
昨日の続きです。今日もAI、自動化あたりを聞いてまわりました。なお、TestimのCEO Oren Rubinさんのセッション「The Truth about AI and How it Applies to End to End Testing」は面白すぎたので別で切り出してまとめようと思っています。
Viewing Software through the Lens of AI

AIの視点を通してソフトウェアについて考えるキーノート。AIが人間やテクノロジーにどういった影響をあたえるかを考えます。
上記の映画について考えてみましょう。
キューブリックの代名詞である『2001年宇宙の旅』は、IBM Watsonのような巨大AIによって実装されました。アカデミー脚色賞を獲った『her』は女性の音声に恋する物語。Alexa、Google HomeでAIスピーカーが使われるようになったのはみなさんもご存知のはずです。『エクス・マキナ』は我らがPepperくんですかね。
遠い未来をすでに通り過ぎており、その恩恵ははじまっています。
しかしながら注意する点も見つかってきています。
- Techは気持ち悪い問題
- あんまり精度が良くない問題
- Googleが提供する世界最大の落書きネットワークを試してみればそのもどかしさに気がつけるはずです
- GoogleがPhoto自動カテゴライズ機能が、黒人をゴリラと判定してしまって謝罪
- バイアスがひどい問題
ではソフトウェアに対してAIはどのような影響を与えるのでしょう? たとえばAIによるソフトウェア開発やそのテストにおいては?
たとえばソフトウェアの受け入れ基準をAIは判定できるでしょうか? 仮にマグカップを作る場合、割れているマグカップは品質基準を満たしていないので「NG」と判定されるはずです。
ただ、ひび割れがデザインだったらどうでしょうか?
画像認識などでよくでてくる正確さ(Accuracy)の定義の難しさがよく分かる例だと思います。
テストはどうでしょう?
「UI automation by AI」はいたるところで語られていますが、まだ安定したソリューションはないとおもいます。現段階では、画面がちょっと修正されただけで、簡単にテストが壊れます。
要素特定方法(Smart location Strategy)はこの領域のテーマの一つですが、まだ試行錯誤の状態です。
自律的な自動テストはまだまだ先でしょうが、モックを使ったUIベースのTDDなど、新しいアイデアも出てきています。
また、Visual Studio Intellicode、mendix、deepcode、codataのように、開発者の生産性を高めるためのAIも登場してきました。
最後は、みんなが気になる「AIによって仕事は奪われるか」という点について。ニュースなどでは「将来的にたくさんの仕事がAIに取って代わられる」とありますが、大切なのは、悲観することではなく、未来に進むことでしょう。
そのための3つのポイントを、発表者は以下のように紹介してくれました。
- 自分の強みを特定する
- スキルのアップグレードを行う
- メンターやコーチを見つける
Tips for Managing a Remote Technology Team

リモートチームのマネジメントについてのセッション。この発表者のすごいところは、発表をリアルタイムでしながら、チャットにも反応してオーディエンスを巻き込んでるところでした。まるでアイドルのYoutubeチャンネル。
発表を聞く限りすごくいいマネージャさんなのだろうなと感じましたが、マネージャのコミットメントについては「たしかにね」と思うところが多いです。
- 組織情報を直接的に、頻繁に伝えていくこと
- アクティブなメンバーとなり活動に参加したり、会話に入っていくこと
- 見本となって示すこと
- それぞれのメンバーとそれぞれの方法でつながっていくこと
- オープンであること
Implement Traceability to Optimize Continuous Testing

ツールベンダーの方なのでツールを活用してトレーサビリティをあげようというセッション。
よくあるテストピラミッドですが、「ほとんどの場合、アイスクリームコーンみたいになるよね」という表現はとてもよかった。逆にE2Eが高速で簡単に作れ、かつ、UTにコストを割けないなら、アイスクリームコーンでいい気もするんだよなぁ。
Create a Culture of Quality Across Your Development Team

mablのソリューションアーキテクトDarrelさんのセッション。mablのプロダクトロードマップもシフトレフトしています。テストを作って動かせるサービスだけど、QAエンジニアと言うよりも開発者にむかって進んでいるようです。

ガートナーのレポートによると、2024年ごろに大企業がAIを活用したテスト自動化ツールを当たり前として使いはじめるそうです。あと4年かかるのかー。

E2Eをすケースさせるためにはいろいろな変化が必要。まずはDev VS QAとなる体制は見直すべきでしょう。組織が分かれているならどうやってワンチームを作るかがポイントになりそう。
次に採用基準も見直しが必要。自動化が当たり前の状況で必要な人材は? クラウド、Dockerのような仮想化、マイクロサービス、テスト自動化ツールの活用など、求められるスキルは大きく変わります。
そして「何を自動化するか」という考え方。マニュアルテストを自動化することに価値はなさそうなので、自動化の戦略やロードマップを考えられるスキルや経験が求められるのでしょう。
Getting Started with AI
AIテストの先駆者 test.aiの一人がちなのかなーと思っていたけど、去年の7月に PinkLionという企業がさっそうと現れました。test.aiはテクノロジーパートナーだそうです。

テストピラミッドもAIでパラダイムシフト起こしちゃうぜー。みたいなこといってるのがファンキーでいいですね。応援したくなります。
そのCEO Jennifer Bonineさんのセッションはというと、AIの解説からテストへの影響までの説明は、他のセッションでもよく聞いた内容。
ガートナーのレポート引用など、このあたりはどこも似たようなセールストークになりがちですね。正直つまんない。
プロダクトもまだ作り込めてないみたいだから、今後に期待ってところでしょうか。
おわりに
徹夜での参加は辛かったですが、世界中の有識者とつながれるのはとても楽しい。共通のトピックがあるから、なおさら楽しい。
ただ、STARはベンダー中心のカンファレンスのようなので、現場の泥臭い話は聞けませんでした(もしかしたらそういうセッションもあったかもしれないけど)。コンサルやベンダー特有の、派手さはあるけど中身が薄っぺらい感じ。
良い点は、AIを活用したサービスなど、先進的な情報の質は良かったところでしょうか。そこはたくさんのベンダーがしのぎを削ってプロダクトを磨いているからでしょうねぇ。
しばらくは自粛ムードがつづきそうなので、今後も積極的にオンラインイベントに参加してみようと思いますが、さすがに5日間とかは厳しいな・・・。