IT人材白書2015をガリガリ君を食べながらナナメ読んだ

IT人材白書2015
毎年恒例のIT人材白書が公開されました。これは、日本のIT業界の現状や動向を知るにはもってこいの冊子です。ざっくりナナメ読みして、面白かったところをいくつかメモメモ。

IT人材白書とは

前年度(2014年)の様々なデータがまとまっていて、経営者や人事担当、IT部門責任者、教育機関など、様々な人が活用できる情報になっています。日本のIT業界の現状を知ったり、将来の動向を考えるにはもってこいの冊子です。

ただ、日本のIT産業の中心がSIerなので、「IT企業」はそれを指しているのだと思います。Webサービス会社にいるとズレを感じたりもしますが、どこかでつながった部分はあるので一読するのをおすすめします。

冊子版はAmazonで売っていますが、PDF版はアンケートに答えるだけで無料でよむことができます。今回はPDF版『IT人材白書2015』を元に記事を書いています。

IoT、ビッグデータ次代の人材

IoT(モノのインターネット)が話題になって、組み込み系エンジニアが再注目されています。ただし、これまでのスキルだけでなく、

  • セキュリティ
  • Web技術
  • スマートデバイス

といった新しい分野のスキルまで必要になってきました。主にスマートフォンとの連携や、モノに含まれる情報を守る技術が必要になってきたからでしょうか。

また、モバイル、データ分析も変わらず人気。データ分析スキルはIT、ビジネスに続く技術になりつつあるみたいです。

面白いのはベンチャー企業についての情報。ベンチャーの総調達額が1000億を超え、リーマンショック前の情報を軽く突破したようです。いやでも感じるこのスタートアップブームは本物だったんですね。

ただ、調達した企業の数はそれほど増えていないので、1社ごとの額が大きくなり、チャンスがあれば大きな資金を手に入れられる環境ができてきたのは、起業する側にとってもいいことですね。

IT部門はどこに行くのか?

攻めのITの意識はあるみたいですが、まだまだシステム運用といった守りの部分が大きいようです。

業務プロセスの変革や現行ビジネスの拡大、新たな事業開発の支援といったIT部門への期待は大きいですが、これが現実になってくるまでには、まだまだ時間がかかるのかもしれません。

IT企業の人材不足

みんな大好き人材問題です。2015年は超大型受託案件が多く、人材不足の年みたいですね。こういうレポートを読むと、定期的な大型案件は公共事業みたいに見えます。

人材不足の予想を見ると、一番多いのが「長期的に続く(36.1%)」で、ついで「2016年頃まで続く(30.3%)」、オリンピックのある「2020年頃まで続く(28.9%)」となっています。

人材不足への対応については、新卒や中途ですらもう間に合わない状況。中高年採用、女性採用、外国人採用と、その扉は徐々に開きつつあります。というか、今まで閉じてたのがよくなかったのだろうなぁ。

IT企業が求める技術力は

  • 顧客(業務)分析力、企画力
  • アプリケーション技術
  • PM手法

と、受託開発に関係するスキルが並んでるのも面白い。やっぱり、日本は開発に力を入れる企業がまだ少ないんでしょうね。

人材育成に関しては、若いうちからのプログラミングなどが最近話題ですが、産学連携の教育が徐々に浸透してきたみたいです。すばらしい。たしかに、「学校でプロジェクトに参加してました」みたいな話もだいぶ聞くようになりました。インターンも当たり前に聞くし。

イギリスでは「コンピューティング」という学科を取り入れ始めたようなので、こういう取り組みは先んじてやってほしいところです。

IT人材数統計

受託で推定56万人。全体で84万人ぐらいいるみたいです。情報処理サービス業(11万人)ってのがWebサービス会社でしょうかね。ずっとまえに「Twitterで全エンジニアとつながりたいなぁ」と思いましたが、先の長い話になりそうです。。。

人材の割合で言うとこんな感じ。

  • アプリ技術者(多分、これがプログラマ)が40%ぐらい
  • インフラ8.7%、運用8.1%とめっちゃ少ない
  • プロマネ13.7%、アーキテクト6.4%、データ分析0.7%ってのは実感がある感じ

作らない人が半分ぐらいいるってのはちょっと気になるところですね。70~80%ぐらいいてもいい気がする。

人材レベルについては、27万人のうち18万と6%ぐらいの人材が「社内・業界をリードする人材」だそう。18万っていったら実家の箕面市の人口をゆうに超えるレベル。そんなにいるんですね。

まとめ

ここまでがだいたい1部の情報です。まだ全体の10%ぐらいなので、続きが気になるかたはぜひダンロードを。

全体を通して、普段ニュースで見聞きする情報と大きく差がある用には思えませんでしたが、IT人材白書で見えてくる情報は、ある程度の規模や数がないとだめなはずなので、すでに「遅い」情報だとも言えます。

しかしながら、全体として感じる大きな流れや動きはいつか当たり前になる可能性を秘めています。その方向性が毎年いろいろ変わるので、この業界は面白いとも言えます。