半島を出よ – 村上龍

感想おまちしてます!

おれの世界だからおれが自分で壊すんだ。

半島を出よ (上) 半島を出よ (下)
半島を出よ – 村上龍
*
北朝鮮のコマンド9人が福岡ドームを占拠。その2時間後、さらに500人弱の特殊部隊が福岡の町を制圧した。九州を閉鎖した日本政府に対し、彼らは反乱軍を名乗り日本からの独立を宣言しようとする。
そして、この戦いに立ち上がったのは、世の中から見捨てられ世の中を見捨てた少年たちだった。
*
本当にすごい小説を村上龍さんは書いたと思った。
4Bの鉛筆でがりがりと押し付けるように書いた文章のように力強い。村上龍さんの小説に書かれる「暴力」という力。この力に僕は魅了された気がする。弱い奴は弱い。強い奴は強い。強い奴も死ぬし弱い奴も死ぬ。この暴力を知らない人間に対し、北朝鮮コマンドはこのように思っていた。

こいつらは、泣きながら暴れる幼児か、あるいは魂を失ったゾンビのようなものだ。

目の前にマシンガンが登場してもリアルを感じない群集。TVの向こうで人が死んでいく平和な社会を象徴した緊張感のある言葉だと思う。


この小説で印象的だったのは主人公とも言える少年グループだ。彼らは自分が異常だと回りから認識されながら生きてきた少年たちだ。グループの代表となるイシハラはこう言う。

大切なのは今のこの社会の、多数派の人たちから離れて生きることだ。

少数意見が抹殺されてしまうのは、前の総選挙でもはっきりしている。誰もがみんな殺せと叫べば、それが正当化されてしまうのだろう。イシハラはこう続ける。

国家というものは必ず少数者を犠牲にして多数派を守るものだ。
この戦いは、侵略者を殺す戦いであると同時に、少数派が死ぬのを見る戦いでもあり、誰でもあるとき少数者になるクリトリスクがあることを知る戦いになる。

そして戦いはクライマックスを向かえ、カネシロという少年の言葉が静かな美しい時間を表現する。

見ろ、カネシロは部屋と廊下の死体と血の海を示した。これがおれがずっと夢に見てきた世界なんだ。他にはどこに行ってもこんな世界はない。やっと見つけたんだ。だからおれはここに残る。自分でここを始末する。おれの世界だからおれが自分で壊すんだ。

そうだ。だから自分で壊すんだ。

コメント

  1. Sex より:

    村上龍「半島を出よ(下)」(*****)

    半島を出よ (下) 出版社: 幻冬舎 ; ISBN: 4344007603 ;

  2. 「美しい時間は」と、カネシロは言った縲恆コ上龍『半島を出よ』:ちょっと訂正

    「美しい時間は」と、カネシロは言った
    縲恆コ上龍『半島を出よ』:ちょっと訂正No.1161(2005/06/03/金)から
    竏停・竏停・竏停・竏停・竏停・竏停・竏鈀…