
僕はよく「これだから男は」と言われる昭和タイプの人間らしい。だからもしかしたら誤解を生むかもしれないけど、立ち会い出産を2回経験して思ったことを正直に書いておく。
立ち会い出産セミナーに参加
うちの病院は、「出産をむかえるにあたってセミナー」に参加しなければ立会いできない。そこでは、病院の先生がいろんなことを教えてくれて、実際に妊婦体験したりして出産を身近に感じていく。
「カンガルーケア」にも力を入れていて、生まれた赤ちゃんが元気だったら、お母さんの胸の上で1時間ぐらい過ごせる。「えー、一時間もじっと抱っこするだけー?」って思うかもしれないけど、新しい生命は見ていると飽きない。
一人目の立会い
陣痛が進まなかったので、誘発剤を使っての治療になった。3日目の夕方に娘誕生。つまり、治療は日中だけだが3日間痛みが続く。
これがとても辛い。
痛い本人もそうだけど、見ているこちらも辛い。かといって何もできない。まじで、手を握り、アルカイックスマイルしかできない。嫁は痛くない僕が憎いみたいで、定期的に腕をつねってくる。
子どもと予防接種 に行ったときにも思ったが、痛がる家族を見るのはとても辛い。『ミッションインポッシブル3』で、愛する人が拷問を受けるシーンがあるのだが、当時は「それぐらい乗り切るんだトム!」と思ってたけど、今は「ごめんトム。オレが間違っていた」と言える。
立ち上がり、さっそうと分べん室に歩いて行く嫁を見たときは、おもわず敬礼しそうになった。「うえーん。辛いよー。もうかんべんしてあげてくださいー」って泣きべそをかきそうになったのもその時だ。
分べん室に呼ばれて「旦那さん! がんばれって励ましてください!」って言われるんだけど、もう十分頑張っている人にかける言葉が「がんばれ」でいいのかよくわからなかった。
二人目の立会い
子どもを産んだことのある人を「経産婦さん」と言う。2回目なのでお産は比較的スムーズにいくことが多い。
でも、さすが人見知り夫婦の息子。ぜんぜんでてくる気配がない。
結果的に2週間入院。そして毎日が陣痛促進剤(今回は誘発ではなく促進だった)の治療。うちの嫁はそんじょそこらの人見知りとは別格で、僕の親しい友人が家に遊びに来ただけで、胃痛で寝込んでしまうレベル。
そして、一人でベッドで過ごすのを苦と感じぬ強い心を持っている。スタンドでいうなら「ぼーっとする」。本人曰く「無になれる」そうだ。彼女のこの我慢強くい性格は、子どもたちに引き継いでほしいものだ(ただ、人見知りにはならないで)。
入院期間が長かったので、会いに行くたびにいろんなことを教えてくれた。今回も分べん室隣の待機室なので、さまざまなドラマがあったそうだ。
- 予定週より随分はやい妊婦さんが深夜に運ばれてきて対応で大騒ぎになっていたり。
- 指導員が新人らしき看護師さんをつめて、しくしく泣き出してしまったり(そういうのは人のいないところでやりましょうよと注文しておいた)。
- 痛すぎて泣き叫ぶ人。それをみてオロオロする旦那さんがいたり。
- 夜中にマタニティブルーになって「私には子どもを育てるのなんて無理です・・・」と一晩泣き明かした人がいたり。
- 「ちょっと騒がしくなるので今日は病室で寝てくださいね」と言われ、喜び勇んで床についたら、4人部屋の赤ちゃん3名が交互に一晩中泣き出したり。
基本的に、ぐっすり寝れないそうだ。こんなこともあったらしい。
看護師さん「旦那さん! 背中さすって!」
旦那さん「はい!」
奥さん「看護師さんの方がいからやめて!」
旦那さん「えっ」
負傷兵を治療する衛生兵のようなドラマが繰り広げられたり。
お医者さんと看護師さんは、なんて尊い仕事なんだろう。母親には本当に頭が上がらないな。どんな理由があろうとも、今自分が生きているなら、こうやって産んでくれたお母さんに感謝をするべきだ。
立会いはかんべんしてほしい
というわけで、1回目の経験で「いやー、もうかんべんしてほしいなー」という意見を正直に述べたのだが、「はぁ? いいから来い」ということで2回目も経験することになった僕。
もし、3回目があるとすれば、断じて拒否することをここに宣言したい。ただ、もしあなたが男性で、奥さんが出産を控えているのであれば、ぜひ一度は立ち会って欲しい。
奥さん大切にしなきゃな-とか、家族って一緒に過ごすのがいいなーとか、改めていろいろ考える貴重な時間になるだろう。そして、待ち人を待つ時間は、本当に手持ち無沙汰で暇暇なんだけど、待つのも楽しいのだ。
そしてそして、会えたときの感動はもっと楽しいのだ。