パイロットフィッシュ – 大崎善生

感想おまちしてます!

パイロットフィッシュ

それは、どんな長い長い旅にも必ず終わるときがくるということに似ている。
ジョン・バースの「旅路の果て」より

エロ本の編集者である山崎に深夜電話がかかってくた。相手の声を聞きその声の主が19年前に別れた由希子だということに気がつく。人は「優しさ」のかぎりない力を描く、永遠の青春小説。
パイロットフィッシュとは、魚を飼育するときに初めに水槽に入れる魚のこと。その魚から生み出されるバクテリアなどによって、水槽内に生態系が生まれ飼育が可能になる。
これ以上の女性はいないだろうなと思った人が好きだったレゴを社会人になってから買った。ケンカ別れした親友が好きだったレッド・ホット・チリペッパーを今もたまに聞いたりする。自然にいなくなった女性が教えてくれた本を読んで感動した。
みんな僕の中に生きていて、僕はそれに影響されて生きている。
パイロットフィッシュはとても優しい本だった。もうびっくりするぐらい。しとしと降る雨をベッドに横になりながら眺める時のように、静かな水面をすべるような気分になった。「あーこういう言葉なんだ」ということを確かめることのできるいい本だと思う。

君がたとえ僕の前からいなくなったとしても二人で過ごしていた日々の記憶は残る。その記憶が僕の中にある限り、僕はその記憶の君から影響を与え続けられることになる。そしてそんな人たちから影響を受け続け、そしてそんな人たちと過ごした時間の記憶の集合体のようになって今の僕があるのかもしれないと考えることがある。そう、だからね由希子。僕と君とは別れていない。それが人と人が出会うということなんじゃないかな。一度出会った人間は2度と別れることはできない。