ナラタージュ- 島本理生

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ナラタージュ

【ナラタージュ】
映画などで、主人公が回想の形で、過去の出来事を物語ること。

高校のときにお世話になった葉山先生から工藤泉に電話がかかってくる。泉は今までずっと葉山先生のことを思い続け、未だにその気持ちは変わらない。この一本の電話から、彼女のナラタージュがはじまる。
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恋愛小説は苦手だ。空想の恋愛に自分を置き換えることができないからだ。確か「ナラタージュ」で小野君か泉さんが言っていたが、ぴったりと自分に当てはまる感覚の小説や映画に出会うと、とても幸せな気分になる。しかし、それが恋愛というテーマになるとうまくできない。
「恋」と「愛」。説明することが難しいものだ。でも、この「ナラタージュ」は「恋」という繊細で大雑把な感情をうまく表現している。「愛」には確かさあるように思えるが、「恋」は確かなものではない。僕はそう感じた。
読み終えた後に、物語を自分に重ねてみる。するとはじめて共感している自分に気がついた。「ナラタージュ」の余韻はとてもすがすがしく、暖かい。
藤原のナラタージュ。
昔、僕はある人に出会い衝撃的な恋をした。好きな人が「自分のもっていないパーツ」を持っていること。これは本当にすばらしいことだと思った。僕は恋に落ち、彼女と過ごす日々が始まった。しかし、この恋にも終わりがあった。「なんで好きなのに別れちゃうんだろうね」って最期に言ったことを覚えている。
数年後、駅の改札でタバコを吸って時間をつぶしていたとき、ふと彼女のことを思い出した。そういえば、この改札で待ち合わせていろんなところに行ったんだった。すると、目の前に彼女が現れた。僕が声をかけると彼女はあの時とかわらない笑顔で僕のほうにやってくる。
「元気?」
ありきたりのセリフだ。伝え切れなかったことがたくさんあっても、それぐらいしか言えないものだ。とりとめのない話をした後、駅に電車がやってきた。彼女が電車を気にしたので、「電車乗り遅れちゃうよ」といった。彼女はとても寂しそうな顔をしてうなずいた。「じゃあね」といって二人は別れた。
彼女が改札を通る姿を、何も考えずに見送っていた。彼女はふと僕を振り返り、またあの笑顔で手をふってきた。僕も手を振り返す。彼女は電車に乗り込む人ごみにまぎれ、やがて僕の視界から消えていく。
「さよなら」
二人がまた顔を合わせることはおそらく一生ないだろう。僕と彼女の人生は完全に分かれ、ふたたび交差する可能性はおそらくゼロに近い。
でも、、、
ここから先は「ナラタージュ」の最期に書いてある。その時はわからなかったけど、僕がこの時に感じたことを、「ナタタージュ」はぴったりの言葉で表現してくれた。今まで、僕は彼女のいた時間を思い出し、苦しいときもあったと思う。僕はこの本を読んで、彼女との思い出に感謝できるようになった。彼女と出会えて本当によかったと思う。
多分、僕にとって一生に一度の恋だとしても、後悔を幸せだと思えるようになった。