大阪冬の陣と夏の陣を中心に、栄華をはなった豊臣政権と、戦国時代の終わりが描かれた、司馬遼太郎さんの長編小説。
西軍である豊臣家は、秀康死後に淀君などの女性に支配され、家康の策略にはまり滅亡を遂げてしまう。
秀吉の死後、各家は生き残ることにシフトしていき、義をかかげ抵抗した石田三成はやぶれ、上杉家も、大坂の陣では東軍になる。権力闘争ではなく、政治が支配してきたってところが、なんだかとても寂しく思ってしまう。
真田幸村、長宗我部盛親、毛利勝永、後藤又兵衛の奮闘もむなしく、援軍のない各孤軍は、大軍を率いる東軍に最後はのみこまれ、1万を超える死者が大阪の野を覆ったという。
その死に様は、人々の記憶に残り、天下泰平を気付いた徳川家も、薩長に敗れる。
歴史は複雑だ。
それにしても、大坂の滅亡は目に見えてわかっていたこと。諸将もそうおもって勝つほうに味方した。西軍には優秀な人材がいながら、それをまとめるリーダーがいなかった。せめて、最後に秀頼が金のひょうたんをかかげてでていれば、もっと違った形になっていたのかもしれないのに。
生き残ることだけを考えた場合、最高の結果が生き残るにしかならない。なんのために戦うのか?その覚悟が弱かった。家康のように、世間をうまくあつかうやりかたもあれば、人の心をつかもうとした秀吉や、力で支配しようとした信長のやり方もある。
戦国時代から数百年たって、いまもとめられるリーダーの資質とはなんだろうか?そんなことを考えた。