I’m Lost.
私は自分を失った。 登山家ジョー・シンプソン
登山家であるジョー・シンプソンとサイモン・イェーツはペルー「シウラ・グランデ峰」の西壁登頂に成功する。しかし、下山途中、ジョーは滑落し左足を骨折してしまった。6000メートル級の山々での骨折は死を意味するが、サイモンはザイルをつなぎ合わせジョーと共に下山を進めるが、無常にも天候は悪化し、ジョーは氷の絶壁で宙吊りになってしまうのだった。
友情
力
信頼
勇気
忠誠
恐怖
ピンと張り詰めたザイル。このザイルを切らなければ、2人とも死んでしまう。
「オープンウォーター」のラストでかなりの衝撃を受けたが、当時見たかった「運命を分けたザイル(:TOUCHING THE VOID)」がはやくもDVD化されていた。この映画には心温まるハッピーエンドや、大爆発の中から軌跡の生還!といった要素がまるでない。広大なる自然の中に人間が2人いるだけだった。その状況で結論は2つしかない。生きるか?死ぬか?極限までしぼられたこの選択肢の中で、選択する人間はあまりにも小さかった。
宙吊りになったジョーに引きずられ、サイモンはザイルを切断する。そうしないと共に滑落して死んでしまうからだ。クレバス内で奇跡的に助かったジョーは、サイモンが死んだものだと思いザイルをたぐりよせる。ザイルにサイモンの重みはなく、その先が切断されていることを確認すると、「サイモンが生きている」ということに喜びを覚える。絶望的な状況で他人を思いやるジョーの姿に、同じ人間として胸がいっぱいになった。
死のクレバス―アンデス氷壁の遭難
ザイルを切ったというサイモンの行為は、山登りの団体などからとてもバッシングを受けたらしい。それを知り、友人であるサイモンを擁護したジョーは、この「運命を分けたザイル」の原作となった「死のクレバス―アンデス氷壁の遭難」を書いたらしい。
ジョーは生き残るために、「自然」の中をはいつくばって進んでいく。雪を食べ、「あと20分進もう」と何度も何度も繰り返し進んでいく。彼がその時のことを思い出し語ったと思える言葉を、僕は一生忘れないだろうと思う。
もう遠い距離は進めない
死ぬこともわかっている
それは紛れもない事実だ
生き抜くために進んだんじゃない
死ぬときに誰かにいて欲しかった
運命を分けたザイル リアルな映像と、当事者の語りで、緊迫感がとぎれない。
タイトル:運命を分けたザイル,TOCHING THE VOID/イギリス
原作:「死のクレバス アンデス氷壁の遭難」ジョー・シンプソン著
※原作者が、脚本担当。…
運命を分けたザイル
2004年英国アカデミー賞最優秀イギリス映画賞受賞作。 場所はペルーのアンデス…
運命を分けたザイル 06年8本目
運命を分けたザイル
世界中で大ベストセラーを記録したノンフィクション文学「死のクレバス アンデス氷壁の遭難」をケヴィン・マクドナルド監督が完全映画化。実際に遭…