「ごめなんさい」と言える技術

By: butupa

別に誰かを責めるわけではないとはじめに断っておこう。前にこんなことがあったんだ。そのときの僕は、仲のいい従姉妹の結婚式後に、両親と中華街で食事をする段取りを考えていた。

事の顛末

親になった僕は両親のことをよく考えるようになった。だからそのときも、大阪で暮らす両親のことを考えながら、「久しぶりに関東に来るんだったら、うまいもんでも食べさせてやりたいなぁ」とか「孫とゆっくりすごしたいだろうから、ゆっくりできるところがいいなぁ」とかあれこれ段取りを思い描いていた。

大阪からは従姉妹の両親と、まだ小さい子供を連れて弟夫婦もやってくる予定だった。だから、「みなさんはどうしますか? もしご一緒できるんだったら段取りしまっせ」と伝えており、返事を待っていた。

そこにこんな電話がかかってきた。

うちの母親は三人姉弟。姉がいて(伯母さん。この人の娘が結婚するのだ!)、母がいて、弟(叔父)がいる。電話の主は東京に住む叔父だった。

今だから言えるけど、その母の弟さんは昔から偉そうで怖いイメージがあった。お互い歳をとり、叔父はおじいちゃんに近づき、僕もおっさんになったので、力関係も変わり「イメージがあった」に今はなっている。でもなんか苦手で、いつも話すときはそわそわしてしまう。なぜ苦手かは、このブログを読み終えるとわかるかもしれない。

「中華街なんて遠くて行けるわけないだろ!」

叔父の第一声はこんな言葉だった。叔父の家族も結婚式後の食事会に参加予定だったが、予定している場所を聞いて文句(僕にとっては文句だ)を言うためにわざわざ電話してきたらしい。

式は川崎だったので、中華街は少し遠い。ましてや、叔父は新宿に住んでいるので帰りはさらに遠くなる。

こっちとすれば「自分の親を思って企画した場所」である。たしかに遠いかもしれないが、そこまで言われる筋合いはない。それを説明しても、延々と文句を言い続けてくる。

一応、丁寧に受け答えしていたが、途中であまりにも腹が立ったので、電話を切ってから伯母(姉)と母に「お前の弟はどういう了見でもの言ってんじゃボケがっ!」と怒りをぶつけることになり、母は「うちの息子に何偉そうに言ってんじゃボケがっ!」と怒り(このへんは母親似だと思う)、しっかりものの姉は「まぁまぁ、あいつも一緒にご飯を食べるのを楽しみにしているんやで」と矛を収めるように説得される始末。

祝いの場の話でありながら、こんなことになるなんて思っても見なかった! とだけ言っておこう。

「ごめんなさい」と言える技術

あとで従姉妹から「ごめんね」っていうメッセージが届いたが、彼女が謝る必要は全くない。そして別に謝ってほしいわけでもないのだ。

きっと「一緒にご飯を食べるの楽しみにしているよ。でも場所が遠いから近い場所にしない?」とか、言い方を少し考えるだけでよかったはず。間違って拳を振りあげてしまったとしても、気がついたときに「ごめんごめん」とか、軽くてもいいから「ごめんなさい。言い過ぎたわ」と言うだけですんだ話しなんじゃないかな。

なぜそれが言えないのだろう?

身の回りでも「ごめんなさい」の一言が言えないせいで、損をしている人を見かける。「何と戦ってんだか」って思うけど、年をとると怒られることが減っていくから、そうなってしまうのかもしれない。

自分に非があるなら謝ればいい。謝ってすまないことでも、申しわけなさって重要だと思う。その人の姿勢というか、ポリシーをそこから感じとれる民族なわけだし。

だから、ちゃんと「ごめんなさい」って謝れるようにしよう。って思ったんだ。