ボストンのテスト自動化クラウドサービスベンチャー「mabl」にJoinして思ったこと

今年の1月から、テスト自動化クラウドサービスを提供する「mabl」とコンサル契約を結んだ。不幸なことに幸いなことに、会社の英語化を2回経験してきたのだけれど、この会社はボストンにあり、完全に外国企業。やっとはじめてのグローバル企業を学べる気がしている。

ひとつの会社で働くのと複数の会社で働くのと

ひとりで働くようになってから、仕事はお客さまとのコンサル契約となり、1年半ぐらいやってきたけれど、複数の会社で働くのにもだいぶ慣れてきた。

逆に、ひとつの会社で働いていたときのことが思い出せない。1日ずっと忙しかった気がするけど、一日ずっとやることなんてあったのかなぁ。

関わり方にもよるけど、どのお客さまもすてきな人たちで、逆に言うと、すてきな人たちとしか仕事をしていないので、平和は続いている。仕事はコンサルに近いけど、きちんとコミットする方法を模索する毎日。なかなか成果につながらないときは辛いけど、成果が出たときのよろこびは大きい。仕事って本当に難しいね。

複数の会社に所属するというのは、外から見ると別々の会社だけど、本人にとってみればひとつと同じだ。ちょっと隣の部署が、別の会社なだけ。たぶん、僕のお客さまを一つの会社に集めても、きっとみなさんうまく仕事をされるのだろう。

独立してからのコロナ時代へ

独立してあっという間にコロナの時代となり、収入に影響がでた。しばらくは、続けようと思っていたのだけれど、念の為、並行して就職活動(情報収集)も進めておこうと思い、さまざまな企業さまの話を聞かせていただいた。

世の中には本当にいろいろな会社やサービスがあるけれど、その中からなにか一つを選ぶのはとてもむずかしい。いっぱいありすぎて決め手がないのだ。

そこで、まずは以下の条件を必須にした。

  • プロダクトが「なくてはならないもの」であること。「なくてはならないもの」になろうとしていること
  • 関わっている人がいい人たちであること

ひとつ目の条件は、そういうサービスに関わりたい個人的な願いが大きい。「なくてはならないもの」といえば大層なものに見えるけれど、ひとによってそれは違うはずなので、自分がそう思うものを選びたい。

ふたつ目の条件は、そのままのとおり。会社の無料食堂で食べないくせに大量に皿に盛るアホがいたり、急に方針が変わってばたばた人がやめたり。そういうのに付き合うのはうんざりなのだ。

いい人たちと働きたい。いい人たちにこしたことはないし、自分もいい人になりたい。

ボストンのベンチャーを選ぶ

古い友人に再開したり、いろんな企業さまからぜひコンサル契約からでもとオファーも頂いたけど、やっぱりどうも決断ができない。なによりも、ひとつの会社で働くイメージが持てなかった。よって、複数の会社で働く今のスタイルをしばらくつづけることにした。

そんなときに、mablの人たちから「日本でのビジネスをサポートしてくれる人を探している」と相談受けて、複数会社で働いていいという条件をつけて契約した。

残念ながらまだ日本法人がないので契約社員になるけれど、どの仕事も契約社員みたいなものなので、転職した感じではなく、ひとつ大きな仕事が増えただけの感覚だ。

mablというプロダクトと人

テスト自動化サービスは「なくてはならないもの」になると思う。どちらかというと、こういったサービスが開発プロセスを変えてくれると、より前進する気がする。僕の関心は「よりアジャイルな開発を」なのだ。

日本はこの分野で5年ぐらい遅れている気がするけど、海外にはたくさんのツールがすでに存在してしのぎを削っている。「AIを使ったテスト」も「テスト自動化SaaS」も全然新しくはない。ただ、新しい機能やサービスがどんどんでてくるポテンシャルがあると思う。遅れているということは進めるということでもある。

現時点でどれが一番か決めるのは難しいけれど、老舗TestimとApplitoolの組み合わせが、時代にマッチしているし、現時点で一番多機能・高性能なんじゃないかなー(技術的にはHeadSpinがずば抜けている気がする)。ただ、Testimは営業塩対応なので、日本人にやさしくないから気をつけて。あと料金も高い。

mablは後発になるけど、機能は十分そろっていて、UIも日本人向けだ。僕はお客さまに頼まれてツール比較をすることになり、そこでmablとたまたま出会ったのだが、何かをすすめるなら、その人や環境にマッチした一番ベストなものがいい。テスト自動化分野においては、今はそれがmablになるケースが多い。

mablの社員は自分たちを「mablers(メイブラー)」と呼んでいる。世界中でリモート勤務(オフィスは一応まだある)だから「Good morning or good evening」なんてあたりまえ。社員に日本人は僕だけなので、マイノリティ感がハンパない。孤独に強い耐性を持っていてよかった。誰かと話すのも楽しいけれど、孤独も最高だ。

働き方が大きく変わり、最初に書いたように言語的にマイノリティになったのが大きい。2回の英語化を乗り越えてきたTOEIC400スタートおじさんには、やっぱり難しいw。

ただ、それをmablers(メイブラー: mabl社員たち)は理解してくれているので、みなさん何かと声をかけてくれる。mablには「Support」の精神がすごくある。だから、Slackで質問したらどの質問にもたくさんの回答が書き込まれる。困ったら「Hey mablers」だ。

mablのサポートは、とても手厚くてレスポンスが早い。サポートのトップがめっちゃいいやつで、見た目はモヒカンでいかついけど、めっちゃ僕を気にしてくれている。子どもが二人いるとかMTGでぜんぜん関係ない話を永遠としてくれる。

ただ、「ダイ!エキサイティングか?」という質問には慣れないけどね。

前に来日した少し日本語が話せるフロントエンドエンジニアは、mablと契約する前に、Slackでこんなメッセージを日本語でくれた。

入社したあとは、まぁいろいろなことがあります。いいところもたくさんあります。素晴らしいと思わないこともあります。ダイさんが入社したら、とても心強いです

ボストンでも「いろいろある」というのを聞いて、どこでもだいたい同じなのかもなと感じ、なんだかとても安心した。僕も君と一緒に働けるのはとても心強いよ。

というわけで、リモートで引きこもりながら、慣れない営業活動を学びながら、言葉の通じない人たちとGoogle翻訳を片手に働きながら、子どもたちに仕事を邪魔されながら・・・

いつもと違う日常がはじまっている。