから「誰でもできる」と思うだけの人が生まれるのかもしれない。
さらに、日本だとテスターの地位がまだ低いのか、テスター = QAエンジニア = 労働力 と思っている人が多く、いかに安く品質を(人を)買うかを目標とする品質組織もある。
たぶん、そういう組織は、「誰でもできる」と思っている人と同じで、アウトプットの質が悪い。
また、そう思っている限り、一生、価値が高まることはなく、アルバイトのような賃金の考え方になり、一生時間で稼ぐしかなくなる。
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「そうなると、あなたが今やってることって価値あるの?」
そう聞いた後に、その人がなんと言ったかはうる覚えなのだが、おそらく、自分の言ってしまったことに気がついたのだと思う。なぜなら、もうそんな主張を僕の前でしなくなったから。