Jeff Patton氏の “情熱プロダクトオーナーシップ” に参加しました #sgt2011 #CSPO

感想おまちしてます!

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I participated “Certified Scrum Product Owner Training” by Jeff Patton. I’m not understand about product owner’s role and their perspective but this training gave me new insight. Master Jeff’s explanation was passionate and he shared us much experience. I was impressed to meet him. Thank you so much Jeff.

10/20〜10/21の二日間。ジェフ・パットン氏による認定スクラムプロダクトオーナートレーニング、「情熱プロダクトオーナーシップ」に参加しました。

ジェフ・パットン氏は、日本の実践者である平鍋さんと同じく、アジャイルに貢献された人に与えられるGordon Pask Awardを授与されており、様々な製品開発の経験を持つ認定トレーナーです。今年のAgile 2011カンファレンスの彼のセッションは満員大入り大盛況でした。

今回のトレーニングは、プロダクトオーナー側の視点を学ぶちょうどよいきっかけとなり、とてもすばらしいトレーニングでしたので、簡単ですがレポートさせていただきます。

自分なりに整理しているので、実際のトレーニングの順番になっていない部分がありますがご了承ください。

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Passionate Product Ownership

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今回のトレーニングは、アギレルゴコンサルティングさんの提供になります。日本ではなかなかコーチを選ぶことができない状況ですが、今回のように、世界のアジャイル実践者をコーチとして招聘されています。トレーニングのフォローアップや相談だけでなく、アジャイルコーチ相談なども受け付けているそうなのでお気軽にご連絡くださいとのことです。

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今回のトレーニング資料のお題は「情熱プロダクトオーナーシップ」。@kawagutiさんが常日頃熱く語っていたジェフ・パットン氏が講師ということもあり、とても期待しての参加です。参加者は30名ほど。6つのテーブルに分かれてのトレーニングになりました。VOYAGE GROUPさんの会場をお借りしての開催です。みなさん、スクラムに関する知識をお持ちの方が多く、

Screen Shot 2011-10-23 at 6.09.50 PMという@kawagutiさんのコメントにもあるように、意識の高い人たちとの研修でした。

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今回のアジェンダ。

  • 一日目は「発見」と「計画づくり」
  • 二日目は「デリバリー」と「プロセスの詳細」

となっています。外国籍の方が数名いらっしゃいましたが、英語がある程度わかる方はテーブルで集まり、それ以外は母国語(日本語)でのワークショップになっています。

Jeff’s Training Style and Passionate Visualization

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ジェフ・パットン氏のトレーニングで特徴的なのが、初日に「良い製品を作るためのプラクティスや説明」が行われ、スクラム全体のプロセスなどは二日目に後回しというスタイルだったところです。

また、あとでトレーニングの資料が配られたのですが、資料をすすめるのではなく、必要な情報を抜粋するスタイルでトレーニングは進行し、情報はスライドだけでなく、ホワイトボード、付箋、模造紙、さらには動画といった形で、参加者に共有されます。

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上の写真のように、話す内容は付箋で管理され、付箋に書かれたキーワード(ストーリーに見えた)を片手に、情報を発信します。そしてそれらは会場をどんどん埋め尽くし、たくさんのホワイトボードや付箋で見える化されていきます。彼自身を見ていると、「見える化のプロ」というイメージが強く、これでもか!というぐらいに経験を共有してくれます。

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ワークショップで使う道具はすべて持参されています。アジャイル実践者の匂いがしてとてもいいなぁと思いました。

それでは、トレーニングの中で印象に残った部分を紹介させて頂きます。

Understanding of Scrum Product Owner

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まず始めに、プロダクトオーナーの役割を確認しましょう。ジェフ・パットン氏は、今回の参加者までも見える化します。まずは、「自分が関わっている製品」でプロダクトオーナーを分類し、製品のユーザでさらに分類します。これによって

  • 製品(モノ)を扱っていて、ユーザがコンシューマ
  • 製品を扱っていて、ユーザが内部(社内とか)
  • サービスを扱っていて、ユーザがコンシューマ
  • サービスを扱っていて、ユーザが内部

というように、4つのコンテキスト(背景)に分けられます。ユーザが内部であれば、ビジネスバリュー重視となり、ユーザがコンシューマであれば、ユーザバリューも外すことができません。それぞれのコンテキストが異なるように、それぞれのプロダクトオーナーの役割も変わってきます。

ワークショップでは、プロダクトオーナーの責任と、課題を考えました。たくさん書き出し、だまって整理します。そしてそれらをカテゴライズし、カテゴリに名前をつけます。ここまで整理したあとで、焦点をさがす(Find Focus)のです。

Core Delivery Team for Product Discovery

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そして、よりよいプロダクトオーナシップを考える上では、

  • 価値がある = ビジネスバリュー
  • 利用可能である = User Experience
  • 実現可能である = Developer

という3つの専門分野を考慮する必要があります。この3つの分野を観てもわかるように、すべてを網羅できる人間はそういないでしょう。よって、それぞれの分野を担当できる人材を集め、コアデリバリーチーム(Core Delivery Team)を構成し、3つの分類が重なりあう部分に位置する「良い製品(Good Product)」へと目指していきます。

スクラムはシンプルなロールで有名ですが、ジェフ・パットン氏の説明を聞いていて、「それをそのまま適用させなくてもいいんじゃないか」と思うようになりました。それぞれの役割は決まっていますが、それらがうまく重なり合わない場合もあります。そいういった場合は、例えば、エンジニアリーダが、プロダクトオーナーのサポートをしたり…する必要性が出てきます。これを、「スクラムはこうだ」という理由ではめ込んでもうまくいきません。

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これについては、@sandayuuさんとも話したのですが、開発チーム(ここでいうデリバリーチーム)をスクラムマスターとしてサポートすると、スピードはよりアジャイルになっていくのですが、ビジネスサイドのスピードが追いつかず、逆に遅くなってしまうことがあります。アジャイル開発がデリバリーチーム側だけでは成り立たないように、ビジネスサイドにいるプロダクトオーナーとの連携や、開発からのサポートも必要になってきます。

@sandayuuさんのところでは、ジェフ・パットン氏が記したように

  • プロダクトオーナーチームには「UXデザイナー」や「リードエンジニア」も参加し、ユーザストーリーの整理などをする
  • デリバリーチームにはデベロッパー、テスター、スクラムマスターが参加し、プロダクトオーナーから提供されたストーリーをタスクに分解する

という形に「ならざるを得なかった」と言います。私も同じような経験があるため、定義されたものにのっとるだけでなく、それで上手くいかない場合は、柔軟で、重なりあうようなロールやチーム構成が求められてくるのではないかと思いました。

The Product Owner Focuses Business Value Source

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そして、プロダクトオーナーチームは「ビジネスバリューの源泉は何か?」を考えなければなりません。

まずはじめにつまずいた場所はこの部分でした。「価値」というあいまいな概念が想像できず、うまくチームでまとめることができないのです。プロダクト開発では「経営計画」に直結する部分があったり、「ROI重視」で考えるといったことがよくあります。そういった「カネ」中心のビジネスバリューは想像がついても、ユーザバリューを考えることに慣れていないのが原因かもしれないと、同じテーブルの人とディスカッションしました。このあたりのバランスはとても難しそうですね。

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ジェフ・パットン氏は、「カネ」は結果の一つであり、ビジネスバリューはそれ以外にもたくさんあるべきだと言います。これらを分解して理解するために、練習としてポータブルGPSを開発しているTom Tom社の製品を元に、この製品に対する「What」「Who」「Why」を考えます。

Whatは今回は「Tom Tom」のスター・ウォーズボイスプラグインとします。これは、GPSのナビゲーションボイスを変更するプラグインで、導入すると、ダースベイダーの声で「次を右です。ダークサイドへようこそ」のように話すようになります。

次に、Whoですが、「誰が買うか?」「誰が使うか?」を考えます。「スター・ウォーズファン」であったり、Tom Tomユーザも購入を検討するかもしれません。

そして、Whyでは、この製品の価値への答えを検討します。「ドライブが楽しくなる」といったユーザバリューや、「プラグインプラットフォームになる」といったビジネスバリューも考えられます。例えば「社内ツール」を作っている人であれば、自社に特化した価値を考えることになります。

ジェフ・パットン氏の例え話で面白かったのが、彼の所有する車の話です。彼はアメリカのユタ州に住んでいて、ユタはスキーリゾートがある地域なので冬はとても寒いそうです。彼は2台の車を所有しており、

  • 1台は、日本車で故障しない車
  • 1台は、ドイツ車で度々故障して修理代もかかってしまう車

なので、ドイツ車にはコストもかかって困っています。しかし、彼はドイツ車を手放そうとは思っていないようです。

理由はドイツ車の機能にあります。ドイツ車はシートを温める機能があり、何段階かで調整できます。日本車にも同じ機能はあるようですが、音とオフしかないそうです。最初に書いたように、彼の住んでいる地域は冬寒く、この「調整できるシートの暖房」がとても魅力的な機能なのです。

Product Goal

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そろそろプロダクトのゴールへと向かいましょう。

デリバリーへのプロセスは上の図のようになり、

  1. ユーザを理解する。ユーザは何をするか?
  2. 詳細を理解する
  3. どのように作るか計画する
  4. デリバリーを管理する
というサイクルになります。別途ブログに書こうと思いますが、ユーザーストーリーマッピングというプラクティスを使い、デリバリーを管理する手法が存在します。

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デリバリーされる機能(Feature)は、

  • MVP(Minimum Viable Product) – プロダクト全体を指す
  • MMF(Minimum Marketable Features) – 一つの機能を指す。機能だけでは価値が生まれない

で考えることとができます。Minimumとあるように、作りかけではなく、最低限の機能、かつ全体として完結した形で作っていくことが重要になってきます。

そして「結果重視のプロダクトゴールを設定し、プロダクトデザインやデリバリーに集中する(Setting outcome-centric product goals to focus product design and delivery )」のです。

Output(できるもの)を越えてOutcome(結果)を意識することにより、作ることを目的とせず、その結果を意識したゴールになります。

After Training

最終的なゴールである「製品の価値」に向けて、プロダクトオーナーチームとデリバリーチームは協力して進みます。それぞれのチームが自己組織化するうえで、「スクラムマスターだから」とか「プロダクトオーナーだから」という垣根は必要なく、それぞれお互いの視点を理解し、それを深める事で、よりアジャイルなチームが生まれるはずです。

ジェフ・パットン氏の情熱的なプロダクトオーナートレーニングによって私は、たくさんの視点に気がつくことができました。

アジャイルに関する情報は、アメリカに比べて日本では少ないため、多くが海外からの情報です。日本で活躍されているアジャイルコーチの方も、世界から見れば少なく、それを専門で活躍されている方はさらに少ないです。そして、プロダクトオーナーを実践されていたり、プロダクトオーナーのコーチができる人も少ないのでしょう。日本のアジャイルは、ここ数年でやっとスタートしたような印象があります。

そんな中、スクラムギャザリング東京のような1週間を通してのイベントが開催されるようになり、日本のアジャイルがどんどん加速しています。そして、このプロダクトオーナー研修のような機会が、もっともっと増えることを期待しています。我々はきっと、より多くの実践者から学びたいと思うようになるでしょう。

世界にはすごい人がたくさんいます。