
「社会にだって目に見えないことのほうがおおいよ」
尾島にだけは、そんな独り言めいた言葉を言えた。
だから人間同士は空間を言葉で埋め尽くそうとする。
アーリオ オーリオより
袋小路の奥に閉じこもる男と、それを見続ける女のラブストーリー。しとしととした先のあるようなないような物語だった。でも幸せに満ちている気がするのがとてもよかった。
「袋小路の男」、「小田切孝の言い分」は話がつながっている短編。「アーリオ オーリオ」は前2つと関連のない物語だったが、3つとも袋小路に閉じ込められている雰囲気が漂っていた。「この先は行き止まりです」と看板が掲げられているようだ。
昔、ある女性が「雪は宇宙から降ってくる」と教えてくれて、「大停電の夜に」の予告編で、まったく同じ内容のシーンがあってびっくりした。こういう言葉はとてもやさしい。これと同じような気分にしてくれること言葉が「アーリオ オーリオ」に書かれていた。
流れ星は音がしますか?