なぜあなたが勉強会で共感したことが社内でうまく伝わらないのか?

I Love You Lots
I Love You Lots by jeff_golden, on Flickr

最近、とあるマネージャーと飲んでいて「勉強会で共感したことが社内で伝わらない理由」についていろいろ話しました。

個人的に組織や人のマネジメントに興味をもつようになり、いろいろ考えがでてきたので、忘れないように書いておこうと思います。全ては僕個人の印象や経験による仮説でしかありませんがご了承ください。まぁブログなんてそういうもんです。

コミュニティ内での反応が社内で起こるとは限らない

最近は勉強会が盛んに行われており、たくさんの知識や人にアクセスしやすくなりました。そんな中、すばらしいセッションを聞いて感化されたり、自分から発信したりして、さまざまな反応を体験したりすることもあると思います。

しかし、残念ですが、体験や経験した反応が、社内で同じように起こるとは限りません。

外での発表で得たアイデアが受け入れられない。勉強会やカンファレンスで感化され「みんなで○○をやってみようよ」という呼びかけをするが人が集まらない。社内で定期的に勉強会を開き、社内を活性化させようとするがうまくいかない。とあるツールを使って欲しいけど使ってもらえない。いろんな発信が組織ではなかなかうまくいきません。

私の周りでも「何もわかってくれない」「なんでこの凄さをわかってくれないのか」と嘆くケースを見かけます。いったいどうすれば発信から期待する反応を得ることができるのでしょうか?

大切となる「共感」という心の反応と反射

まず、最初に忘れてはならないのが、伝えるために発信をしていることです。それが成功することもあれば、失敗することもあります。そもそも発信はそういうものであることを理解すれば気持ちは楽になります。

次に、社内と社外で決定的に違うのが参加者です。コミュニティに参加する人は向上心が強い人たちが多いです。そういう人達は沢山のエンジニアがいる業界の中でも僅かな人数だと思います。そういった濃い人達が集まる場だと、発信に対しての反応が大きくなるのは当然です。

一方、社内にはいろんな考えの人がいます。前向きな人が多いと信じたいところですが、会社という狭い環境から出ない人もいますし、そういった人達に向けての発信は、通常より大きな力が必要になってくるでしょう。親しい仲間内では理解されても、その枠を超えた途端にうまくいかないのは、共感を求める対象のバリエーションが広がったり多様化するからだと思います。

おかしなことに「対象範囲の狭い社内のほうが社外より難しい」という矛盾が生まれます。

逆に「共感されない共感」にも注意が必要です。「なんであいつらはわかってくれないんだ」というようなネガティブな意見に共感する人達に限って、「わからないならわかるやつだけわかればいい」と物事を進めてしまいがちです。元気があって面白い選択だとは思うのですが、周りが目を見張るほどの成果が出なければ「自己中心的」というレッテルを張られるリスクがあります。

誰もが「ああ、なるほど」という共感を作ること。これがとてつもなく難しい。では、どうすれば共感を生み出すことができるのでしょうか?

共感を作り出すマネジメントや環境

これがわかれば苦労はないのですが、最近Tryしていることをまとめてみました。

まず言えるのは、伝えようとする人の人柄も共感を生むための重要な要素になるということだと思います。新入社員や中途新人が「なんでわかってくれないんだ」と嘆くのは、周りからの理解が時間的に足りなかったり、社内でまだ共感を生み出せていないことが原因のように思います。これは一つ一つ地道に信頼を築いていく必要があります。

また、プレゼンテーションを使った発信に苦労している場合は、プレゼンテーションパターンを一つ一つ確認するといろいろ気づくことが多いです。提案がうまくいかない後輩と一緒にパターンを一つ一つ確認すると、大抵、どこか足りない要素が見つかります。相手のことを攻める前に自分の発信スキルを磨くように教えています。

ここまでは個人で何とかなる部分です。

次に、伝えたいことを伝えるのが苦手な人、思っていることをなかなか話さず、誰かの失敗を他人ごとのように「だからいったのに」という人も中にはいるでしょう。このような「共感のズレ」をなんとかするために、ある程度のマネジメントが必要ではないかと考えています。

例えば、徹底的に管理する形ではなく、きちんと向きあって話すこと、共感できない部分には「NO」と伝えること、リクエストに応え、こちらからのリクエストにも応えてもらう信頼関係を作ること。こういったコミュニケーションが、共感を広めるヒントになるかもしれません。

そして、周囲からの理解を生み出す(促す)環境づくりも大切です。話しやすい雰囲気、活発な意見交換ができる場や場を作るためのファシリテーションがそれです。共感を周囲と創りだし場を作ることも大切ではないでしょうか。

まとめ

チームを見ているとたまに「なぜこんなにコミュニケーションに時間がかかるのか?」とか「なぜこの人の発言が共感を呼ばないのか?」という状況を目撃することがあります。

意見がぶつかるのもいいんですが、僕はひとりよがりな発信ではなく、もっとハイレベルなコミュニケーションを期待しています。そういうコミュニケーションができるチームを作ってみたいのと、そうすればもっと楽しいソフトウェア開発ができる気がするからです。

いろんな疑問が日々浮かびは消えていきますが、まじめに考えてコツコツ改善していくのも仕事だなとあらためて思いました。