Wikipediaの「プログラマ」を説明したページの内容が偏っている件について

プログラマ   Wikipedia

今年の仕事のことを考えているうちに、改めて「ソフトウェア開発ってなんだろう?」と思うようになった。

そして、ソフトウェア開発をする上で、「理想の環境というのはなんだろう?」ということを考え、今年はそれを目指そうと調べている。改めてWikipediaなどを読んでみると、いろいろな気づきがあり、一部の表現内容がとても偏っていることもわかった。

ソフトウェア開発とは

まず、Wikipediaのソフトウェア開発についての説明。

ユーザーのニーズやマーケティング上の目標をソフトウェア製品に変換する作業である。〜中略〜 ソフトウェア製品のマーケティング活動そのものは、必ずしも新商品開発とは結びつかない。

これはとてもいいまとめのように感じる。開発という中にいて周りを見ていると、エンジニアからの視点が強い人が多い。例えば、「Appleにあこがれる」「新しい技術を導入したい」といった、エンジニアの欲求に対しての視点だ。マーケティングの用語で言うとプロダクトアウトになるのだろうか?エンジニアのアイデアによって、製品やサービスを作るという形だ。

しかしながら、それだけでお金を稼ぐことは難しく、Wikipediaにもあるようにマーケティングの要素や、ビジネスサイドの考え方も必要になってくる。新サービスを作り続けることは大切な要素だが、その資金や時間を作り出すために、ビジネス視点や日々の改善作業は必要不可欠になる。

顧客の期待を満足させるべく開発されたソフトウェア製品の成功/失敗の責任が工学的側面にあるのかマーケティング的側面にあるのかを判別するのは、多くの場合困難である。そのため、ソフトウェア開発全体として工学的側面とマーケティング的側面を共に理解し、それらの協調を促進することが重要である。

私は、サービスを作っている会社に転職したことで、工学的な要素である「作り方」にこだわりたいタイプの人間なのだが、マーケティング的側面の重要性を感じるようになってきた。そして、工学とマーケの両方を理解することはとても難しいことも分かった。Wikipediaだと「プロジェクトマネージャのような人がバランスを取る」と書いてあるが、請け負う範囲が個人の裁量を超えるぐらい広いため、誰かがバランスを取るのではなく、全体でバランスを取る形がいいのかなぁと思った。

プログラマとは

そして、問題のプログラマのページである。

恐らくこれを書いた人は、個人の視点で書いたように思える。なぜなら、共感するところはあっても、時と場合による所が多いからだ。これだとWikipediaのページとしては「不十分」と書かれても仕方ないように思う。例えば、

また、ソフトウェアに不具合が発見された場合、深夜残業や休日返上での修正作業をせざるを得ないこともある。

24時間体制の仕事は他にもあるはずなので、プログラマだけの苦労ではない。

偽装請負や多重派遣を指すスラングとして、単に人材を他社に送り込むことで中間マージンを搾取することから「人売り」(人売りIT、人売り企業)、面談場所にたどり着くまでの間に営業担当者から他社の営業担当者へと次々と引き渡され連れ回されることから「ドナドナ」(ドナドナされる)などが存在する。

私も面談を経験したことがあるが、悲観的には思っておらず、ビジネスモデルの問題だと思っている。顧客といい関係を築いているならば、こうならないことも経験したので、これも悪い面だけがアピールされているのが残念だ。そして、中間マージンビジネスはもう難しいビジネスなので、経営者は早く見直さないと、企業はゆるやかに死へと進んでいくだろう。

そして、「格差社会におけるプログラマ」について。

頭数として利用される立場である以上、プログラマ自身のアイデンティティに対する価値は最初から全く期待されておらず、肉体の能力や精神的な意欲の低下が顕著となる30代後半以降の局面を以って職業を継続する事が困難な状況に陥る傾向がある。本来は知的労働者であるべきプログラマが、そのアイデンティティを無視されたままに、年齢や怪我による主に肉体的な能力の低下を理由として簡単に使い捨てられる日本の常識的な産業構造を揶揄する意味でIT土方という言葉や新3Kという言葉はあまりにも有名であり、・・・

たしかにそういう面はあると思う。が、悪い面のみを書いているので悪く見えてしまうのが悲しい。

改めて調べてみると、いろんな見方があることがよくわかる。「SIerはオワコン」という言葉がよくタイムラインを流れていた時期もあるが、SIであろうが、サービス開発であろうが、どこも似たような問題を持っている。一部の問題に対して、全部が悪であるような言い方は個人的に好きではないし、そんなことしていても世の中が良くなる気がしない。そんな暇があったらプログラムを書いたほうがいい。

Wikipediaの先頭に「プログラマはクリエイティブな仕事である」と書いておこうかなと思った。

これ以外にも、システムエンジニアのページや、デスマーチの定義が面白かった。