5月31日にmineoが新サービス記者会見を開催されました。気になって発表資料を読んでみると、そこらへんの有名企業の決算資料より面白い! きっとこれは、mineoのサービスやユーザに対する愛が込こめられているからではないかと思い、気になった点をまとめてみました。そこには、サービス開発を成功させるヒントがたくさんありました。
mineoの成長
MVNOであるmineoの重要KPI(であろう)回線数は激増。去年の5月に7万件だったのが、今年の5月で30万件と大幅に伸びています。
Dプラン(Docomo端末向け)の登場と増加で、mineoの特徴である、「Docomoでもauでも、どちらの端末でもそのまま格安SIMが利用できる」メリットがグラフに現れている気がします。
ユーザの心境の変化
今年のはじめまでは「データ通信だけ(シングル)」の利用者が多く、最近ではMVNOの認知度もあがった影響か、「音声通話とデータ通信(デュアル)」の利用者が20%以上伸びているとのこと。
MNPを使って乗りかえるユーザが増えてきたのは、今年に入ってからなんですね(もっと前からだと思っていた)。ということは、乗りかえのハードルが下がり、メイン端末としてのMVNOが増えてきたということは、3大キャリア(Docomo、au、Softbank)からの流入がさらに増加するかもしれません。
mineoのアクションプラン
mineoの成長をささえるエンジンは何か?
ひとつは「サービス開発力」に注目しました。上記は、2015年から今年にかけての施策一覧です。ソフト面、ハード面と施策の規模はバラバラですが、単純に考えて6ヶ月に5リリースと、ほぼ毎月攻めのリリースを積みあげています。
さらに、8ヶ月で42回の増強と守りのリリースもきちんと実施されているようです。先にmineoに移った友人が「通勤時間や昼休みに、回線が重い時間がある」と言っていましたが、今のところあまり不満を感じていません。どちらかというと「思った以上にいい」です。
mineoのサービス品質
mineoを支える成長エンジン。もうひとつは「サービスの品質の高さ」です。
まずは、ユーザコミュニティとして盛り上がりを見せている「マイネ王」。投稿数は1日に約600件と活発で、ユーザ同士が情報交換や自発的な発信をすることで、サポートの質が好循環で高まっています。
最近だとAIでユーザサポートコストを激減した事例がありましたが、こういったコミュニティは人間味があってとても良いですね。コミュニティはその運営が難しいように思いますが、サポートの御礼として10MBのパケットを渡せる「チップ」という機能が、「お金」だとハードルが高く、「いいね」だとやがて虚しくなる「対価」をちょうどよくしている気がします。
さらに、余ったパケットをみんなで貯蓄する「フリータンク」。余った人が困っている人に気軽にパケットを提供できます。この機能はmineoにとってだけ考えるとメリットはなさそう。パケットが余ろうが代金は固定で変わりませんからね。でも、ユーザにとってはとてつもなくメリットがあります。
フリータンクのユーザメリットは、mineoの「公開データ」をみれば一目瞭然です。上はフリータンクの利用状況。面白いのは、毎月20日ぐらいにパケットが足りなくなる人がいて、困ったユーザはフリータンクから引き出して使わせてもらっています。いまのところ、善意の提供が勝っていますね。
30万人のシェアリングエコノミーは、熊本地震の被災者支援にも活用されています。義援金ならぬ義援パケットです。フリータンク以外にも、特定のユーザ間でパケットの翌月繰越しや共有ができるパケットシェアや、特定のユーザにパケットを提供するパケットギフトもあります。
上記のようにパケット残容量の見やすさもピカ一なので、僕の場合は、家族4人でパケットを共有しているので、それぞれが使いすぎてないかも人目でわかります。自分のお財布がよく見えていると、募金もしやすいってもの。auだったときはリンクをたどって行った最後に「お電話か来店ください」だったのに、大抵の手続きがスマホでできちゃうマイページの使いやすさもすばらしい点です。
余談: ここでひとつ気がつきました。mineoの料金プランをみるとよくわかるのですが、500MBから3GBまで料金に大差がありません。僕の嫁や両親は1GBに満たないユーザなので、もっと安くなってくれるといいなーと思ったのですが、そうすると安いプランを選んで、フリータンクをフリーライドするユーザが増えそうですね。料金表もよく考えられている気がする。
mineoのネクストステップ!
優先通信できるプレミアムコース、ユーザが評価できるサービスレビューの新設、大規模なオフ会の開催、新規契約手数料が無料になるエントリーコードプレゼント(しかも2個! 嫁の両親も移設したくなった!)、通話パックプラン、販売店舗拡大、店舗サポート充実化、その他にもたくさん!
今回の記者会見ではたくさんの新サービスが紹介されましたが、一番印象に残ったのは「アイデアラボ」です。
これだけ強力なユーザとのコミュニケーションがとれるなら、そのアイデアを活かせば、サービス改善だけでなく、新サービスの創出にも役立ちそうです。そしてその結果は、mineoにとってもユーザにとってもうれしいこと。もし、この最強のフィードバックサイクルができあがったら、どんなサービスが生まれるのか? とても興味があります。
最後に、躍進するmineoのブランドステートメントをご紹介。「仲間」には「ユーザー」も入っているのでしょうか。楽しい方へ進もうとする彼らの次のサービスに、とても期待しています。
参考資料: