アジャイル開発やスクラムにもマネジメントは必要だ

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最近、よくお客さま向けに「アジャイル開発やスクラムにも、マネジメントやプロジェクトマネジメントは必要だ」と話すことが多い。事の背景はこんな感じ。

背景

よくあるのが「アジャイルチームは自律して動くからマネージャはいらない」という意見だ。この意見はおおむね正しいと思う。「おおむね」の理由は、マネージャという役割は自律型組織にとって必要なくなってくるだろうけど、マネジメントという仕事はなくならないからだ。

会社全体が自律型であれば、もしかしたらマネジメントすらいらなくなるのかもしれない。ただ、ほとんどの組織がそうではないのが現状だろう。よって、四半期ごとに目標設定と評価が発生するし、人材を採用したり育成する計画は必要だし、予算管理や体制変更も検討しなければならない。

こんな状況から「マネージャとマネジメント」を引っこ抜いてもうまくいくはずがない。

おそらく、中心に置くものを変えたときにこういった状況が発生する。上記の例「「アジャイルチームは自律して動くからマネージャはいらない」は、「アジャイル開発」が中心にある。でも、実際の現場には、組織、文化、管理職といった昔から続く土台がある。

もし、文化を一気に変える権限や力があるなら、「アジャイルチームは自律して動くからマネージャはいらない」のように、アジャイル開発やスクラムを中心に置いてもうまくいくかもしれない。しかし、そうでないなら、今あるものを新しい価値観に合わせていく段取りが必要になる。

段取りの例を「アジャイルチームは自律して動くからマネージャはいらない」で考えてみると、最初にぶつかりやすい壁は「従来型のマネジメントやマネジメント人材をどうするか?」だろう。おもいきってマネージャ職をなくしてもいいだろうし、予算管理や評価といったアジャイル開発やスクラムであろうがなかろうが必要になる部分を、アジャイル開発やスクラムから切り離して考えてもいいだろう。

どうするべきかは定義できないが、確実に言えるのは、マネージャであろうがなかろうが、全員の働き方が大きく変わるということだ。新旧どちらか一方が変わらなければならないわけではない。

アジャイル開発もスクラムも万能ではない

アジャイル開発もスクラムも万能ではない。

アジャイル開発は価値観しか語ってくれないし、スクラムガイドに細かい手順が書いているわけではない。だから、

  1. チームでどう意思決定するか? 多数決以外の方法にチャレンジしたほうがいい。
  2. コミュニケーションを重視するにしても、開発時間を確保するために必要最低限に抑え込んでいったほうがいい。
  3. マネジメントとしてのリーダーシップと、チームとしてのリーダーシップを尊重したほうがいい。
  4. 同じバスに乗れないない人を雇わないほうがいい。
  5. チームだけでなく個人も尊重したほうがいい。
  6. 技術的負債も通常の開発作業と同じ扱いで消化したほうがいい。
  7. グループによるシナジーを作れるスキルをチームで身に着けたほうがいい。
  8. チームも個人も成果を出したほうがいい。
  9. 信頼されるためにコミットしたほうがいい。

と思う。

最低限にしぼられたシンプルな情報をもとに、自分のいる環境に合わせて、自分なりの考え、答え、方法を見つけていけば、きっと正解に近づける。

「スクラムガイドに書いてあるから」や「スクラムガイドに書いてないから」は、スクラムガイドが万能でない限り、思考停止につながりやすい。あまりにも便利なツールは、使っている人の思考をマヒさせてしまうのだ。しらぬまに「これやれば絶対成功する」と思い込んでしまう。

んなわきゃない。

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