
コーチングの勉強をかねて日本コーチング協会神奈川チャプターの勉強会に参加しているのですが、そこで教えてもらった、PCCマーカーを使ったショートコーチングがとても面白かったので、その内容をご紹介。
PCCマーカーとはなにか?
PCCとは、ICF(国際コーチング連盟)の認定資格であるプロフェッショナル認定コーチの略称です。PCCマーカーは、PCCレベルのコーチが、コーチングセッションで示すべき振る舞い(behaviorを「行動」と訳されているけど、「振る舞い」のほうが近い気がする)を挙げたものです。
実際の認定試験でも指標として使われているようですが、練習セッションの内容を確認するのに役立つこと間違いなしです。ただし、ICFはそのへんも見越していて
PCC マーカーを、PCC の実技評価に合格するための定型のチェックリストとして使⽤すべきではありません。
PCCマーカー日本語版より
と釘をさしています。
実例を見てみましょう。たとえば、「傾聴」に関するコンピテンシー6はこんな感じ。
- 6.1: コーチの質問や観察は、コーチが、クライアントがどんな⼈で、どんな状況に置かれているかを理解した上で、カスタマイズされている。
- 6.2: コーチはクライアントが使う⾔葉について問いかけたり探索したりしている。
- 6.3: コーチはクライアントの感情について問いかけたり探索したりしている。
- 6.4: コーチは、クライアントのエネルギーの変化、⾮⾔語的な合図、またはその他の⾏動を探索している。
- 6.5: コーチは、クライアントが⾃分⾃⾝や⾃分の世界を現在どう捉えているかについて、問いかけたり探索したりしている。
- 6.6:コーチは、明確な⽬的がない限りクライアントの話を遮らず、最後まで話させている。
- 6.7: コーチはクライアントの明解さと理解を深めるために、クライアントが伝えたことを端的に反映したり、要約したりする。
どの振る舞いができていたかを考えるのと同時に、そのときにどういう質問をしたのかもメモしておくと面白いです。
PCCマーカーの使い方
短い練習用コーチングセッションを行い、コーチ役とクライアント役以外が、このPCCマーカをチェックしていきます。
毎回印刷するのは面倒なので、Google Docsでチェックリスト形式にしてみました。よければコピーして使ってみてください。
より具体的な使い方例は以下です。
- コーチ役、クライアント役、オブザーバ役(オプション)でコーチングのショートセッションを実施する
- 短い練習セッションなので、コーチはあらかじめ「今回はどのコンピテンシーを意識したいか」をクライアントやオブザーバに伝えておくとよい
- PCCマーカーの内容のうち、実現できていた振る舞いをチェックする。セッション中にオブザーバにチェックしてもらうか、セッション後にコーチとクライアントで対話の中の行動をふりかえりチェックする
- セッション終了後に、PCCマーカーの結果をフィードバックしてもらう
やってみた感想
とてもいいです。
PCCマーカーが全てだとは思いませんが、なにかしろの指標があると、確認が便利になります。さらに、苦手な部分もわかってくるので、苦手克服の指針にもなりえます。
PCCマーカーの感想とは少しずれますが、10分足らずのショートコーチングでは、話せる内容や期待する結果が小さくなります。よって、より効果的な練習を行うのであれば、クライアント側はコーチングしやすい課題を用意しておくといいのではないかと思います。
たとえば、人生の悩みを10分で結論づけるのはほぼ不可能です。しかも、初対面であれば、前提条件の確認だけでセッションが終わってしまいます。これだと練習の意味がない。
もっと身近な課題として、「片付けられない(僕このネタすごく苦手だけど・・・)」、「ダイエットやジムが続かない」といった、誰でも想像しやすいネタをいくつか持っておくとよいなぁと感じました。