後輩がGitHub採用疲れの話をしてくれた

By: othree

たしか、採用面接の方針を話していて、それぞれの採用に関する価値観を聞いたときのこと。ある後輩が「GitHub採用つらい」という話をしてくれました。聞いてみると、たしかにすんなり納得できない部分もある気がします。

GitHub採用とは

最近のエンジニア採用では、応募者のGitHubアカウント情報が流れてくるようになりました。同様に、LinkedInアカウントも流れてきますね。書いてきたコードや経験がオープンになってきたということなのでしょう。

情報がオープンになり、人材の流動性が高まるのは、個人的にはうれしいことです。なぜなら、いろんなことをいろんな場所で経験できることに魅力を感じるからです。一つの会社でいろいろできるのも魅力的ですが、土台となる文化が同じだと、体験に差が生まれそうですし。また、景気に影響を受けるとはいえ、クビになっても仕事を見つけやすくなるかもしれない。

一方で、マネージャーの仕事をしていると、いい人はずっといてほしいので、流動性でもってかれてしまうのにビクビク。でも、一概に自分のところでキープ! ってのがいいわけでもないので、本当に悩ましいところです。

GitHub採用疲れ

後輩は、自身が体験した転職活動の話をしてくれました。それはこんな話です。

ある会社では、GitHubアカウントの提出が必須だった。でも、自分は持っていなかったので書類選考にも進めなかった。
ある会社では、OSSへの参加経験を聞かれた。でも、自分は質問もコミットもしたことがなかった。
ある会社では、新技術をどうやって勉強しているか聞かれた。業務後や余暇での勉強を聞かれたけど、仕事以外の時間は仕事以外の時間に使いたいと答えた。

結果、どの会社も面接に通らず、面接でもなんだか微妙な空気が生まれたんですって。

本人のスキルや経験を考えずに聞いていると、「そこまで求めますか?」って部分もある気がするし、「それだけで判断できないな」ってこともわかった気がします。

例えば、仕事上で作ったソースコードは、普通は公開できませんよね。だとすれば、GitHubにあるのは公開できるコード。スキルを見るなら勉強で試したコードではなく、何かしらのアプリ、サービス、プロダクトでなければ厳しいでしょう。さらに、OSSに参加しているエンジニアは、していないエンジニアよりすばらしいのでしょうか? 応募者にそこまで求めるものなのでしょうか?

また、自己研鑚を業務中にやってもいいわけだし、業務で調査をする場合もあります。テックブログがある会社ならそこで発信できますけど、そうじゃなかったら発信すらできません。そしてなによりも、業務後や休日にソースを書けばすばらしいのか?

後輩の話から、いろんなことを感じました。

おわりに

スクリーンショット_042216_105645_AM

最近調べたGitHubアカウントはこんな感じでした。GitHubアカウントが必要だから、適当なOSSのサンプルを突っ込んでいるだけの人もいました。何かの基準をつけると、その基準を「うまく」クリアするように工夫する人が現れるものです。

ちなみに上のContributionグラフは僕のGitHubアカウントです。昔はJavaの便利クラスとかRedmineプラグインとか書いてましたが、最近はあんまりGitHubを使わず、結果だけブログに残すようにしています。スマホアプリの開発をはじめようとしていますが、マネタイズしたりすることを考えると、「全部公開はできないなぁ」と思っているところです。だから、GitHubアカウント必須なら厳しいかも。

休日はブログを書いたり、本を読んだり、家族と過ごしたり。自分のために時間を使っています。もちろん、たまにコードを書いたりもしますが、「土日かまわず勉強するぜー!」ではないです。昔はそうだったけど、それは仕事で役立てたいからやってただけで、決して転職活動のためではなかった。

昔、職業プログラマ問題について書いたことがあるのですが

https://daipresents.wordpress.com/2015/work-experience/

今回も同じような匂いを感じます。仕事でコードを書くだけの人を受け入れられる会社もあれば、GitHubでのソース公開やOSSへの貢献を重要視する会社もある。社員の休日を大切にする会社もあれば、休日抜きで仕事や勉強をする人を求める会社もある。

後輩は最後にこんなことを言いました。

僕はサービス開発が好きです。

GitHubアカウントを持っていなくて、休日はのんびり過ごして、平日一生懸命働いてくれる。なによりもサービス開発が大好き。意識は高くないかもしれないけど、そんなエンジニアがいてもいいんじゃないか? だから僕は、「今のままでいいと思うよ」って話しました。

4/23追記。誤字修正。GithubではなくGitHubだったとは全然知らなかった…。

“後輩がGitHub採用疲れの話をしてくれた” への 6 件のフィードバック

  1. […] いと言えるでしょう。 これらのGitHub採用に対して候補者の嘆きが以下のようなブログでも紹介されています。 「後輩がGitHub採用疲れの話をしてくれた」http://daipresents.wpcomstaging.com/2016/github-fatigue/ […]

    いいね

コメントは受け付けていません。