虚栄の世界 – The Moody Blues

daipresents2004-05-02
36時間の箱舟
エピローグ
The Moody Blues 「Seventh Sojourn」
No.6 THE LAND OF MAKE-BELIEVE(邦題:虚栄の世界)
ASIN:B000002GQL
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僕たちが住んでいるのは虚栄にぬれた世界
なぜ心の中を隠そうとするのだろう
表面だけを美しく装う世界では
心を蝕む痛手さえ喜びに変貌してしまう
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思い出は逃げ込む場所ではない。
今日は街を歩いた。
僕が育った街。街はところどころ修正しながら、少しだけ変わっていた。
小学校への通学路を歩き、一番遊んだ公園へ寄り道した。
僕が見た光景は、何も変わっていなかった。
変わっていたとしても、曖昧な記憶がそれを真実に見せてくれたのだろう。
公園のベンチについた。
僕はこの場所から始まったといえる場所。
春が過ぎ、夏を待ち焦がれる公園の片隅は、新しい緑が空に手を伸ばし、
季節が巡る中、そのベンチだけは時間が止まっているようだった。
様々な情景が浮かんだ。
あの頃の自分がどんどんよみがえってくる。
僕は変わったのだろうか。
世界全部を敵に回し、一人で戦っているとさえ思い込んでいた自分と。
たくさんの人に支えられ、僕は生かされているように思う。
人からたくさんのものをもらっても、僕には与えることができない。
「私自身が好きじゃない私のことを、好きになるひとなんてきっといない。」
あの言葉は僕だ。
「今がよければいい」という言葉は、あまりいい言葉ではない。
現実を見ていない部分があれば、この言葉の意味はなくなる。
昔、死に物狂いで何かを探していたとき、未来を見ていない気がして、
この言葉を簡単に言ってる人が憎かった。
手をつないで街を歩いたあの頃。
この時間が永遠に続かないことを不安に思っていても、
今だけを信じていた。
たったわずかでもいい。
この虚栄の世界で、信じるというわずかな希望を
手のひらに集めて握っていたように、
冷たい季節でも暖かく感じた、あの一瞬の時間は僕のすべてだった。
たとえ一瞬の時間であろうとも、
わずかな時間しか浮かばない箱舟だったとしても、
溢れ出た感情は、誰にもとめることはできず、
自分にできる全てだといえるよ。
たとえそれが「今さえよければいい」という甘えた感情であろうとも・・・
僕にとって君といる場所は、世界の中心だったから。