囚われ人のジレンマ – 山本文緒「プラナリア」より

感想おまちしてます!

プラナリア - 山本文緒
まずは、3つの話をしよう。
?囚人のジレンマ
2人の泥棒が警察につかまって、2人別々に取調べが行われた。しかし、二人ともなかなか罪を認めないため、警察は2人にこう言って罪を認めさせようとする。

本当のことを話せば相棒の罪は重くなるが、お前の罪を軽くしてやる。ただし、相棒が先に話してしまっていたなら、相棒の罪は軽くなって、お前の罪は重くなる。さらに、2人とも話したならこの話は無しだ。

この話の泥棒たちのように「最善の選択と思ったんだけどなんだかうまくいかないケース」を、囚人のジレンマというらしい。
参考:ゲーム理論 囚人のジレンマ
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?1つのケーキを2つに分ける場合
2人の子供がケーキを2つに分けようとしている。しかし、2人とも大きなケーキが欲しいので、いつもケンカになってしまう。そこで母親がこう言った。

お兄ちゃんがケーキを2つに切りなさい。そして弟にケーキを選ばせなさい。

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?成功恐怖
成功恐怖という言葉がある。これは「女性は男性に比べ成功に対する不安が強くなっているというもの」らしい。
参考:上智大学文学部心理学科 3 年 社会心理学研究


本のタイトルにもなっている「プラナリア」も面白い短編だったが、「囚われ人のジレンマ」が一番印象にのこった。囚人のジレンマ、1つのケーキ、成功恐怖。キーワードがたくさんあるように思えるのだが、それらが絡まりあって、同じことを語っているように思える。
相手のことを考えてジレンマを抱える泥棒。2人は互いの利益を考えるがラチがあかない。
ナイフを持たされてケーキを半分に切りなさいと言われたお兄ちゃん。彼は必死に自分の欲を得と考える顔をする。
成功恐怖を抱える主人公。学生である彼と結婚してうまくいく姿が想像できない。
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山本文緒さんが「プラナリア」で語る女性たちの姿は、どれも生々しくてじっとりしている(元OLというのも関係しているのかな・・・)。それだけに、彼らの行動を身にしみて感じてしまうのだろう。損か得か考えるときに、自分がどんな顔をしているのかを考えてみると、誰もが悲しくなってしまうのではないだろうか。みんなこのなんともいえないジレンマを、知らず知らずに抱えてるんだろうな。
ジレンマを抱えたときに、この言葉を思い出してみるといいかもしれない。

損の種をまいているのは、往々にして自分なんじゃないかな

コメント

  1. NaoLOG より:

    囚われ人のジレンマ

    日本雑誌協会は、今秋から雑誌の部数を年間の「平均印刷部数」を基本に公表することに決めたそうだ。これまで公表していた「平均発行部数」は自己申告だったため、…

  2. ひより より:

    トラックバックありがとうございました。
    先日、映画「宇宙戦争」を見ました。男性の主人公と元奥さんは、育った環境の違いからうまくいきません。男性は低所得労働者の住む地域に住み、奥さんはかなり裕福な家庭で育ちました。もしもこれが逆の境遇だったなら破局は訪れなかったかもしれません。ジェンダー・フリーといわれる現代においても、無意識のうちに男性は女性より優位でありたがり、女性は男性より優位にならないよう自ら配慮しているような気がします。

  3. だい より:

    こんばんわ。「ケーキを切れ」といわれてもためらいなくぶった切れるようになりたいと思います。ひよりさんのおっしゃることに、また考えてしまいそうです。

  4. 「プラナリア」

    直木賞受賞、山本文緒作