吉田修一さんの『横道世之介』を読んで、なんだかとてもどうしようもない気分になってしまったので、これまで読んだ本の中で、学生のころを思い出して切なくなる本を調べてみた。なにかこういう小説をご存知でしたらぜひ教えて下さい。
横道世之介 – 吉田修一
どこか抜けてる青年世之介が、大学生活のために、長崎から東京に出てきてすごす物語。時間にしてみれば1年ぐらいのもので、そんな大きな事件があるわけでもない普通の学生生活なんだけど、徐々にその日常にとても惹かれ、どんどん切なくなっていく物語だった。
昔、ふられた彼女に出会ったときのような気分。
四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて – 村上春樹、カンガルー日和より
学生とはかぎらないけれど、女性にドキドキしたころの気分を、うまく表現したタイトルだと思うので。村上春樹さんの口調は、かっこつけた雰囲気だけど、なんだかわかるきもする短編小説。
砂漠 – 伊坂幸太郎
今回のテーマだとまっさきに浮かんだのが伊坂幸太郎さんの『砂漠』。ラストも、永遠に続いて欲しいという願いがあって、それが届きそうな気がするのがとてもステキ。
超大作であるゴールデンスランバーも切なくなるし、バイバイ、ブラックバードは青春というわけではないけど、出会いと別れがとてもいいんだなこれが。
永遠の出口 – 森絵都
出口をさまよう青春時代を、すごくうまく書いた本(という記憶がある)。これを読んだときは面白すぎて興奮してしまい、各章ごとに感想を書いていたようだ。
風が強く吹いている − 三浦しをん
何か一つのことを皆で目指す。偶然集まった下宿先のメンバーが箱根駅伝を目指す話。正月にのんびりみていた駅伝だが、また違った人間ドラマを知ることになった。特に、メンバーひとりひとりのタスキリレーがすばらしい。タスキを持ち、一人で走る。その時間を共有できたことが何よりも嬉しくなる本。
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本には読むタイミングがとても重要だ。自分の年齢や環境によって、本の印象はぜんぜん変わってくるからだ。自分の場合は、過去の思い出を忘れるのがとても苦手で、永遠にその中に閉じこもっていたい人間だから、こういった出会いと別れが描かれた小説に惹かれるのかもしれない。
出会いと別れって、大好きだし、大嫌いだ。