アジャイルコーチに都合のいいスクラム

感想おまちしてます!

コーチを仕事にしている人と話す機会があると、必ず「で、あなたのコミットメントは何なんですか?」と聞いています。人によっていろいろ意見はあるんですが、今ひとつ納得感がない。なんでそう思ってしまうのかをふと考えました。

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ティーチングとコーチング

ティーチング、コーチングはそれぞれ違います。僕は専門家ではないのでざっくりした書き方になりますが・・・

ティーチングは指導です。知識や経験の少ない人に、基本やノウハウを教えること。答えを教えるので、新しい知識や技術が習得できます。

コーチングは導くコミュニケーション技法です。答えを見つけさせるため、意欲やポテンシャルを引き出していきます。

これだけで考えれば、ティーチングで知識を対象者に与え、対象者がそれを実践するのを支援していくのがコーチングです。

アジャイル開発でのティーチング

アジャイルコーチやコンサルは、知識を持っています。アジャイル開発も登場して10年過ぎたので、実例もたくさん登場し、日本語のアジャイル本も増えてきました。これにあわせて、アジャイルに関する知識を提供するサービスも出てきました。

彼らは経験も持っています。ただ、海外と違って「俺はXX企業の売上をXX上げたぜ!」みたいな、具体的な成果を聞いたことがないです。契約で言えない場合もあるんでしょうね。海外ではそういうアピールをする人は多かったけど。

知識や経験を語るのはティーチングです。講演もそう。手を動かすワークショップだとトレーニングとも言えるかもしれません。

ティーチングの限界は「現場感」だと思います。あくまで机上の話。イメージトレーニングみたいなものですから、どれだけいいアイデアであっても、「現場にあわない」や「現場でできない」場合がありえます。わかっちゃいるけどうまくできない。わかるとできるは違うってやつです。

ふと気がつきましたが、現場に落とし込んでいくスキルはティーチングやコーチングだけではなく、リーディングとかですかね。また、機会があれば考えてみよう。

アジャイル開発でのコーチング

話がそれました。ティーチングには限界があるという話でした。

得た知識は使わないと損です。しかしながら、そう簡単にやってみてうまくいかないので、それを支援しながら自走できるように導いていくこと。支援していくこと。それがコーチングなんじゃないかなと思います。

例えば、導入戦略を練ったりするのはコンサルに近いので、こちらはこれまでの知見を提供し、現場はそれを参考に導入戦略を検討したりします。アクションプランや役割分担を決めて実行に移す。

実行に移ってからは、コーチングが威力を発揮します。その状況を確認し、定期的にふりかえり、結果を確認して改善していく・・・。現場というランナーと一緒に走るコーチみたいな関係です。決して、学校で授業を習うようなティーチングとは違います。

アジャイルコーチはコミットメントしにくい

僕も現場支援をしていて悩むことが多かったのですが、アジャイルコーチはコミットメントしにくいです。本当は「開発生産性が2倍になりますよ」とか「ソフトウェア品質が30%アップしますよ」とか、定量的に提案できればいいんですが、それがとても難しい。

それは、どちらかというと人の育成に近いからであり、相手の環境に依存するので、なかなか二人三脚で走れない場合もありえます(急に別の仕事をアサインされてしまったり)。

だから、僕の場合は、「今よりはよくなります」とか「結果をお見せするのでそこで評価してください」とか話していました。3ヶ月お試しでやっていただいて、よければ続けてみませんか? みたいな、今思えばウォーターサーバによく似た営業です!

僕の場合は社内でやっているのでこれでいいかもしれませんが、社外からアジャイルコーチを呼ぶ場合は状況が異なり、金額に見合った成果なのか評価しにくい問題が発生します。月100万円払って「ちょっとよくなりました」とか言われたら、自分なら「へ?」って言います。

でもでも、成果のコミットを約束しにくい仕事なんですよ。

これは永遠のテーマだと思うので、「おのおの、まぁ、がんばれや」ぐらいにしか思ってないですが、この「約束しにくい」に甘えて「約束しにくいから約束しない」コーチには注意したほうがいいと思います。考えるのをやめたらそこで終わりですから。

コーチに都合のいいスクラム

こういった甘えた人たちが導入支援とかしちゃうと、アジャイルコーチに都合のいいスクラムができあがります。きっとそれはこんな感じになると思います。

  • とくにコミットしません。でもベロシティが上がりました! とか判断しにくい情報は出てくると思います。
  • 「答えはあなたの中にあるので、それはあなたの問題です」という一言ですませようとしてきます。
  • 現場を管理するマネージャ層からみると、よくなってるのかわるくなってるのかわかりません。現状、変化はないけど、導入コストは払ってしまったという微妙な気持ちになります。
  • 次のアクションがうかばず、とりあえず続けてみるかってなります。行動はとても重要ですが、期限のない作業は仕事なのか? 考え直す必要があります。

最後に。個人的な意見としては、アジャイルコーチはとてもやりがいのある仕事です。人やビジネスとともに、自分の成長も感じとれるなら、その仕事に誇りを感じますから。ただ、都合よく解釈してしまったり、自分の都合を押しつけちゃうと変になっちゃう。きっと、

そこをうまくやってる人ってどれぐらいいるのかな?