ねんざした

感想おまちしてます!

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会社でイスから立ち上がったとき。足がしびれて右足の感覚がなかった。
それに加え、ちょっと気を使う作業に集中していたので、無心で一歩踏み出してしまった瞬間、激痛が走った。

一瞬目に映った僕の足首は、今まで見たことないぐらいへんな形に曲がっていた。気持ちが悪い。次の瞬間には脂汗・・・という言葉がぴったりなねとついた汗。言葉がでないくらいの激痛が足先から広がる。一瞬の現実だった。

どうも足首の靭帯がぶっつりいったらしい。救急病院で見てもらうと骨には異常がない模様。これはラッキーだったかもしれない。診断は全治2?3週間。後遺症なんて真っ平なので足裏をささえるギブス+包帯ぐるぐる。

雨が降っている。「大丈夫ですか?」と看護婦さんが声をかけてくる。とても遠くに声が聞こえる。「大丈夫です」と強がってみる。雨は関係なく振る。

夜ははじまったばかりだ。

傘はさせない。初めての松葉杖で雨の中を歩く。雨にぬれる。包帯が黒く染まっていく。歩くしかない。駅の階段がこんなに大変なのかと見上げる。電車に乗るときに「優先席に座れるな」とか思う。

雨が降っている。タクシー乗り場にはたくさんの人。駅前で待ち構えるホストが僕を静かに眺める。一瞬目を合わせるがこれ以上の距離は縮まらない。大きく息を吸う。雨の中を歩き続ける。

家まで15分の道のり。雨はぜんぜん降っている。雨で前が見えなくなる。大きく息を吐く。まだだ。まだまだ歩き出したばかりだ。足の不自由な人ってはじめはこんな気分なんだろうか。雨は関係ない。脇に松葉杖が食い込んで痛む。

でも、これは痛みなんかじゃない。

僕を追い越してたくさんの人が追い抜いている。同情の目。これも関係ない。あと少し。遠くから声がする。「大丈夫ですか?これ傘・・・」中学生ぐらいの少年が傘を差し出す。「ありがとう。でも大丈夫」。少し寂しそうに彼は去っていく。僕は息をつく。

そして、前を見て歩き続ける。最期の直線。あと50メートル。これがとんでもなく長い。歩く間にいろんなことを考える。あきらめて座り込もうかとも思った。でも、それはできないとわかっている。僕には決してできないことなのだ。

タオルでびしょぬれの体を拭く。スーツを脱ぎ捨てる。包帯をはずして洗う。明日は包帯を買おう。とても疲れたけどちょうどいい雨だった。こんなに雨にぬれたのは久しぶりだ。

明日は大阪に帰れるかな。親からメールが来た。「大丈夫?」

大丈夫。まったく問題ない。僕は大丈夫。