図解 よくわかる非製造業もトヨタ生産方式
基本的な説明がはじめに書かれていてわかりやすい本でした。非自動車産業での事例がなかなか面白くて、改善の考え方ってどこでも通用するんだなぁと、あらためて普遍的な知識に触れた気がします。
日産V-upの挑戦 カルロス・ゴーンが生んだ課題解決プログラム
倒産の危機にあった日産が生み出した、クロスファンクショナルチームを主軸とした課題解決事例。
やってることはたいして目新しくはないですが、解決が難しい組織を横断する課題に対して、工夫を重ねた仕組みを作り上げてるのが面白いです。
仕組みを自分で作れる仕組みを考えられるところに、日産の強みを感じます。
よくわかるトヨタ式改善活動と最新事例
月刊「工場管理」の2009年2月臨時増刊号。この本のいいところは・・・
こんなかんじで実例を写真付きで確認できるところです。さすがにここまで事例がたくさんあつまった書籍はあまりなく、製造業中心にさまざまな企業の事例が紹介されています。この本をチョイスするところにセンスを感じてしまいました。
トヨタ生産方式 – 大野耐一
「改善」という言葉が「Kaizen」になって全世界的に使われるようになったのも、バイブルと呼べるこの書籍『トヨタ生産方式』があったからこそでしょう。
1978年5月(僕の誕生月じゃん!)に出た古い本ですが、今読んでも新しい発見がある良書です。改善系の仕事をしてる人から、毎回おすすめされますね。
モノの流れをつくる人
とても読みやすいのでトヨタ生産方式を学ぶなら入門書として最適。
それもそのはず。トヨタ生産方式を生み出した大野耐一さんから学んだ教えが丁寧に説明されており、管理者とは? トップとは? 著者が見て経験してきたことが詰まっています。
ザ・ベロシティ
12冊の中で、僕にとって一番面白かったのがこの本でした。僕の場合は、アジャイル開発というものに詳しくなれた経験から、なんでもかんでも「アジャイル開発」に持っていこうとする人、単純にアジャイル開発やりたい人、なんでもかんでもアジャイル開発以外が原因にする人とか、方法に対する衝突を多く見てきました。なんか途中でアホらしくなって、ちょっと距離をおーこーうーってなってるのが今。
本書は、物語形式で書かれているので冗長に感じるかもしれませんが(ぶ厚い!)、変化を注入(AdptionじゃなくてInjectionって表現しているのもまたステキ)し、抵抗や葛藤があり、絶望を乗り越えて人間が成長し成功を獲得する。古びたアメリカンドリームに読めるかもしれませんが、プロセスや改善に魂をこめてきた自分にとっては、改めてその良さに背中を押される気分でした。
人間を尊重し、価値を創造する。こんな面白い仕事はない。
おわりに
TPSの説明から実例、導入物語まで、幅広く選ばれた12冊は読みごたえ抜群でした。個人的には、TPSの概要より、(架空ですが)物語形式で語られた『ザ・ベロシティ』や日産の事例がとてもイメージしやすくて面白かったです。
最後の1冊は僕からの紹介です。ソフトウェア開発にかかわる方でしたら、僭越ですが僕も翻訳に参加させていただいた↑の『リーン開発の現場』がオススメです。実際のプロジェクト事例が読み物としても面白く、明日からチャレンジしてみたくなるアイデアやプラクティスがつまっています。
最後に、ありきたりですが、変化は摩擦や衝突を生み出し、改善は粘り強くやっていく必要があります。そして、それら全てに関わるのが「人」。人は感情で動きやすく、わがままで傲慢でもある。だから改善は難しく、やりがいのある仕事なのでしょう。