海外のエンジニア採用や面接をしていて学んだこと

Mysterious Globe

グローバル化の波の影響をもろに受けたためか、海外のエンジニア採用に関わることが多くなってきました。これまでだといろんな国籍の方を面接したり、去年だと、シンガポール、香港、北京、上海、インドと現地に行ったり、いろんな経験ができたので、忘れないように学んだことなどをメモ。

海外エンジニアの中途採用

昔は日本人のときと同じようなやりかたをしていたのですが、あるときに同僚の外国籍のエンジニアの面接を見て、スキル面のチェックは、単なるQ&Aではなく、以下のようなやりかたに変更したことがあります。

  • ホワイトボードにコードを書いてもらう(細かい文法は気にせず、設計手順や考え方などを見る)
  • ホワイトボードに経験したプロジェクトの中から、思い入れのあるものを選んでもらい、システム全体の概要を説明してもらう。さらに、自分の担当した箇所の説明。改善するならどこをどうするかなどをブレークダウンしながら聞いていく
  • 事前のプログラミングテストは必須

さらに、カルチャーマッチング面は、日本企業にきてもらうケースが多かったので、以下の点を念入りに確認しています。

  • 言語バリアについてどう考えるか。現状ある言語面の課題を相手に共有しながらどう思うかを確認
  • おなじく、日本国内での生活について、想定されるトラブルなどを話ながら、どう思うかを確認
  • 日本語を学ぶ意欲の確認

特に「日本語を学ぶ意欲」について、中には「日本語を聞くだけで嫌」という人もいるので、どれぐらいフレンドリーに考えているかを気にしながら確認しています。

また、これは経験上の持論ですが、日本人が英語を学ぶべきなのであれば、海外の人も英語を学ぶべきだという考え方を伝えるようにしています。そのほうがお互い歩み寄ることになりますし、お互いに教え合う環境にもなるからです。

海外エンジニアの新卒採用

国内もなんですが、新卒の採用はすごく難しいと感じています。なぜなら、中途の方のような経験も少なく、ポテンシャルというまだ見ぬ部分をどこまで見極められるかが問われるからです。

よって、基本となるプログラミングスキルを念入りに確認して、あとはカルチャーマッチングに時間を費やしています。あとはポテンシャルの測定として学ぶ姿勢、わからないことを答えるときに、どういうロジックで考えているかを確認します。

そして、海外だと日本国内企業の知名度は低いため、「なぜ我が社を選んだのですが?」的な質問は効果を発揮しない気がします。CVもきちんと書いてくれなかったり、企業の調査もあまりなかったり、「そこまでやるの面倒だからいいやー」という雰囲気を感じます。それこそ、グローバル企業になって、誰もがこぞって応募してくれるような戦略をとっていかないとだめなんでしょうねぇ。

あとは、国籍によっても多少の違いを感じています。以下はあくまで僕の主観でしかないですが、簡単にまとめてみました。

インドの学生のイメージ

  • 採用自体が大学主体で厳しく制約されているので、超買い手市場。新聞にも「XXキャンパスで1000万オファー出たぜ!」とか掲載されるぐらい白熱。そのせいか、「この企業で、このポジションで、これをやりたい」という意識があまり強くない
  • 一方で、いい人はすぐ就職が決まり、そうじゃない人は決まらないという厳しい競争社会もできあがっている
  • 勉強ができるという意味の頭の良さは高い
  • 学校では世界的ブームのAIやMLを学んでいるせいか、学生全体がそのポジションに殺到してしまう。よって、それ以外のポジションの適性を見る手段やプロセスを用意しなければならない。
  • 多くの人がバッチ処理などのプログラミング経験を持っているが、Web技術経験を持っている人が少ない。その分の育成コストがかかりそう(偏りを感じるんですよね)
  • インド英語なので、なまりが強いと英語Nativeとのコミュニケーションも難しいらしい

インドの学生文化や就職についてしるならこの映画が一番です。

リンク: 『きっと、うまくいく

国の文化や歴史を学ぶならこのシリーズが最適です。新しい国を訪れるときは必ず読むようにしています。

リンク:『現代インドを知るための60章

シンガポールの学生のイメージ

  • エリート学生は、留学後に国の有職についたりする。また、国から補助金が出たりするので、それを返済しないと動けなかったりするので、エリート層の獲得が難しく、応募の母数も少ない
  • グローバルな環境のためか、フロントエンドからバックエンド、アプリまでいろんなインターン経験、個人活動経験がある人が多い。
  • 英語でコミュニケーションが取りやすい。シングリッシュと言うけど、そこまで違いがわからなかった。

シンガポールを知るならこの本がベスト。物語としてめちゃくちゃ面白く、感想も別の記事で書いた

リンク: 『物語シンガポールの歴史

中国の学生のイメージ

  • スマホゲームが流行っている影響なのか、趣味でゲームを作る学生などは、Web全般の開発スキルを持っている
  • 就職先を国内にするか、海外にするか、両方探すかで、志向がわかれている気がする。たとえば、国内の大企業(アリババ、テンセントなど)を狙う人。国内だと大企業は「996(朝9時から夜9時を週6日勤務という意味)」だから嫌だという人。留学も経験していて国内外で広く探す人。。。と、はじめに「どのへんを狙っているか」聞いておくと、面接の時間価値がお互い高まる気がする
  • 英語を話せる人と苦手な人のギャップが大きい。僕の発音が悪いのもあるのだろうけど、得意じゃない人はコミュニケーションで苦労するのが見える。ただし、中国の方は感じがある程度読めるので、日本語との親和性は高い(日本語能力試験N1だけど喋ってみると?って言う人もよく出会う)。

あとはテック頭脳が集まる中国版シリコンバレーを歩く——北京でユニコーンが生まれる理由のような記事も多くでてきているので、「大学名+スタートアップ」とかで現地情報をググるのもおすすめです。

香港の学生のイメージ

  • UKの植民地だった影響か、中国の学生とはちょっと違う雰囲気。話していると日本人学生と話しているみたいで、会話が楽しい(ただ、中国返還後、文化の大陸化が進むであろうから徐々にかわっていくのかもしれない)
  • 多国籍、グローバルな環境が当たり前なので、こちらもフロントからバックエンドまで幅広く経験した人が多い
  • 小さいエリアのせいか、応募母数が少ない。このへんはシンガポールに似ている気がする
  • 英語が通じる国なので面接がしやすい

香港は激動の地域なので、その歴史はとても奥が深いです。

個人的には香港の学生は日本でもすぐ大活躍してくれるイメージがあります。台湾とかももしかしたら近いかもしれませんね。

おわりに

面接をしていると、基本的に確認したいことは決まっていて(スキル or ポテンシャルとカルチャーマッチング)、あとはそれをどう確認していくかが問われます。

たまに、違う経験を積んだエンジニアと面接に挑んだりすれば、違う視点でのアプローチの仕方を学べるのでとてもおすすめです。たとえば、MLエンジニアと一緒に面接して、終わったあとに「あれってどう答えるとGoodと判断しているの?」とか聞いたり。

あとは時代や文化ごとの違いがあるだろうから、そこを面接官が加味できるようになり、候補者が面接で輝けるようにファシリテーションするスキルも必要なのかもしれませんね。

他の国を経験された方の話も聞いてみたいものだ。

面接ノウハウは定期的にまとめているので以下も参考にどうぞ。

https://daipresents.wordpress.com/2016/engineer-interview/

https://daipresents.wordpress.com/2016/questions/

https://daipresents.wordpress.com/2016/pbi/

https://daipresents.wordpress.com/2014/interview/

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