
いつまでも限りなく高い意識を持つために、奄美大島でワーケーションを1週間実践してきました。ワーケーションとは、「休暇中にテレワークで仕事をする働き方」で注目されているようですが、本当にそんな働き方できるのー? と言う前に、実際にやってみました。そんな旅行記。
世界遺産候補「奄美大島」へ
なぜ奄美大島を選んだか? 当初は国内の世界自然遺産をめぐろうと思って東北の白神山地や北海道の知床半島に行こうとおもったが、冬が深まるにつれて行くことすら困難になるのがわかった。
だったら南の島しかない。奄美大島は世界遺産を目指している島だ。11月でも気温は20度を超え、天気のいい日はTシャツ・短パンで過ごしてもじんわりと汗をかく。

距離も丁度いい。東京からはLCCが成田から飛んでいるので飛行機で約3時間。コロナ過の影響で空港はがらがらで、機内も余裕のある座席配置だった。

奄美大島に着くと、飛行機の乗客はみんないそいそとレンタカー屋へ移動する。離島は移動手段が限られ、タクシーの台数も少ないので、レンタカーは必須。小さい島なので、車があれば半日で一回りできてしまい、ずっと対面車線なので渋滞が起きやすい。
奄美大島での宿泊について

今回はエンジニアの友人と2人でワーケーションだったので、宿泊先は古民家を1件借りた。airbnbでも調べたが、国内のairbnbにいい思い出がない(写真はきれいだけど行ってみると・・・)。民泊は面白いと思うが、清潔が重要なポイントを占める昨今だときちんとした宿泊施設経営をしているところが望ましい。

そこで見つけたのが「伝泊」というサービス。「 奄美に暮らすように泊まる」というテーマでホテルや古民家を運営されている。Go Toトラベル対象施設にもなっていて、サイトのデザインもよく、ブログの内容も地元感満載で、フロントのスタッフの対応もすごくよかった。

古民家だと間取りも広いので密も避けられる。手洗い場も2箇所あり、それぞれを専用として使うことにした。話すときはもちろんマスク着用。冷蔵庫を触るときは手洗いと消毒を徹底。これから1週間ほどの滞在になるため、気を抜かないようにしなければならない。
しかし、街で見かける島民の人たちを眺めてみると、ほとんどがマスクをしていなかった。こんなニュースもあるが
参考: 北海道・利尻島でクラスター 島民はGoTo批判「島にウイルス持ち込むな」
何が問題だったのかは冷静に検証しなければならないのだろう。

奄美大島の民家は、高温多湿を避けるために高床形式になっている。

さらに日中の日差しから畳を守るために、民家を取り囲むように廊下が張り巡らされているのが特徴的だ。
もうひとつ、注意しなければならないのが「風」だという。奄美大島は風が強く吹くため、車のドアを開けたときに突風が通り抜けると、ドアが壊れてしまうらしい。宿のスタッフが悲しそうに自分の車に起きてしまったことを話してくれた。
奄美大島での食事について

食事は外食が中心にしたが、宿泊施設周辺にいくつか点在しているため困ることはなかった。ただ、小さいお店が多く、不定期に休むお店もあり、人気店は予約必須なので注意が必要だ。

飲み物や朝食や間食、夜のおつまみはスーパーでまとめ買い。宿泊施設のある赤木名には大きなスーパーが1軒だけあるが、すぐに閉まってしまうのでこちらも注意が必要。大抵のところでカードやPaypayが使えるので、現金はそれほど必要なかった。


奄美大島で有名な食べ物が「鶏飯(けいはん)」。鶏ガラスープをかけるお茶漬けみたいなものだが、さらさらと食べられるので毎日食べても飽きない。

個人的にナンバーワン島飯だった魚匠の「ウンギャル丼」。ウンギャルの出汁をかけてサラサラ食べる。パパイヤの漬物、島の味噌、もずく。おばちゃんおねえさんからおまけで島のお餅をもらった。
お店までは宿から歩いて5分。金曜日は魚匠バーガーも予約購入できるし、酒のつまみもたくさん並んでいた。

晩酌はキッチンで地元の焼酎を飲み、眠くなったら寝て、陽がさしてきたら起きるシンプルな生活になった。
奄美大島での周辺について

宿泊施設の目の前が海なので、海沿いをジョギングするのが日課になった。眺めのいい海沿いの公園まで5キロ強。起伏があるため登りはかなりきつい。

天候に恵まれて11月でも半袖短パンで走れる。初夏の東京ぐらい暑く、日差しを遮るものがほとんどないので、帽子と飲み物は持ち歩いたほうがいい。



奄美大島でのワークスタイルについて

仕事は畳の上で作業。ざぶとんがなかったのはコロナの影響なのだろうか。

残念ながら窓から海は見えないが、疲れたらコーヒーを片手に玄関をでればすぐに海だ。休憩中だけでなく歯磨きをしながら海を眺めたり、すぐそこに海がある生活を体験できた。

夕方なら夕焼けを見ながら黒糖焼酎を飲んだり。夜になったら星を眺めたり。
ホテルだと目の前に海があっても、部屋を出て、鍵を締めて、エレベータを降り・・・と海までにたくさんの障害を乗り越えなければならない。しかし、ここにはそんなものが何ひとつない。

宿泊施設はWifi完備。回線スピードを調べてみるとオンラインMTGでも十分な速度がでているので快適に働ける。バックアップとして au網のポケットWifiを借りたが必要なかったようだ(ちなみにこちらは9Mbpsちょい)。
ちょうどHISが奄美大島のワーケーションツアーを販売開始したのだが、ぜひとも改善していただきたいのが「作業場」の問題。長期滞在の場合、作業環境も整備が必要だと思う。

PCを使う仕事であれば、長時間座っていても疲れない環境が必要。僕はどんな姿勢でも平気だが(姿勢はすごく悪い)、友人は腰痛持ちなので、宿泊施設にあったテーブルを駆使してスタンドアップデスクにする必要があった。長時間作業ができる椅子と机は、ぜひともほしい。
また、作業効率を考えると、大きなモニタもあると助かる。大きなモニタを持ち運ぶのは現実的ではないので、施設の備品として用意されていると、とても作業がはかどるだろう。
奄美大島でのバケーションについて

ワーケーションは基本的に仕事ありきなので、仕事と休暇のメリハリというよりも、ちょっとした日常のすきまに、現地特有の風情を楽しむのが自然だろう。
島の陽と風を感じながら本を読んだり、性懲りもなく海を眺めたり、ちょっと歩いて漁港のおばちゃんおねえさんのところで買い物したり。日常と変わらない行動ですら、変わってしまったように錯覚してしまう。

宿泊施設に移動するときに、たまたま「ハートロック」を見つけたのだが、まとまった時間に観光地をめぐるのではなく、ふと見つけた何かに気軽に立ち寄れる気軽さ。
これはワーケーションだけなく旅行の醍醐味とも言えるが、ワーケーションだと発見がさらに鮮明になる。
どこの家かわからないが笑い声が聞こえる。「こんにちは」「おはようございます」と、そこに住む人が繰り返してきた日常が聞こえる。昼下がりになると、どこからか島唄が聞こえる。
用意された観光地や現地文化紹介でなはなく、そこに住む人達と同じ視点で過ごし、つつましやかな暮らしに静かに溶けこんで「暮らす」のだ。
今回学んだこと

旅の持ち物については6泊でこうなった。洗濯機やランドリーが近くにあるので衣服は少なくできるし、気温が20度〜26度だったのでTシャツ・短パンで十分だった。寒がりなら上着と薄手の長ズボンがあると丁度いいのかも。
- 冬服2セット(行きと帰り用の1セットでよかった)
- 夏服2セット
- 薄い上着
- ランニングシューズ、サンダル
- PCセット
- モバイルバッテリー、スマホ
- MTG用イヤホン
- マスク、常備薬、コンタクト、メガネ
- 旅本
現地で買ったものはこちら。
- 食料と飲料(昼食は弁当か漁港、朝食と夕食はほぼスーパー)
- 消毒液と消毒できるウェットティッシュ(ファミマやドラッグストアがおすすめ。近所のスーパーでは売っていなかった)
持ってこればよかったなぁと思ったもの。
- 耳栓(深夜風が強いとすごい音、いろんな鳴き声も聞こえるし)

僕は現在100%リモートワークなので、Wifiさえあればどこでも働ける。よって、「旅行しながら働ける」が、手段を語る前に「ワーケーションの意味や意義」を考えておく必要があると思う。
「ワーケーション = 休暇 + 仕事」なので、旅行しながら働きたくない人は、休暇を取るべきだろう。オンとオフを分けたい人にワーケーションはマッチしないので、休暇をとって遊びに行けばいい。「休暇中に仕事したくない!」という意見はワーケーションにとってナンセンスだ。
次に、ワーケーションはその人の家族構成の影響を受ける。たとえば独身であれば比較的自由に動けるだろうが、家族がいると機動力は落ちるだろうし、幼稚園や学校があるお子さんがいるなら、平日のワーケーションは難しいだろう。
こういった条件をふまえて「ワーケーションとは何か?」を考えると、以下のようにシンプルなものだ。
- ワーケーション = 仕事 + 休暇となる
- 仕事時間をのぞいた時間が休暇(=余暇)となる
通常は8時間勤務が多いかもしれないが、裁量で働く形がとれるのであれば、作業効率によって休暇部分を増やせるかもしれない。
では、ワーケーションの意義はなんだろうか?
政府の資料などからワーケーションへの期待値は以下のように考えられる。
- 長期休暇が取りやすくなる(旅行予算が増えて地元経済の活性化を目指せる)
- 休暇の分散も期待できる(コロナ感染コストも下がる)
- いつもと違う環境でリフレッシュ・ストレス軽減できる
もちろん「誰が費用を負担するか?」といった問題などもまだまだあるだろうが、働く場所を選ばない人であれば、概ねメリットが大きい。





そして、実際にやってみてどうだったか?
リフレッシュできた。以上である。
仕事は変わらずあるし、一日のスピードも同じ。住んでいる場所と異なるので、生活の使い勝手は悪くなるが、困るほどでもない。Go To トラベルの特典クーポンで食費をほとんどまかなえたが、それでも6泊5万円とお金もかかる。
仕事をしている間に、子どもたちが海で遊んだりできると、また違った価値を感じられるかもしれないが、「いい気分転換になった」が正直な感想であり、すべてだった。
また気分転換が必要になったら、お金を貯めて、冬は温かい場所、夏は涼しい場所でワーケーションも悪くない。