自分の力で成長し、夢を叶えるための目標設定

マネージャーにとって、人の育成はとても難しいけれど大切な仕事です。目標を持ってもらい、その実現に向けてサポートする。今日は、そんな目標設定のコツをまとめてみようと思います。

おそらく、人材育成の一環で、社員に目標設定をさせている企業は多いと思います。周囲の友人に聞いても、同じか似たような仕組みがあるという人が多いです。

目標設定はとても大切な儀式です。なぜなら、設定を間違えると成長に影響が出ます。さらにいうと、人事評価とセットで使われることがあるので、結果的に給与や社内でのキャリアに影響がでてしまいます。

それでは、どういう目標を立てればいいのか? ポイントを絞って考えてみましょう。

1. 目標にはメインメッセージをこめてひとつだけ

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目標には目的が必ずあるはずです。目標と目的が誰にでもわかるように、一言で簡潔にまとめて目標の見出しに設定しましょう

例: ユーザの利用体験を損なわないように(目的)、システム稼働率99.99%を達成する(目標)

また、目標にはあなたの思いがこもります。伝えたいことがたくさんでてくるでしょう。しかし、ひとつの目標にいくつものメッセージをこめてしまうと、どれが一番大切な目標なのかわからなくなってしまいます。

複数ある場合でも、それぞれをわけて立てましょう。そして、大切なことからひとつひとつ順番に達成していくのがオススメです。本当に大切な目標であればあるほど、何かと同時にやれるようなものではないはずです。

2. 目標は手段や方法ではない

新入社員がよくしてしまうのが、目標に手段や方法を書いてしまうことです。

目標 : XXXシステムのZZZ機能を作る

目標はTODOではありません。目的と手段を間違えないようにしましょう。

3. 目標を実現するための手段や方法、期日を決めよう

Business Calendar & Schedule

目標ができたら次は実現するための手段や方法を考えます。ここでのポイントは目標を達成するまでのストーリーを考えることです。例えば、

  • XXXXをして
  • YYYYをして
  • ZZZZをすれば目標を達成できる

というように、全体的な流れをイメージして書いていくのがポイントです。ストーリーになっていると、目標を聞く側も「ああ、なるほどね」とイメージがしやすく、その過程や結果に納得感が持てます。

また、手段は途中で変更してもOKです。以前より優れた新しいストーリーが浮かんだのであれば、そちらを採用すべきでしょう。

もし、期日を設定できるのであれば、現実的な期日を設定するべきです。期日自体には意味がありませんが、うまくいっているのかどうかの判断材料に使えます。期日は成長スピードを表現してくれます。

完璧を目指さず、持続可能で実現可能な目標を立てましょう。

4. 自分のための目標を必ず入れよう

「君にはこういうふうになってほしい」とか、目標を上司からリクエストされることもあるでしょう。もちろんそういった期待に答えるのも重要だと思います。しかし、あなたの人生はあなたのものなので、全部に答える必要はないと思います。

7つの習慣』に時間管理の原則として4つの領域というものが紹介されています。

  • 重要度高、緊急度高 = やらないと大きな損失が生まれる作業。危機や問題、トラブル等。これはやらざるを得ないがずっとやっても成長につながらない
  • 重要度高、緊急度低将来の自分に向けて備えとなる作業。勉強、健康、キャリアなど。これをやらないと成長しない
  • 重要度低、緊急度高 = 無意味だがやらなければならない作業。メール対応、メッセ対応。やっても成長につながりにくいが断りにくい物が多い。メール対応とかは必須の作業に見えるが、自動化やそもそも問い合わせの起きないプロセスを作ることで回避は可能
  • 重要度低、緊急度低 = 楽しいだけでなにも残らない作業。 TVやゲーム、目的のない飲み会など。ただ、これがなくなると人生がちょっとつまらなくなりそうなものでもある。

目の前にあることだけをやっても、なりたいこと自分になれるとはかぎりません。重要度が高いけど緊急度の低い「将来の自分に向けての目標」が目標の中に入っていますか? いくつか目標を立てたとしても、その中に必ず自分のための目標を入れましょう。

会社はあなたの人生を作ってはくれません。あなたの人生はあなたが作るのです。

僕の場合は、3つ目標を立てることをおすすめしています。3つはなにかと覚えやすい量だからです。さらに3つ目標を立てるなら、会社の目標を2つにして、3つ目に個人の目標を入れてもらいます。会社員である限り会社の目標「も」重要だからです。

SEは「顧客が51,会社が49」の心を持てという言葉もあります。会社の目標と個人の目標のバランスに迷ったら、自分なりの結論を出してみましょう。

5. 結果は定量的に書こう

Business chart


目標を実現したときのイメージを持ってください。そのときに、どうなっているのが理想なのでしょうか?結果としてイメージしか伝えられない場合(定性的)もあるでしょうが、可能なかぎり定量的に表現しましょう。これらはアピールしたいポイントによって異なるはずです。

  • 売上が10%上がる > お金のアピール
  • コストが10%削減できる > コストのアピール
  • 時間が半減する > スピードのアピール

私個人的には、仕事量のアピールはおすすめしません。なぜなら、量には限界があり、時間をかけることで解決してしまうおそれがあるからです。よって、量より質で勝負するほうがよいと思います。それでも量をアピールするなら、仕事の進め方を効率化して量を増やす・・・ぐらいでしょうか。

注意したいのは結果は結果でしかないことです。もし、あなたの仕事の先にユーザーがいるのであれば(たいていの場合、誰かがいるはずです)、そのユーザにとっての価値を提供し、上記のような結果が得られていることを忘れないようにしましょう。

6. 結果を評価するための尺度をつけよう

結果がでたとしてもそれを正当に評価できなければ意味がありません。その結果はすごいのか? すごくないのか? この尺度(度合い)を明確に定義しましょう。例えば、僕の場合は3段階ぐらいに分けて設定します。ここでは点数にしていますが、%で表してもいいと思います。

  1. 普通にやっていたら達成できることは 80点
  2. すごくがんばってできることは 100点
  3. がんばっても今の自分にできないことは 120点

80点のゴール(結果)は現状維持を意味しています。及第点ではありますが、給料は上がりません。最近では無理な成長を望まない人(ご家庭の事情で今Qは現状維持できるようにしたいとか)もいるので、このレベルをよく使いますが、決してネガティブな点数ではありません。

しかし、気をつけたいのは、スキルや技術は時間とともに古くなっていくため、同じアウトプットでも時間とともにその価値は下がる傾向にあります。だから100点ではなく80点なのです。現状維持するためには経過した時間に対する一定量のスキルアップは必須なのです。

100点のゴールを見てみましょう。ここでいう「すごくがんばる」は評価期間である3ヶ月〜6ヶ月の間、8時間ずっと自分の本気で戦って得られる結果です。よって、ほとんどの人が達成できない点数と言えます。

仮に一時的に100点を取れたとしても、継続してとるのは至難の業です。よって成長が必須となります。成長のためのチャレンジが120点のゴールです。成長のためには、これまでできなかったことができるようになる120点を目指します。

この尺度を目標設定できちんと話し合い、認識を合わせます。通常、人間は自分にできることを目標にしがちです。その場合は「これがあなたにとってチャレンジなのか?」を確認しましょう。

評価される側も自分の背丈を理解する必要があります。自分の背丈がわからないと、とんでもなく高い(あるいは逆の)目標が立てられてしまいます。ここをうまく調整・相談に乗るのがマネージャの役割だと思います。

結果は120点を目指しましょう。これについて、僕は『働きマン』というマンガのエピソードを紹介することが多いです。

『たいていのヤツはボールを「入社」に向かって投げるから、最高でも「届く」で普通はもっと手前で落下する。ところが目標を「入ってから何をするのか」「どうなりたいのか」に設定すれば、自ずと遠くへ投げるから結果として「入社」は飛び越えている。 ― 第2巻より

100点を目指しても、最高で100点にしかなりません。そんなリスクのある戦いをするより、120点に向けてボールを投げたほうがいい結果へとつながります。

まとめ

目標設定を知っている・やっている人は多いようですが、具体的な目標の立て方を教えてもらっていない人も多いようです。知らないままなんとなく過ごすのもいいですが、目標設定の先に評価という仕組みがあるため、ルールを知らずに戦っても給料は上がりません。戦うからには目標設定という武器を理解しましょう。

今回は「どう目標を立てるか」について書きましたが、評価の仕組みを知りたいのであれば、『人事部は見ている。』や『「社員を大切にする会社」の人事評価』、『出世する人は人事評価を気にしない』あたりの本がオススメです。「評価者の視点」がわかれば、おのずとどうすればいいかが見えてきます。

目標設定は、会社が押しつけてくるルールに見えちゃいますが、社員に成長してもらうための大切な仕組みです。そんなことしてもらわなくても成長できるよーというのであれば問題ないですが、もし自信がなければ、習慣として身につけて損はないでしょう。

問題を見つけ、目標や解決策を考え、実行し、結果をチェックする。これができればどこでもやっていける。

これは尊敬するマネージャの言葉ですが、まさにそのとおりだと思います。また、こんな言葉もあります。

目標は絶対のものではなく、方向を示すものである。 命令されるものではなく、自ら設定するものである ― ピーター・F・ドラッカー

目標設定は、成長スピードを上げるための手段のひとつだとおもいます。いい習慣は早く身につけて、とっとと成長しちゃいましょう!