御巣鷹の尾根へ

感想おまちしてます!

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思い立ってから行動に移すのに4年かかった。日航機墜落事故から24年。私は御巣鷹の尾根へと向かった。先週末にTVでやっていた「クライマーズ・ハイ」を見て、そういえばもうそんな時期かと思いだす。今年の盆休みは、珍しく関東にいて時間がある。すぐにレンタカーを予約して、群馬県上野村への道を調べた。

盆休みとあって、朝の3時に出発。関越道を抜け、上信越道にはいったところで休憩した。時間は5時30分。少し明るくなった空の下はまだすずしく、休みのためか甘楽PAは人が多い。仮眠をとろうかと思ったが、目がさえていたので上野村を目指す。山道を抜けると、すぐに湯の沢トンネルになる。これができるまでは峠を回って倍の時間がかかったらしい。

pic20090814_070802 上野村に入ると、国道沿いに休憩施設があった。そこで、位置を確認し、まずは慰霊の園に向かう。

pic20090814_071148 慰霊の園の標識はすぐに見つかった。トンネル手前のわき道を抜け、旧黒沢家住宅の前を通り過ぎ、Uターンするように山を登る。しばらくすると、広く開けた場所になり、そこが慰霊の園になる。

pic20090814_071606 慰霊の園の慰霊塔。その前には白い大きなテントが張られていた。12日の追悼慰霊式の名残だろうか。大きな慰霊塔には、火のついた線香があった。

pic20090814_071432 慰霊の園にあった案内図にも、ざっくりとした道筋が描かれている。このまま、御巣鷹の尾根を目指す。

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国道299号線にあった御巣鷹の尾根の標識。国道から山道へとはいっていく。

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県道124号線にあった御巣鷹の尾根の標識。ここから5?6キロぐらいに登山口がある。ここから先は、朝なのに暗いトンネルがいくつも続き、なんだか不安になってきた。そこからさらに細い山道に入ると、地震の影響か、道のあちこちにこぶし大の石が落ちている。

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思った以上に長いくねくねした道を過ぎると、旧登山口に突き当たる。今は閉鎖されているようで、老人が「もうすこし先に行ったら駐車場があるから」と教えてくれた。

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さらに、山を登ると、きれいな駐車場があり、ここから出発となる。駐車場にも白いテントが張られ、仮設トイレもあった。くつを履き替えて登山口へ向かう。

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御巣鷹の尾根・昇魂之碑への新登山道入り口。慰霊登山用に記帳し、登山道へ進む。

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新登山道入り口にあった案内図をみると、旧登山口より30分ぐらいは短縮できるという情報は本当みたいだった。昇魂之碑まで30分ぐらいかかるらしい。

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登山道に入るとすぐに、水量が豊富な沢があった。8時過ぎに登り始めたがとても涼しい。

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途中、事故調査団の人?のメッセージが書かれた石碑があった。

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案内図もここにあった。目的地はまだまだ先だ。

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登山道には、2009年7月に作られた階段と手すりがあった。1歩1歩ゆっくり歩こうとするが、足がすぐに重くなる階段だった。

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スゲノ沢手前にある中間地点付近には山小屋があった。ここからすぐにスゲノ沢が見えたので、まずはそちらに向かってみる。

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スゲノ沢には数字が書かれた標識がたくさんある。これは乗客が見つかった場所を表しているらしいが、いたるところに標識があり、言葉がでなくなった。水飲み場で水分を取って、昇魂之碑を目指す。

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山小屋?スゲノ沢をすぎると、一気に急こう配になり、斜面にはポツリポツリと標識や、亡くなった方の墓標がある。登り切る手前にも水飲み場があった。水飲み場で口をすすぐと、すっきりして足取りが軽くなった。

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急な階段を上がっていくと、目の前が開けて昇魂之碑が現れる。それよりも先に、対岸の尾根がくぼんでいることに気がついた。期待が垂直となり、翼がぶつかってできたくぼみ(U字溝)は、今もはっきり分かる。

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昇魂之碑。U字溝で衝撃を受けたが、昇魂之碑を改めてみると、疲れを忘れてしまった。

手を合わせると、顔を上げるのを忘れてしまう。少し休憩して、もと来た道を下っていくと、誰が叩いたのか、安全の鐘の音が遠くから聞こえた。

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帰りはしおじの湯で休憩。

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しおじの湯の縁側でたばこを吸って、1時間半仮眠して帰宅した。首都高は混んでいたけど、無事に川崎まで到着。

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御巣鷹の尾根へと向かう気持は、なんだかとても複雑だ。慰霊登山をする人たちは皆、そんな複雑な気持ちで登っているのかな。下山途中に、駐車場であった老人が、山小屋のところまで登ってきていた。「あと半分ぐらいなんでがんばって」というと、「若い人は登るのが早い」と笑って答えてくれた。どこにいっても、火のついた線香が置いてあり、人の名残を感じた。

10人以上の人とすれ違い、「おはよう」とか「こんにちは」とかいろいろな挨拶をした。生きてるって感じがする。

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子供のころの記憶にわずかに残っている、日航機墜落事故。

昇魂之碑のそばに会った小屋には、事故で亡くなった方の写真や、家族のメッセージがたくさんあり、壁にはたくさんの千羽鶴がかけられていた。それを見ると、4年前の気持ちがあふれてきた。

当時、沈まぬ太陽を読みふけっていた私は、御巣鷹山編に入って、読むのが止まらなくなり、涙がボロボロ出るんだけど、最後まで止まらずに読んだ。

世界中にたくさんの事故があるのだろうけど、これほど「無念」を感じたことはなかった。無念だったろう。みんな無念だったろう。この無念は決して消えないものだろう。しかし、それでも、慰霊登山をしたいと思った。

初めからペース配分ができなくて、ぜいぜい言いながら登った御巣鷹山の尾根。下山後、車で靴を脱いで、一息すると、晴れた空が広がっていた。さっきまでは霧が出ていたのに。

暑い夏の、青い空が広がっていた。

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とてもつらい場所だった。とても不謹慎なことかもしれないけれど、死にたくないと思った。死を考えてすごく怖くなった。生きていてよかったと思った。

強く生きていこうと思った。

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最後に、亡くなった方々のご冥福を心からお祈りいたします。私はきっと、今日を忘れません。