魔王 – 伊坂幸太郎

感想おまちしてます!

ムッソリーニは最後、恋人のクラレッタと一緒に銃殺されて、死体は広場に晒されたらしいんだよね

魔王 (講談社文庫 い 111-2)
砂漠と魔王はとても似ている気がした。
村上龍さんの「愛と幻想のファシズム」に通じるものがある。続編にあたる「モダンタイムズ」も読んでみたい。
モダンタイムス (Morning NOVELS)
その中で、2作品(もしくはもっとかもしれないけど)を通して、集団心理やファシズムや、僕のような一般人がもつ勇気について書かれているのは、社会に対する危機感を感じているのかな?
なんて感じ取ってみたりする。
ベニート・ムッソリーニ。イタリアの政治家であり、初めに引用したように最後は処刑された。これは第二次世界大戦頃のこと。
この話には続きがあり、これがこの「魔王」からのメッセージを象徴しているように感じる。

群衆がさ、その死体に唾を吐いたり、叩いたりして。で、そのうちに、死体が逆さに吊るされたんだって。そうすると、クラレッタのスカートがめくれてね。
?中略?
その時にね、一人、ブーイングされながら梯子に昇って、スカートを戻して、自分のベルトで縛って、めくれないようにしてあげた人がいたんだって。
?中略?
わたしはいつも、せめてそういう人間にはなりたいな、と思ってたんだ。

例え実行できなかったとしても、せめて、「スカートを直してあげたい」と思うことくらいはできる人間でいたいと、この会話は続く。
ホテルルワンダでも、ブラックホークダウンでも同じで、極端にいえば、TVのニュースを見て「かわいそう」と思うか、思わないかみたいなものかなと。
砂漠」では、さらに一歩行って、行動して砂漠に雨を降らそうとする。
僕も、砂漠の登場人物である西嶋まではいかないが、思ったら行動するようにしていて、「はずかしい」とか思わずに、とっさに行動できる人間になりたいなと思っていた。
ある日、重い病気を持つ人が募金活動をしていて、募金は振込だったので、パンフを持って帰り、時間のあるときに振り込もうと思っていた。「振り込んでたらきりがない」とかあるんだけど、知ってしまったらしかたないという西嶋のいうとおり、これもなにかの縁だと思って。
ある日、振り込もうと思ってWebページを確認してみると、その人は亡くなっていた。
「思っている」だけでは「やったこと」にならない。