るり子はいつだって、自分が幸せになるための努力を惜しまない。
久々に体が震える感じの本だった。
世界になじめない女性2人の友情。
中でももっとも印象的だったのは、「るり子」という登場人物だ。彼女はとても正直で、とてもバカで、とても愛しい女性だ。彼女の一言一言はわがままに感じるかもしれないが、僕にはとても一生懸命に見えた。
我慢なんて、少しも自分を幸せにしてくれない。自分を幸せにできないことをどうしてしなくてはならないのだろう。
僕は男なので、女性の心理描写がとても新鮮に感じた。
そのひとつが脱毛だ。面倒くさくてうんざりしてしまうが、この不毛の行為にちゃんと興味を持っていられる機関を「女」と呼ぶのだと、るり子は思っている。
女にはふたつの種類がある。自分が女であることを武器にする女か、自分が女であることを弱点に思う女か。この二つの女はまったく違う生き物だ。違う生き物と議論するほど自分は愚かじゃない。
読んでいる途中でわかったのが、この「るり子」という人物は、自分の性格にとても似ている。るり子と同じ状況に、同じ目線で自分がいるとするならば、僕はまったく同じことを考えているのではないかと思う。だから、人から見た彼女という存在に対する感情が、とても身近に感じてしまう。
そんな「るり子」に最期まで惹かれっぱなしだった。彼女はこれからもこうやって生きていくのだろう。でも、彼女が考えるようにうまくいかないこともたくさんあるだろう。でも彼女は変わらないだろう。
だって私、いつだって幸せになるために一生懸命だもの。人生を投げたりしないもの。頑張ってるもの。そんな私が、幸せになれないわけじゃない。
彼女は「幸せ」に対して誰にも負けないほど純粋だと思う。そこがまっすぐでいい。
コメント
今自分もこの本読んでます!
まだ半分くらいですが似たような印象を受けましたよ!
男男している小説より、こういうナチュラルな小説が好きです。女性の書く本は感覚的な本が多いけど、きっちりと書いている本は本当に心に染みてきます。
るり子ちゃんは幸せになるんだろうな?。
肩ごしの恋人
第126回直木章受賞作
唯川恵「肩ごしの恋人」
ようやく読み終わった。
ここのところ本を読む暇がまったくなくて
ストレス解消の本屋めぐりの末…
唯川恵「肩ごしの恋人」
肩ごしの恋人
<あらすじ>
欲しい物は欲しい、結婚3回目、自称鮫科の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈や「萌」。性格も考え方も正反対だ…
肩ごしの恋人
[7/5スタート] ドラマ「肩ごしの恋人」最新情報