エンタープライズバックログを使って組織をアジャイルにしていく作戦

感想おまちしてます!

ANA recruits are given Military Operational Urban Training

ANA recruits are given Military Operational Urban Training

アジャイル開発系の勉強会に参加したり発表したりするようになって、いろんな方から社内に広げていく方法について相談されるようになりました。

一概に「これ!」という答えはないのですが、今の自分の考えとして「エンタープライズバックログ」という作戦を今日はをご紹介。

例えば小規模プロジェクトで成功事例を作り横展開する作戦

例えば、広めるための作戦として「アジャイル開発導入事例」で「小さなプロジェクトで成功例を作り、横展開やスケールにつなげる」という作戦をたまに聞きます。この方法は本当にスケールするんでしょうか?

なぜなら、チームやグループといった単位で抱える課題は様々で、優先順位も場所によって違います。扱う業務も違えばメンバーも違う。実際に、社内でアジャイルコーチ/トレーナーのようなことをやっていると部署やプロジェクトごとの違いが鮮明に見えてきます。課題が違うから適用するプラクティスも変わるし、メンバーの特徴・興味もそれぞれです。

違う事だらけなのに一つの成功事例をベースに広げるのはリスクがある気がします。

さらに、この横展開については、「ソフトウェア開発だって単純作業に分割して標準化すれば効率化できる!」という考え方が見え隠れしているように思えてなりません。いろんなところで製造業の考え方から抜け出せてない気がします。

エンタープライズバックログを定義するという作戦

以前、[適当翻訳] 大規模Agileの形を表現したAgile Enterprise Big Pictureでも紹介させていただいたのですが、アジャイル開発の本質とスケールアップの著者ディーン・レフィングウェル氏が自身のブログでのエントリで「The Big Picture Of Enterprise Agility」というホワイトペーパーを紹介しています。

Screen Shot 2012-02-22 at 9.48.35 PM

このBig Pictureはデブサミで発表しようかなーと思ったけどボツにしたネタ

このホワイトペーパーでは「エピックバックログ」「リリース/フィーチャバックログ」「イテレーションバックログ」というエンタープライズバックログ群の構築が述べられています。自己完結している組織なら調整は少ないでしょうが、大きな会社でシナジーを生み出しながら前進したいならば、個人的にこのエンタープライズバックログはとても有効な気がしています。

経営層がEpicレベルのバックログを作り、現場のマネージャがリリース単位、機能単位に分割し、開発チームがイテレーション単位に分割する。レポートラインを整理するだけで、自然と効率が上がるのではないかという「まぁ、そうですよね」という仮説です。

Agile 2010において同僚が参加したセッションではSalesforceの事例が紹介されていました。Salesforceはトップダウンで一気にアジャイル開発をとりいれたことで有名な企業です。Salesforceでは大量のチームに分割し、それぞれのプロダクトオーナーやマネージャーは定期的に集まり(体育館みたいなところに全員らしい)、関係するチームと相談して一気にバックログを組み立てているそうです。

さらにこういったバックログが全部見える化されているといいですね。誰もが問題にすぐ気がつける環境はとても魅力的だと思います。

さすがにここまでいくとボトムアップではできないと思いますが、部分的にでもやってみる価値はあるのではないかと思っています。

最近思う「広める」ということ

エンタープライズバックログは一例でしかなく、最近は情報が増えてきたので「Enterprise Agile」とかで検索するといろいろみつかるとおもいます。

何かを広めるのはとても難しいことがわかったので、最近は「広めない」というプラクティスを実施しています。このプラクティスはとても簡単で

  • 啓蒙活動をしない
  • 興味がある人に聞かれたら実際にやっていることを見せる
  • 去る者は追わない

だけ。啓蒙にコストをかけるのではなく、自分たちがよりアジャイルになるためにコストをかけよう!という案です。

選択肢を相手に与えるということは、選択するのは相手なわけです。選択してもらうためにがんばる作業って、コストにみあったものがリターンされるんですかね?だとすればそれはどんな価値なのでしょう?

そのへんがまだ見えてないので、まだ広めなくてもいいんじゃないかなーというのが最近の気分です。