
エンジニア採用について最近良くしゃべる機会があるので、これまでやってきたことや、やれてなかったことをまとめてみます。
はじめに
面接者の心得については、尊敬する上司に教えてもらった虎の巻が今も力をくれます。
@jun_ichiro が技術書典で売っていたNews Picks Tech Magazineもとてもよかったのでおすすめ。マッチングが上手くいく世の中、というかサービスがはやく登場せんかのう。
具体的な質問手法はこちらが参考になるかも知れません。
参考: 構造的面接の質問例「PBI」をちょびっと翻訳してみたけどすごくいい!
海外でのエンジニア採用についてはこちらにまとめました。
では次から面接プロセスの改善案を、トピックごとにまとめてみます。できたこともあればできなかったこともあります。
技術課題
ニッチな分野の質問ができるのであれば、その問題自体が選考になるとおもいます。たとえば、僕が経験した「テストコードを書くエンジニア」の採用では、スマホアプリの自動テストツール「Appium」というフレームワークがあり、この環境を作れるかどうかで経験がわかります。
また、その上で動くコードを見れば、テストコードにおけるプログラミングのレベルもだいたいわかるので、「Appium」という特定領域の経験があるエンジニアで、テストコードも問題なく書ける・・・というところまで一気に絞り込めます。
難しいのは、一般的な課題。
たとえば、とあるアプリやAPIを作ってとなった場合、プログラミングスキルを見ることもできますが、「かけた時間」に内容が依存する部分もあります。
だから、問題にするのは「時間を書けても成果が変わらない問題」のほうがいいのではないかと思っています。
ホワイトボードコーディングなど
昔、海外エンジニアがはじめてチームに入ってきたときに、ホワイトボードを使ってコーディングさせるスタイルを見て「いいなー」と思いました。
僕の場合は、海外エンジニア(主に新卒)でよくやっていたのですが、学生の場合、授業でしかコードを書いていない場合が多く(インドとかまじで)、Webアプリすら作ったことないなんてざらです。
彼らの可能性は無限大。だから、地頭を見るためにホワイトボードをつかってこんな質問をしたり、サンプルコードを書いてもらったりしました。
例: Googleの検索サービス / AmazonのECをまっさらで作るとしたらどうしますか?
どの国の学生もGoogleやAmazonは知っており、検索やECは操作や作りがだいたい同じような形になるので、ぱっと取り組むにはうってつけのテーマです。インターンに参加した企業のシステムを解説してもらう手もありますが、マニアックな作業やシステムの担当だとこちらが深堀りできない問題があり。
あとは、検索だとデータを集める部分、解析する部分、見つける部分・・・といったように機能分割や、マルチリージョン問題、スケール問題など、話せるネタは結構あります。
ECだとサービス寄りの質問になりますが、スケールやボトルネック、クリティカルなポイント、バックエンドやバックヤードシステム(在庫管理とか)、設計面で話せるネタはたくさん。
これらをスラスラと答える学生はもちろん、「どうなってるか知らないけど、たぶんこうなっていると思う」と答えてくれる学生は地頭がよい気がして、そういう人はだいたい2次も通過してくれた気がします。
質疑応答
メンバーと話してやってみたのが、面接も面談も、こちらのような部署説明資料を用意して、最初の10分を頂いてこちらの話をしました。メンバー構成や働き方、現在考えているロードマップなど、出せるものは全部だしてしまっています。
こうすることで、「何人ぐらいですか?」や「どういう職場ですか?」のような、誰もが気になる共通的な質問時間を減らし、お互い貴重な面接時間を有効活用したいなと。
結果的に、面接前にQ&Aをすませ、基本となる情報を揃えているので、面接内容が深くなるように感じています。
最後にこれが大切な部分なのですが、面接の途中で「NGだな」となっているのに、最後に「質問ありますか?」みたいなやりとりをしなくてよくなります。NGだと決まっているのにQ&Aをする意味があんまり見つからず、「それって不誠実じゃないかな?」という議論になったので、「最初にフェアにやろう」という形に落ち着きました。
希望年収を聞くか論
前職の経験や年収をベースに考える方法だと、前の会社の価値がこの会社でも役立つ前提となります。ただ、前の価値が今の価値にならない場合も多いです。
たとえばECからECや、C2CからC2Cなど、似たような会社間を動くならこの方法がいいかもしれません。しかし、最近だと各社の基準やポリシーが明確になってきて「業界の年収基準」が参考にならない気もするので、前職の年収を聞かずにオファーを出す方法が普通になってくる気がします。
この方法だと、その会社にとっての価値を提示する形になるので、上記のような問題は起こりにくいです。海外の人で情報無しでの評価によって「他社と比較して決める」とおっしゃる方もいますね。
ただ、年収が下がった場合は、候補者側のモチベーションが下がってしまうケースが多いはずなので、事前にきちんと説明して理解していただく必要があります。
僕の経験だと、前職がまさに年収聞かないタイプで、そのあたりの説明も詳しくなくなんだか高圧的で、六本木怖いなぁと思いました。
また、給与に関係するネタとして、売り手市場だと「色をつける」ことも考えちゃいますが、社内の基準や他の社員とのバランスを壊してまでやるかはよく考えるべきだと思います。あとで帳尻合わせるのは大変だし、「今までなんだったの?」と思われてもしかたありません。
まぁ、最近だとストックを活用して「認識を合わせる」とかもいいかもしれませんね。
1次2次・・・
よくあるのが1次にメンバーレベル、2次にマネージャ、2次に役員・・・という流れですが、当時、メンバーの時間をうばうのが嫌だったので、並び順を逆にしていました。マネージャだった僕が最終だったのでこんな感じ。
- 1次: マネージャ
- 2次: メンバー
これまでは各フェーズで、各人が自分の視点で見ていましたが、同じ質問を2回やるのもあれなので、1次でマッチング(企業・チーム文化)、2次はスキル+ちょっとマッチングを見ます。
順番を逆にしたので、僕の視点はまぁおいておいて、これまで1次で見ていたメンバーの視点を理解する必要が出てきました。ようは、現場視点を理解し、基準に落とし込み、質問にしていく必要があります。
これによって、メンバーと僕との採用に関係する相互理解にもなり、判断基準などの議論もスムーズに行えるようになります。
2次が最終なので、メンバーの責任が大きくなります。「1次でマネージャが通したから・・・」なんて言うやつはお仕置きだべ!
結果的に僕の時間は奪われますが、採用で奪わるのは問題なく、メンバーも現場の仕事時間圧迫が減りお互い良かった気がします。
最後の方は、これはやる準備が整わずできなかったのですが、1次最終をやろうとしていました。1次2次で分けるコストは大きく、日にちも分けちゃうと来社コストも半端ない。
1次2次を同日開催しちゃう案も出たのですが、昔、とある会社でそれをやられ4時間ぐらい拘束され、そのほとんどが待ち時間だったおかげで最後の方ぶちぎれた苦い経験があったのでやりたくなかった。
だから1次最終。もうマネージャとメンバーでちょっと長めに時間を頂いて、その場で一気に判断までできるようになる。
時間的にも相手の負担的にも、これがベストなんじゃないかなと今も思っています。
希望日と希望時間問題
↑の1次2次問題にも関係するのですが、候補者の来社コストは半端ないです。大抵は仕事終わりでへろへろだし、夜も遅い。
だったら、僕らからいけばいいじゃーん。ということで、相手の希望する場所に出向いて、面接なり面談なりをする作戦も考えていました(こちらもやる手前までだった)。
「もうやっている」という人もいますね。オファー時やオファー後など、この人はという人には会いに行くってのは、相手にとってもうれしいものです。もしかしたら、いつかの後円になるかも知れない。
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というわけで、つらつらと書いてみましたが、やっていると改善したいポイントはたくさんでてくるので、それをこつこつと信念を持って解決策を探していく・・・。これが大切なのでしょう。
その結果、採用になっても不採用になっても、お互いが「ああ、楽しかった」となる形が理想です。
とくに候補者の方には、不採用の場合に「またチャレンジしよう」と思っていただける面接官を育て、採用プロセスを洗練していきたいですね。