「ぼくは大きくなったら何になるの?」
監視役の繭美と共に、付き合っていた5人の女性に別れを告げにいく星野。彼はやがて「あのバス」にのり、日常には戻れないところへと連れていかれる。太宰治の未完の絶筆「グッド・バイ」から想像をふくらませて創った、まったく新しい物語。
なんとか、土日で読むことができた。
最近は、英語を覚えろとか、結婚の準備をしろとか、なんだかとても面倒なことが多い。こんなに暑い夏が来ているのに、それを楽しまないなんてもったいないとは思わないのかな。
たまに本屋に行くと、ちょうどよいタイミングで伊坂幸太郎さんが本を出している。毎回、それを見つけるたびに、家に帰って注文するようになった。
今回は、どんな話なんだろう?ゴールデンスランバーを超える、ワクワクする本だろうか?
本というものは、本来、こういう物であったはずだ。困った人がいるとほっておけない星野という主人公と、それを監視するためにいる大女の繭美。どうしようもない男である星野に付き合い、付き合っていた5人の女性に別れを告げに行くのだが、それぞれに思い出を残してしまう。
泥沼の不倫から抜け出せなかった女、離婚して子供を一人で育てている女、ロープをかついで夜の街に侵入を試みる女、乳がんの検査を受けた女、誰もが羨む美貌を持った女。
星野は、それぞれに屈託の無い愛情をそそぎ、それぞれを傷つけていく。女たちは、星野のその性格を愛し、別れをしる。しかし、彼女たちは、どうしようもない別れということを知らない。
今回の小説は、なんだかとっても切なくなる物語だった。5人の女性との別れそれぞれに物語があり、それぞれの生き方がそこにはある。読み終えるまでは、なんだか寂しい気分でいっぱいだったが、最後の章を読んで、これまでの物語が一気に一つになった気がした。
どれだけ冷静に考えたとしても、「人間のやること」を想像しきれるわけではない。
自分の行動も同じで、原因を分析されたり、行動を予想する人間もいるだろうが、その行為に意味は生まれない。可能性というものは、誰かが期待するわけではなく、自分の行動から生まれるはず。
そう、自分の行動が重要なのだ。