映画「ジャーヘッド」

ジャーヘッド サム・メンデス監督作品 川崎チネチッタにて鑑賞

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湾岸戦争を描いた映画としては「戦火の勇気」とか「スリーキングス」とかがあるけど、ジャーヘッドでは若き迷えるジャーヘッドたちの姿がとても生々しい感じがした。スリーキングスに似た感じの映画だったが、どちらかというとスリーキングスはスタイリッシュな映像が特徴で、ジョージ・クルーニーの好演が光っており、湾岸戦争の実態を含めたよい映画だったと思う。
ジャーヘッドは「戦争のはじめかた」のとうな兵士の狂気的な部分が光る。職業とする兵士以外は、戦争というものについての認識はそれぞれであり、「人を殺す」ということが当然で、それは自分が兵士として存在するという意義ともなってくる。
「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス監督作品だが、「アメリカン・ビューティー」はアメリカの日常社会ベースだったので、あまり感情移入ができなかった。しかし、彼が描く映画の中にある「空虚」。これはこのジャーヘッドでもありありと描かれていた。
第2次世界大戦を描いた映画では戦争の狂気と戦争への賞賛、正義と言う名の幻想がテーマのものが多いが、このジャーヘッドや「ホテル・ルワンダ」のように、戦争がTVニュースで放送される現在では、それらのテーマが変わっている気がする。
何も学べないまま成長した人間が実際に戦争を体験し、映画で見た戦争との違いに戸惑い迷う。彼らの中にある戦争は、人が人を殺しあう戦争ではなく、銃声一つなく人が死んでいく政略的な戦争であり、自分の中の何かが狂ってしまう。
この空虚な戦争からは何も生まれないことを知ってしまう。
ジャーヘッド 公式サイト