天下統一を目指す秀吉が、大軍を率い関東の北条氏を襲う。その戦いの中で、2万の軍を率い、秀吉の忠臣石田三成と、大谷吉継が攻めた武州忍城(おしじょう)。忍城の大将成田長親の軍勢は2000。それでもこの城は落ちなかった。
残念ながら、主人公である長親には、勇ましい武将の姿もなく、巧みな知恵者でもない。しかし、彼は三成からの使者に向かってこう宣言する。
「それでも我々は戦う」と。
坂の上の雲を読んでから、大将というものについてよく考えるようになった。東郷平八郎であったり、秋山古好であったり。大将とは?など定義できないと思うが、まず何事にも動じない器をもっているという共通点を感じる。
はたして長親は?というと、そうでもないんだなこれが。しかし、その考えはとてもまっすぐで、正直だ。こういうのを「徳」というのかなぁ。それにしてもこの「のぼうの城」。脚本家の新人賞をとっただけあり、見せ場があってすばらしい展開になっているため、一気に読んでしまう。たまらない登場人物がまたいい味出しており、
「絶体絶命だ。どうするんだこいつら!」という展開に興奮した。
久しぶりだった。