恋 – 森 絵都 「永遠の出口」より

恋とは切ないものだ。それがよくもあり、それがつらくもある。初めて絶望したのはたしか19歳のときだった。これがまた笑えるシチュエーションで、映画「タイタニック」を見た後に告白されたのだ。その子はとてもかわいい人で、アルバイト先で人気者。まさか、いきなり告白されると思わず、とりあえず友達からということで付き合い始めることとなる。

放課後の巣 – 森 絵都 「永遠の出口」より

高校生の僕は、世の中が自分の思い通りにいかないのがとても許せなかった。今もあんまりかわらないんだけど、前よりも少しゆとりがある感じだ。アルバイト先はどこも楽しく、あるおしゃれな飲み屋では、忘れられない思い出があった。毎夜毎夜、一人暮らしの家で飲み明かし、学校にも行かず遊びほうけていた。しかし、歳の近い仲間たちといる時間はとても楽しく、いつまでもこのままでいたいと思う場所だった。

時の雨 – 森 絵都 「永遠の出口」より

両親の考えていることは、子供には決して理解できない。これは、あとになって僕が理解したことだ。もちろん、今もわからない。親と子は血でつながっている。これは素敵なことだと思う。しかし、親と子には境界線がある。親はこの気持ちを理解することなんてできないし、子供にも親の気持ちなんてわからない。