ファシリテーターは「なんでこれを聞いたかというと」って言っちゃダメ

Photo by Rebrand Cities on Pexels.com

アジャイルコーチとしてアジャイル開発やスクラムの導入支援をしていると、最終的に行き着くのが育成だったりします。やりかたやお作法はすぐ教えられるけど、それを身につけるには時間がかかるってことでしょう。

そのなかでも、お客さん先で最近よくやっているのが「コミュニケーション」のトレーニングです。そこでよく指摘するのがタイトルにもなっている「なんでこれを聞いたかと言うと」です。

相互学習する現場のための基礎ルール

ファシリテーションについては、FAJ:特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会などがやっている講座を受けてみるといいと思います。最近の傾向として、ファシリテーションもコーチングも似たようなことを教えているので、コーチングの講座からも学びがあるかもしれません。

僕の場合はほぼ実践で学びましたが、独学として書籍もたくさん読みました。そのなかで一番良かったのが『ファシリテーター完全教本: 最強のプロが教える理論・技術・実践のすべて』で、古い本ですが、実践で感じたことがたくさん書いてありました。

この書籍の中に相互学習のための基礎ルールという9つのルールがあり、その中に「基礎ルール4: 理由と意図を説明する」があります。

理由と意図を説明する理由

たとえば、理由と意図を説明しないで質問すると、相手はどういった理由や意図なのかを考える必要があります。もし、その推測が間違っていたら、違った・ずれた答えが返ってくるでしょうし、内容によっては「なんでこんなことを聞くのだろうか?」と不信感も増します。

悪い例としてよく話すのが名探偵のコナンくんや、金田一少年です。彼らは役割上、自分の意図を話しません。よって、いつも誤解が生まれます。

金田一少年「Aさん、事件があった時間、あなたは何をしていたんですか?」
Aさん「金田一さん・・・あ、あなたは僕が犯人だと疑っているんですね!!!」

大抵の場合、疑われた人は飛び出して死んでしまい、別に真犯人がいることが判明します。疑われた方にとってはもうふんだりけったりです。

ファシリテーター完全教本: 最強のプロが教える理論・技術・実践のすべて』にもこう書かれています。

ファシリテーターが理由と意図を説明することによって、発言や質問、行動の背後にある考え方や同期についての関係情報を共有することができる。

『ファシリテーター完全教本: 最強のプロが教える理論・技術・実践のすべて / 第2章 絶対に成功するファシリテーション理論より

これにより、ずれた質問をした相手にバツの悪い思いをさせなくてすみます。

理由と意図を説明する方法

単純に、理由や意図を先に説明するだけです。

例「僕は、メンバーはいつもちゃんと確認しているのに、この日だけその確認が行われなかったのが不思議でなりません。なにか別の隠れた理由があるのではないかと疑っています。なぜその日だけ確認されなかったんですかね?」

金田一少年の場合はこうです。

金田一少年「僕はあなたを犯人だとすごく疑っています。だって、あの時間、現場にいなかったのはあなただけですから。あなたはあの時間何をしていたんですか?アリバイを証明して下さい」

理由と意図は伝わりますが、物語的にはつまらないかもしれませんねw

というわけで、もしあなたがファシリテーターとして「なんでこれを聞いたかというと」と話してしまったならば、次回から言い方を変えてみるといいかもしれません。

ファシリテーターは、グループのコミュニケーションを活性化させ、新しいアイデアやきづきによって成果を強化する存在です。わざわざリスクのあるふるまいをするべきではないでしょう。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください