開発マネージャーのアジャイル実践者育成計画

Desert Track

ある日、メンバーに「アジャイルコーチってどんなことを考えているんですか?」と聞かれたので、普段考えてきたことをまとめてみました。アジャイルに限らない部分もありますが、個人別のふりかえりや、朝礼やふりかえりといった普段のイベントで、メンバーに伝えてきたことが中心です。技術スキルよりも、人材育成が近いかもしれません。

ステップ1:チームに入って1ヶ月ぐらいまで

第1段階では、個人レベルでの基本動作を身につけることが中心になります。これまでの経験上、だいたい1ヶ月でクリアできる内容です。すべらない話は、ストーリーテリングの練習として。

  • 元気にあいさつができているか?
  • 突然ふられても、絶対にすべらない話ができるか?
  • ブログを定期的に書いて、考えをまとめたり、情報発信できているか?
  • カンファレンス、勉強会といったイベントでコネクションを増やしたり、情報収集できているか?
  • 朝礼で自分のやったこと、やっていること、課題点を簡潔に、正確にチームに伝えているか?
  • プログラミングの時間を十分にとることができているか?
  • 急ぎの作業を、スムーズに確実に終わらせることができるか?
  • ふりかえりで、問題の認識と改善提案、改善のアクションをとれているか?
  • MTGの開催や、資料作成を短時間で準備できるか?
  • チーム内の基本作業を、一人ですべて実施できるか?
  • チーム内の作業の流れを理解しているか?

ステップ2:1ヶ月から1年ぐらいまで

第2段階では、円滑なチーム活動や強い個人を目指すために、作業の質を高めることが中心です。できれば、半年ぐらいでできるようになってほしいところ。

  • 定時内に帰ることができるか?
  • 定期的に長期休暇をとれているか?
  • 勉強会で新しいアイデアや、自分の考えを発表・共有しているか?
  • 自分の将来を考え、スペシャリティを身につけるための活動をしているか?
  • 極度のプレッシャーの中でも、動じず冷静に作業を進め完了することができるか?
  • リスクに反応するため、計画づくりで複数案を立案し実施できるか?
  • リリースしたものから指標をとり、分析を行ない、仮説を立て、次のアクションができるか?
  • 効率のよいシステムテスト仕様書を作ることができるか?
  • ソースコードのレビューができるか?
  • チーム内で、やらないことを決めることができるか?
  • チーム内の単純作業を自動化できているか?
  • チーム作業として、2〜3週間ごとにリリースを安定して行えているか?
  • Be Simple. Be Happy.を実践できているか?

ステップ3:1年から2年ぐらい

第3段階では、チーム全体にかかわる改善活動と人材育成が中心となります。

  • 急ぎではないが必要な作業に時間を使い、計画づくりとアクションができているか?
  • 全体の流れを意識し、サイクルタイム(リードタイム)を短縮する施策を計画、実施できるか?
  • 朝礼やふりかえりをファシリテートし、チームを改善へのアクションへと導けているか?
  • チームや顧客とビジョンを共有し、共感されているか?
  • 常に改善し、進化していくチームを作れているか?

まとめ

僕の周りには若手が多いので、こういったことを問いかけながら成長をサポートしているところです。個人差はありますが、1年ぐらいつづければ、ほとんどの場合、いい方向に進みます。

ただ、時間をかければいいわけでもないので、ステップ3まではスピード感を持ってやっていくようにしています。もちろん、ついてけない人もいますが、伝えることは変わりません。

ここまでくれば、後は自分で考えて動く人間が育つはず。あとは、「はじめての開発マネージャーの教科書」で書いたマネージャーのことを考えてみるとか、「もっと技術力極める!」とか、好きな目標へ、好きに進めばいいと思います。

最終的に問いかけたいのは「チームで学びながら、ふつうの開発ができているか?」です。ぜひ、自分の意志で砂漠を歩いていける人材になってほしい。