その日のまえに – 重松 清

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その日のまえに
それぞれの「その日」。
やがてくる死というはじまりを前に、人は何を思うのだろう。
その日のまえに – 重松 清
連作短編集。

記憶は消え去るわけではない。「忘れる」と「失う」とは違う (ひこうき雲より)

「夢」にも至らない漠然とした「憧れ」にふらふらと引き寄せられていた時代をすごした妻が迎える「その日」。幼い頃に友人をなくした男が迎える「その日」。女の手だけで息子を育ててきた母親が迎える「その日」。そして彼らを取り巻く人々が見つめる「その日」。
彼らが見つめる「その日」は、記憶の上で生きる人間のサガともいえる何かに震えているようだった。

あのね、昔と同じものに再会したいわけじゃないんだな、って。もう会えないんだっていうことを確かめたいっていうか・・・・・・みんな幸せにやってるよね、って言いたいんだよね、要するに (その日のまえにより)

失うと言うことはとても怖いことだ。しかし、生きている人間からして見れば「忘れる」というのはもっと怖い。みんなそれが怖いから、それでもみんな幸せにやってるのかどうかを確かめたくなる。別に思い出したいわけではない。ただ確認したくなるんだ。
誰もが迎えるその日。重松清さんはそれをとても丁寧に丁寧に文章に織り込んでいるみたいだった。そしてその悲しみが、この本からゆっくりと心に伝わってくる。悲しみはどんどん降り積もり、抵抗できない無常な運命に対する怒りにもにた叫び。

神様は涙を流すのだろうか? (その日より)